「ゲーム以外の分野でも、生活を変える体験をつくりたい」
ー前職で何をしていたかを教えてください。
本多:株式会社SCRAPで、リアル脱出ゲームをつくっていました。もともと、「体験づくりを通して社会をよくする」ことをしたくて、まずは高品質な体験が多いゲーム業界で力をつけようと思って入社しました。
ー転職を考え始めたのはなぜだったのですか?
本多:2019年の夏につくった、アイドルのリアル脱出ゲームが、自分の中で手応えがあったんです。参加者には、普段は積極的に外に出ないタイプの方が一定いました。その人たちが、一歩踏み出してリアル脱出ゲームに参加し、「推し(自分が応援するメンバー)」のために、自分の力で頑張ってライブを実現させてあげるという成功体験をつくれたんです。アンケートでも「本当に自分たちがライブをつくり上げた感覚になれた。イベントってこんなに楽しいんだ。」という内容を書いてもらえて。これは嬉しかった。
私がつくった体験が、彼らの意識・生活のあり方の一部を変えた、豊かにできたと思いました。そういった経験の中で、「自分は、その人の生活を豊かに変える体験をつくりたいんだな」と、改めて気づかされました。
もちろんゲーム自体も「その人の生活を変えてしまうような体験」をつくれます。確実に、ゲームは人生を豊かにする。そう信じてつくってきた。しかし「ゲームで培った力をつかって、ゲームに参加する人以外の生活を変えられたら?」と自分に問うたときに「面白そうだ」とわくわくしたんですね。その気持ちに従って転職を考え始めました。
決め手は「自分がつくる体験で、個人・社会を幸せにする」という思想の合致
ービービットに入社を決めた理由も教えてください。
本多:まずは、思想が合致したということが大きいです。
選考が進む中で、社員の方が書いたアフターデジタルという本を読んだんですが、そこに書いてあることは「体験設計の力で個人の人生・社会をよくする」ということを、既に高いレベルで実践している中国の事例でした。まさに自分が考えていることに近い!と思ったんです。具体的には、本の中の、中国のタクシー配車アプリの「DiDi」の事例が印象的でした。
私、2009年ごろに中国に遊びに行ったんですが、そのときにタクシーの体験とか、「酷いなあ」と思っていたんですね。運転も荒いし、足下をみて3倍の料金を吹っ掛けられたり。だけど、その本に書かれているDiDiの事例では、評価と給与を絡めた、運転手のモチベーションを高めるサービスの体験設計によって、自然と運転手が良い運転をするようになり、顧客体験が劇的に変わった様が書かれていたんです(DiDiの体験の工夫の詳細等は別記事をご覧ください)。
まさに、ユーザの幸せ・社会問題の解決に一企業のアプリ・体験設計が役立っていると感じ、「こういうことがやりたい」と感じました。高い体験品質を日本の市場でやろうとするビービットという会社に興味を持ちました。
ゲーム制作との類似点は「コンセプトを生み出し、体験をつくりこむ」点
ーなるほど。他に選考の中で気にしていたことはありますか?
