Date : 2020

01

28Tue.

アフターデジタルとビービット(5) – 事例で読み解く「シーケンス分析とUXインテリジェンス」

アフターデジタル

OMO

前回のおさらい:シーケンス分析とは

シーケンス分析は、個別のユーザや特定のグループの行動に対して、その行動の順番やかかった時間を考慮に入れ、ユーザの状況や文脈に注目する行動データ分析手法です。

このシリーズで繰り返しお伝えしている「アフターデジタル時代に企業が捉えるべき課題」のうち、行動データからいかにユーザの状況を捉えた体験を生み出し続けるか、という問を解く鍵となるのが、このシーケンス分析です。

アフターデジタル時代に企業が捉えるべき課題とそれに対するビービットのサービス(再掲)

シーケンス分析だからこそ見えてきたものとは:エイチーム引越し侍様の場合

第3回の記事では、シーケンス分析を実践することによってUX企画力が身につき、成果にもつながっている例を紹介しました。

今回取り上げるのは、引越しの予約や一括見積りなどのサービスを提供しているエイチーム引越し侍様です。

引っ越し見積もりサイト:引越し侍

もともとABテストをはじめ、データドリブンに改善を進める体制・社風のあったエイチーム引越し侍様ですが、「一番効率の良いCVR改善の方法は、迷いながらCVした人をいかに迷わせないようにするかである」という考え方に触れたことをきっかけに、シーケンス分析を取り入れたそうです。

実践する中で気付いたことの1つが、「時系列で行動を見るとユーザの思考や感情がわかる」ということ。

これまでの集計データの多くでは、ページAからページBへの「遷移率」までは知ることができました。しかしその中に含まれているはずの”誤って遷移してしまったユーザ”を区別することはできません。

一方、行動の順番やかかった時間を見ていくシーケンス分析では、遷移先のページから1秒でブラウザバックした、というようなことを簡単に把握できます。すると、ユーザの「間違ったと思ってすぐに引き返した」という行動が浮かび上がってきます。

単純に間違ってリンクをクリックしたという場合もあるでしょうし、中にはユーザが何かを誤解してクリックしたという場合もあるかもしれません。誤解したのだとしたら、どのコミュニケーションが原因なのか、なぜそれが誤解につながるのか?そうしたことを考えていくうちにユーザの置かれた状況が見えてくるのです。

その他にも、これまでの平均値では見えなかったことがシーケンス分析で見えるようになってきているとのこと。

ページコンテンツには、「このページはこういう人に読んでほしい、そしてこういうアクションにつながってほしい」という想定があります。シーケンス分析で特定ページの閲覧とその前後の行動を見ると、そのユーザがそのコンテンツのターゲットなのかどうか、その後どのような行動につながったのか、つまり「このページは想定通りの働きをしているかどうか」を検証することができます。

集計データでは平均滞在時間が1分、ということしかわかりませんが、シーケンス分析を使えば、5秒しか見ていない人と5分見ている人が、それぞれの文脈も含めて可視化できるのです。

ご担当者様は、「これまでの一般的なツールでは集計された平均値を目にすることが多かった、でもそれでは『内訳』はわからないんです。平均という形に丸めてしまうとユーザは見えなくなることもある、ということに気付けたのは大きかったですね」と語ってくださいました。

エイチーム引越し侍ご担当のお二人(写真はビービット主催セミナーにご登壇いただいた時の様子)

データから得られた気付きを、目先の売上ではなくUX向上のために使う

アフターデジタル時代には、こうして見えてきたユーザに関する気付きを何に使うかが企業の命運を分けます。

当然のことですが、売上がなければ企業は存続できません。売上を伸ばすために使えそうなものは何でも使いたい、というのが多くの企業経営者の本音かもしれません。しかし、目先の売上を追いかけるあまりデータを売上げアップのためにしか使わないとしたら、一時的な利益は出ても継続しない、焼畑農業のような事業にしかならないとビービットは考えます。

ユーザの行動データから得られた気付きは「良いUX」を作ることでユーザに還元していくことが、これからの時代に必要とされる考え方です。なぜなら、アフターデジタルは「良いUXが提供されるところに人が集まる」時代だからです。

エイチーム引越し侍様でもシーケンス分析の結果をもとに、ユーザをいくつかのタイプに分けてカスタマージャーニーマップを再定義。同社が提供する、エアコン工事やインターネット回線、害虫駆除などの引越しに関わる様々なサービスを含めて、ユーザにとって最適なタイミングで最適なサービスを提供できる状態を目指しているそうです。

そうした実践段階で必要となる、行動データを正しくユーザ体験に還元するための能力(ケイパビリティ)をビービットでは「UXインテリジェンス」と呼んでいます。ご興味のある方は、ぜひホワイトペーパー「UXインテリジェンス – アフターデジタル時代のデータ活用スタンダード」をご覧ください。

本シリーズのまとめ

アフターデジタル時代に企業が捉えるべき課題を整理し、それらを解決しながら実践につなげていくための具体的な方法論を紹介してきた本シリーズ、ここで改めて要点を整理します。

  • アフターデジタルは状況ターゲティングの時代
  • ビービットの提供するサービスの1つは、サービスそのもののターゲットとなるような大きな状況を捉え、ユーザを幸せにする企画を考えていくためのUXデザインコンサルティング
  • もう1つは、ユーザに使い続けてもらうために必要な「良いUXを提供し続けること」、その実現の第一歩となるシーケンス分析
  • いずれもUXを高めていくことにつながるサービスで、「より良いUXに人が集まる」アフターデジタル時代の企業を支援するためのもの

少しでもビービットのサービスにご興味を持っていただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

本シリーズが、アフターデジタルの実践に取り組む皆様の一助となれば幸いです。

株式会社エイチーム引越し侍 会社概要
▼コーポレートサイト
https://hikkoshi.a-tm.co.jp
▼本社所在地
名古屋市中村区名駅三丁目28番12号大名古屋ビルヂング32F
▼主な運営サービス
引越し見積もりサイト:引越し侍
エアコン取り付け工事:エアコンサポートセンター
インターネット・プロバイダおすすめ紹介:Proval
修理・害虫駆除の業者紹介:ファインドプロ

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