本書は、「デジタルトランスフォーメーションを行いたいと思いつつも、何をしたらよいのか分からない」と悩んでいる方に、「変革の武器」として使っていただくことを想定した本です。
その先進性から”デジタルチャイナ”とも称される中国など各国の事例を紐解きながら、これからの時代に日本企業が生き残るためには何を考え、どう行動すべきかを体系的にまとめました。
「日本はいま、中国から何を学ぶべきか?
中国はいま、日本から何を学ぼうとしているのか?
ふたつの答えに、日本の未来のヒントがある!」(小山薫堂氏)
書籍紹介
デジタル先進国で起こっていることの本質を伝えたい
近年ビービットは、中国先進デジタル環境の裏側にある仕組みや、その奥にある新たなビジネス競争原理を、中国視察・ウェブチャネル・セミナーなどで積極的に発信してきました。その反響の大きさから、これらの情報をより多くの方にお届けする必要性を感じ、この度、書籍として出版する運びとなりました。
本書ではこれまでにビービットが得た知識・経験に、共著者であるIT批評家・尾原和啓氏の持つ膨大なグローバルレベルの知識を統合することで、世界視点で捉えたデジタルの変化と、ビジネスにおいて必要な視点やアクションを提示しています。
「アフターデジタル」とは「オフラインのない世界」
本書で描こうとしている「アフターデジタル(After digital)」という社会環境は、「オフラインが存在しなくなる社会」を指しています。例えば米国の一部地域、中国都市部、エストニアに代表される一部の北欧では、既にオンラインとオフラインの主従逆転が起きていて、アフターデジタルが現実のものになりつつあります。
モバイルペイメントやIoTの例からもわかるように、行動データを高頻度に取得できるモバイルデバイスやセンサーが普及すると、データ化できないオフライン行動はなくなり、「オフラインがデジタル世界に包含される」ようになります。そうした世界を私たちは「アフターデジタル」と呼んでいます。
それに対して、いまだ日本人の多くが抱いている「オフラインの世界が中心で、そこに付加価値的にデジタル領域が広がっている」という捉え方のことを、本書では「ビフォアデジタル(Before digital)」と呼んでいます。ビフォアデジタル的な考え方が主流の今の日本では、デジタル事例を「企業に紐づく個別の取り組み」と捉えがちです。しかしデジタルが本当の意味で浸透すると、社会システムそのものがアップデートされ、様々な取り組みが「点」ではなく「線」、さらには「面」としてつながっていくのです。
伝えたいのは「日本はこれからどうするべきか」
この状況を鑑みた上で日本がデジタル先進国に追いつき追い越していくためには、「行動データ×エクスペリエンスの切り口で考える、という新たな視野を獲得するべき」だと我々は考えています。本書では、全体を通して日本の状況に対して警鐘を鳴らすだけでなく、どこに立脚し、どのような視野を持つべきなのかという考え方を展開しています。
世の中の変化をリードする意志を持ち、新たな時代のビジネスを構想・加速しようとする全ての方に、活動と思考の立脚点を固めるための基盤としてお役に立つ書籍です。
著者コメントとプロフィール
株式会社ビービット 藤井保文
「中華圏5年、上海2年の滞在と、アリババや平安保険はじめ様々な中国と日本のビジネスマンとのディスカッションから得られた知見を、ようやくまとめて世に出すことが出来ました。
日本が遅れているという意識も必要と思う一方、日本企業である私たちの強みは、立脚点さえ正しければ強力なポテンシャルになるはずだと思っています。これを契機に、デジタルによる社会のアップデートを皆さまと加速させていきたいです。」
1984年生まれ。東京大学大学院学際情報学府情報学環修士課程修了。
2011年、ビービットにコンサルタントとして入社し、金融、教育、ECなどさまざまな企業のデジタルUX改善を支援。 2014年に台北支社、2017年から上海支社に勤務し、現在は現地の日系クライアントに対し、モノ指向企業からエクスペリエンス指向企業への変革を支援する「エクスペリエンス・デザイン・コンサルティング」を行っている。2018年8月には『平安保険グループの衝撃―顧客志向NPS経営のベストプラクティス』を監修・出版。2018年9月からはニューズピックスにおいて、中国ビジネスに関するプロピッカーを務める。
IT批評家 尾原和啓
IT批評家、藤原投資顧問書生。
京都大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、Google、iモード、楽天執行役員、2回のリクルートなど事業立上げ・投資を専門とし、経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。現在13職目 、シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡いでいる。ボランティアでTED日本オーディション、Burning Japanに従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。
シンクルはApple 2016年ベストアプリ10選に。
「ITビジネスの原理」はKindle 年間ランキングビジネス書部門 2014、15年連続Top10のロングセラー(2014年7位、2015年8位)。韓国語、中国語版にも翻訳されている。
*15/6/11 Kindleランキングにて、書店はABC六本木、渋谷Book 1st 6/15調べ
*14/8/30 ランキングにて、年間でも2014年Kindleビジネス書7位
目次
第1章 知らずには生き残れない、デジタル化する世界の本質
1-1 世界の状況、日本の状況
1-2 モバイル決済は「すべての購買をIDデータ化する」
1-3 シェアリング自転車は「生活拠点と移動をデータ化する」
1-4 行動データでつなぐ、新たな信用・評価社会
1-5 デジタル中国の本質 データが市民の行動を変え、社会を変える
1-6 大企業や既存型企業の変革好事例「平安保険グループ」
1-7 エクスペリエンスと行動データのループを回す時代へ
第2章 アフターデジタル時代のOMO型ビジネス~必要な視点転換~
2-1 ビフォアデジタルとアフターデジタル
2-2 OMO:リアルとデジタルを分ける時代の終焉
2-3 ECはやがてなくなっていく
2-4 転覆され続ける既存業態
2-5 日本企業にありがちな思考の悪例
2-6 企業同士がつながって当たり前 OMOの行き着く先の姿
第3章 アフターデジタル事例による思考訓練
3-1 GDPR vs 中国データ共産主義 ~データの取り扱いをめぐる議論~
3-2 「レアな接点」に価値がある時代
3-3 技術進化による「おもてなし2.0」
3-4 高速化・細分化・ボーダレス化する、これからのものづくり
3-5 不思議で特異な日本の強み
第4章 アフターデジタルを見据えた日本式ビジネス変革
4-1 次の時代の競争原理と産業構造
4-2 企業に求められる変革
4-3 日本企業が変わるには
4-4 つながる世界での私たちのポテンシャル
書籍情報
書籍名 アフターデジタル – オフラインのない時代に生き残る
出版形態 単行本、Kindle版
著者 株式会社ビービット 藤井保文、IT批評家 尾原和啓
価格 2,200円+税
出版 日経BP社
発売 2019年3月25日