本多:ゲーム制作のスキルと、ビービットの体験設計で求められるスキルの重なりと相違について、コンサル部門トップの平井に質問しました。
平井は「コンセプトを生み出し、体験をつくりこむ」というプロセスは近いのではと言って、LIONのIoT歯ブラシの事例で説明してくれました。まずプロジェクト序盤で、母子の歯磨きについてインタビューしたそうです。その中で、子どもは歯磨きを嫌がるが、お母さんは虫歯にしないために半ば無理に歯磨きさせ、親子の関係が「ギスギスしてしまう」という状況を発見した。
その状況を見て、「ギスギスの関係になる歯磨きをニコニコの関係にする」というコンセプトをたてた。そのうえで、プロトタイプを使ったユーザ調査を繰り返し、子どもが喜んで磨きたくなる体験を磨きこんだと聞きました。「ユーザが幸せになるコンセプトを立て、体験をつくりこむ」というプロセスは、たしかにゲームに近いと思いました。
「ユーザの状況に徹底して着目する」ことと「体験の影響範囲」が、ゲーム制作よりもチャレンジング
ユーザの状況に徹底して着目し、強いコンセプトをつくる
本多:逆に、平井が違いとして挙げていたのが、ユーザの困っている状況に着目し、コンセプトをつくり上げるという点でした。LIONの事例だと、まずは母子への徹底したインタビューで、母子がギスギスした関係になって困っているという状況を発見することが1stステップです。
一方、前職での体験設計は、「自分がユーザとして面白いか」という点を追求するので、他者としてのユーザ理解の重要性は相対的に低かったと思うんです。より幅の広い体験をつくるためには、ビービットが大事にするユーザ理解のプロセスは重要だと思っています。
つくった体験が、市場の再定義・生活の変革につながる
本多:また、平井はゲームの制作と違う点として、見つけた状況・コンセプト・体験が、そのまま市場の再定義・生活の変革につながるという点を挙げていました。
これもLIONの事例でいうと、もともとのお題は、「IoT歯ブラシという市場でいかに勝ち残るか」というお題でした。しかし、「ギスギスした関係になる」という状況を見つけたことで、解くべきお題が、「数千個規模の小さなIoT歯ブラシ市場での勝ち負け」から、「歯磨きの際のギスギスの関係に苦しむ、母子の課題解決」というふうに、市場の規模・プロダクトの意味合いが生まれ変わった。自分のつくった体験が、市場の再定義・生活の変革にダイレクトにつながる点は、チャレンジングであると感じています。
選考の中で感じた「ゲームデザイン」へのリスペクト
ー他に、選考の中で印象に残った点はありますか?
本多:他の事業会社を受けていると「ゲームしかつくれないでしょ?」といった印象を持たれて悔しかったんです。ゲームづくりの経験が、ほぼゼロカウントされてしまう。「ゲームで培った体験づくりの強い力は、絶対に活かせるはずなのに…」と思っていました。
そういった他の企業と対照的に、コンサル部門トップの平井からは、面談していて「ゲームで培った力」に対するリスペクトを感じられました。上記の通り、ゲームづくりのプロセスを踏まえて、ゲームづくりで培った力が活きると考えているし、私がつくってきた体験の話も、興味をもっていくつも質問をしてくれた。その姿勢に嘘はないように思います。
ー確かに、ゲームデザインについては、社内でも話題に上がるしリスペクトがあると思います。
人を育てる仕組み・文化の強さ
ー入社した後の印象についても聞かせてください。
本多:組織としてコンサルを育てる思想と仕組みが、思った以上に浸透・整備されているなと感じています。例えば、入社後すぐのトレーニングで、コンサル・営業の部門の副責任者の方が毎日1時間割いて、1人の新人に対してフィードバックをくださる。多大なリソースを割いてくれることに驚きました。それ以外でも、メンターMTGが週1回、目標MTGが月1回あったりと、手厚い体制が整っています。また、協力を仰いでも、多くの方が新人のために率先して協力くださり、「社員が組織として人を育てようと本気で思っているんだな、その文化が浸透しているんだな」と感じます。
幅広い業界・サービスに携われるというワクワク感
本多:ゲーム業界の人に多いと思うのですが、転職時の私は、体験設計の力で世の中の仕組みをよくしたいと思っているものの、業界は特定せず、幅広い業界の仕事ができることを希望していました。
実際、入社して過去のプロジェクトフォルダを見ていると、消費財系のメーカーから、小売・メディア・金融など多様なクライアントがあり、その点は期待どおりでした。プロジェクトの内容としても、ウェブやアプリの事例は多いですが、店舗の体験設計や、事業コンセプトの再定義といった事例も増えてきており、幅広く経験できることを期待しています。
ー本日は、貴重なお話をありがとうございました!
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