そこで、最近入社した若手2人に入社研修、中でもエクスペリエンスデザイン(XD)コンサルティングの研修について聞いてみました!
XD部門の研修のキモは「体験設計とは何か?」
東京理科大学工学部工業化学科。バリバリの理系と思いきや学生団体などをやっていた。新卒で入社したのは不動産デベロッパー。ビービットには2018年8月にインサイドセールスとして入社。
田城:杉山さんは8月のお盆休み明けに、入社されたわけですが、そこからこれまでの研修の流れを教えてください。
杉山:入社してすぐに共通座学がありました。その後インサイドセールスの研修を1.5か月受けた後、XD研修を17日間受けて、今はカスタマーサクセスの研修を受けています。
田城:妹尾さんはいかがですか?
京都大学経済学部卒業。学生時代は草野球に打ち込む。2018年10月に新卒でビービットに入社。配属先は全ての研修終了後に決定する見込み。
妹尾:僕は10月に入社したばかりで、共通座学を受けた後、杉山さんと同時期にXD研修を17日間受け、今も一緒にカスタマーサクセスの研修を受けています。
田城:では早速、つい先日研修が終了したXD研修について教えてもらえますか。
妹尾:XD研修は、プロジェクトの進め方とか調査手法といったような細かい方法論ではなく、体験設計とはいかなるものなのか、というところに重点が置かれていました。なので、調査に協力してくれるユーザの集め方、といったような実務ではなくて、17日間使って自由に体験設計してきていいよ、といった感じでした。
杉山:そうですね。XD研修を担当する先輩からは、スケジュールの組み方とか報告書の書き方のようなタスクにフォーカスを当てるな、体験設計にフォーカスを当てろ、と言われていました。
妹尾:XD研修だけじゃなく、研修全体を統括するマネージャからも「お客様に向き合う17日間にしてください」と。
上司をクライアントに見立て、自分でプロジェクトを進める17日間
田城:なるほど。具体的にはどんな内容だったですか?
杉山:とある不動産サービスの会社をクライアントに見立てて、もし、ここの社長に提案するならどうしますか、という内容でした。
妹尾:一応、XDのリーダーの皆さんがマネージャ役についてくれ、エクスペリエンスデザイン部門責任者の平井さんがクライアント役、という立てつけになっていましたね。
田城:皆さんはグループでやりました?それとも一人ひとり?
杉山:体験設計と顧客に集中するため、一人ひとりでした。
田城:なるほど。じゃあ一人ひとり、取り組み方も違ったわけですね。杉山さんはどのように取り組みました?
杉山:マネージャ役の人には「困ったら一次情報」と常に言われていましたね。
ユーザはサービスに対してどう思うのか。また、例えば今回のお題は不動産サービスだったので、何をきっかけに検討がスタートし、どのように進んでいって、最終的にどう決定するのか。カスタマージャーニーを可視化した上で、それを元に電話や対面でユーザに当たって情報収集をしていきました。
迷ったタイミングでは常に情報収集していましたね。
その結果、クライアントのサービスはどんな課題を抱えていて、どのように改善していけばユーザにとって役に立つサービスになって、クライアントも売上向上につながってみんなハッピーになるのか。こう、ひたすら仮説検証を繰り返しまくって、少しづつ精度を上げていった感じです。
妹尾:僕も同じような感じですね。よく平井さんがミーティングで話していることがあるんですけど。「ユーザの違和感のある状況をとらえて豊かな体験設計をする」という。
なので、まずはユーザに違和感を聞いていったわけですよ。例えば今回だったら、ユーザに京都から東京に引っ越してきた時のことを思い出してもらって、何がだるかったですかって。実際にその時使っていたWebサービスとか使って思い出してもらったりして。
そうすると、まず家賃の相場が分からないんですよね。土地勘がないからどこに住んだらいいかもわからないし。駅を決めるところから困ってるんですよ。
でも、こういうことって聞いてみないとわからないんです。Webサービスだけを見ていると、いかに良い家を選ぶのか、にフォーカスしているように見えるんですけど、本当はもっと根本的に困っている。
また、選ぶ段階に来ても、結構細かい条件があるんですよ。例えば駅から遠くても風呂トイレ別がいいとか、駅のそばがいいから少しくらい高くてもいいとか。ユーザが何を優先して何を妥協するのかに合わせてわかりやすく見せるということは、既存サービスはできていないんですね。
この2つを解決するにはどうしたらいいかということを、プロトタイプを作ってユーザに当てて「これはいいね」「ここが使いづらい」と言われることを繰り返して、精度を高めて完成形に近づけていきました。
2人それぞれだった上司からのフィードバック
田城:なるほど。報告会でのクライアント(=平井)の反応ってどうでした?
杉山:平井さんの反応、僕意外に良かったんだよなあ(笑)。他のマネージャもみんなそう言ってたんですけど(笑)。お客さんにとって自然な体験になっているというところを評価してもらえたみたいです。
一方、強く言われたのはコンセプトの核になるところをもっと研ぎ澄ませなさい、ということでしたね。
体験設計って具体と抽象を行ったり来たりする仕事なんです。ユーザに具体的なプロトタイプを当てて反応を見るところと、これはつまりユーザに何を提供していて、何を解決しているのかというコアを突き止めるところの行ったり来たりをずーっとするんですよね。
これを繰り返して、最終的にシャープな、一言で表せるコンセプトを作っていくんですけど、そのコンセプトをもう一歩磨き上げられると良かったんじゃないか、と。そうしたらもっと良い体験設計ができたんじゃないの、とは言われました。
言われて、すごく納得できましたし、印象に残っている点でしたね。
田城:深い。妹尾さんはどうでした?
妹尾:僕は2つあって。1つは「社長の僕は今から何をしたらいい?」ということ。もう1つは「自分は使うと思う?」でした。
1つ目については、僕は体験設計に重きを置いていたので、具体的なアクションプランに落としていませんでしたし、正直言って質問も想定外でした。体験設計がメインの研修だったので趣旨からは逸れるけれども、確かに実際に実社会のクライアントが一番気にするのってそこなんだろうな、と。実行するのに何か月かかって、コストはいくら掛かるのか。それを何か月で黒字化できるのか、みたいなところなんだろうな、と。
田城:確かにね。2つ目の「自分なら使うと思う?」はどうだった?
妹尾:それは、もう、即答で「はい」ですよ!使わんもん出すわけないじゃないですか。真剣にやってるんだから!
田城:ごめんごめん(笑)。
杉山:僕も同じようにマネージャ役の先輩に指摘されましたね。「結局、やっているのはビジネスなんだよ」という。だから、いかに成果に貢献できるのかっていう視点は持たなきゃいけないよね、と。実際、これをやったらどれくらい成果が出るんだっけという分析は、どうしても研修だと難しいんですけど、そこは考えた方がいいよね、と言われました。
自分の提案だと実行できるところまで落とし込んだものの、それって本当に成果につながるんだっけという、ユーザだけじゃなくクライアントにも役に立つには、という視点を欠いていたのではないかと、そこは反省しましたね。
田城:両方の視点が必要なわけですね。XD研修、終えてみてどうです?大変でした?
妹尾:考え込むことが全く辛くないタイプなんですよね…。体も動かさないでいいじゃないですか(笑)。はたから見たら座っているだけだったかもしれないですけど、僕全部面白かったからなあ。
考えることがものすごく好きなんですよね。これはマネージャとも話していたんですけど、なぜこれをやらないといけないのかと思うような、与えられたプランをただなぞるのではなく、クライアントのため、エンドユーザのため、というところをずっと考えながら進められたので、無意味な作業じゃなかったというか。
たとえば、ただプロトタイプ研修をやってこい、だけだとタスクと化しているので多分面白くないんですよ。こういう目的のためにはちゃんとユーザにぶつけて精度を高めていかないといけないな、と自分の中で理解できていたのが良かったですね。目的に落ちていたので、すごくおもしろかったです。
杉山:それはそうですね。目的を持つ、というところはビービットはすごく強いと思っていて。「意味のないことはやらん!」みたいな。なので、やっていることに意味があるのか問い直しながら自分で設計していけるのは面白かったですね。
だから、僕もあんまり研修が苦痛だと思ったタイミングってなくて、むしろ、日々自分の考えがアップデートされていく感覚がすごくおもしろかった、という記憶が強いです。
仮説を当てて、もろくも壊れたりする瞬間というのも一定あるんですけど、それすらも、ああ、なるほどなって。そうか、お客さんを理解するってこういうことなんだとつかめたりとか、これでやっと良いものに近づけられるという感覚が得られたのは楽しかったですね。
ただ、やっぱり思考の体力はいるな、と思いましたね。楽しさとも紐づいてくるんですけど。ずっと「これは一体何なんだ」ということを考え続けるというのは、妹尾君も「脳に汗をかく」って言ってましたけど、踏ん張って力を入れて考え続けないといけないというのはやりがいでもあり、大変なところでもありましたね。
妹尾:突き詰めた答えが出るときは気持ちがいいですけどね。以前のインタビューで嘉一さんも言ってましたけど、研修でですら、「おお!」って思う瞬間がありましたね。
全てのフィードバックは「顧客中心」から来ていた
田城:研修を通じて伝わったものってありました?
妹尾:ありましたよ、マジで死ぬほど伝わりました(笑)
杉山:それは、表現として、合ってる(笑)
妹尾:死ぬほど伝わる(笑)。研修やっていると、平井さんがクライアント役なので、やっぱり5%くらいは「平井さんに怒られないかな」とか「気にいられたいな」みたいな気持ちがあったりするんです。だけどそれは顧客に向き合うのではなく、平井さんに向き合っているだけだから、その5%すらもきちんと顧客に向けなさいって言われたりとか。
真の目的とは何なのか、ということをずっと問われていましたね。
杉山:うん。それは本当にそう。
妹尾:プロジェクト単位で、なぜその施策が必要なのかを問うとか、論理的に破綻していないかを問う、というのはどこでもやることだと思うんですよね。
ビービットの場合は「そもそもなぜこのプロジェクトが存在しているのか」「なぜビービットは存在して、この仕事を請けているのか」というところまで考えているんだ、ということが理解できるように研修が設計されているんだな、と。
杉山:僕はXDだけじゃなく、カスタマーサクセスやセールスなど、複数部署での研修を受けてきているんですけど、根幹にあるのは同じだな、と感じていて。いうなれば全てが理念の「顧客中心」から来ていて、すべてのフィードバックが理念に基づいてやってくる、という。ここまで目的が明確で筋が通っている研修ってあまりないんじゃないかな、と。
どこの部署の研修でも、自分のスタンスを貢献する相手、役に立つ相手に向けなさいと言われて進んでいくんです。なので、ビービットって本当にこういう会社なんだな、と理解せざるを得ないというか。
妹尾:あと、共通座学の時にマネージャから言われたことがあります。
「与えられたプログラムだからやるんじゃなくて、その背景には人がいるんだということを意識してください。」と。なぜ研修をこのように設計したのか、なぜ先輩はああいったことを言うのかということに想いを馳せることまで仕事です、と。
杉山:そうそう。だから、研修ではありますが、ビービットの一員として仕事をしているんだ、という感覚は常に意識していましたね。仕事だから、研修の改善も当然だと思って提案しましたし。
妹尾:確かにしましたね。
杉山:この研修の結果、僕たちはこう感じたんですけど、それって意図通りなんですか?とか。研修の目的から考えたら、進め方や方法について、こうしたほうがいいと思うんですけど、って。
妹尾:そう、ビービットは研修の内容についても普通に考えていいんですよね。普通だったら研修を設計する人だけが考えるんでしょうけど、受けている人間だからこそわかることもあって。感じた違和感を伝えたら、マネージャが話し合ってくれて、「確かにそうだね」と言ってやり方を変えてくれたこともありました。
普通、研修に文句なんか言ったら給料が下がるだけですからね(笑)。良い会社だなと思いました。
杉山:受けて終わりの研修じゃないのはいいですよね。研修というのは、終わった後に現場で役に立てるようになるために与えられた準備期間なんだな、と。だからこそなるべく多くの情報を得て、なるべく成長して、戦力になれるように自分を作るための一番大事な最初のステップなんだな、と感じました。
ビービットでは研修段階から自分で考えて行動していくということが問われるんだなと思いましたね。
田城:妹尾さんはまだ研修が続きますが、杉山さんは12月からインサイドセールスに配属になります。研修、役に立ちそうですか?
杉山:役に立つと思います。多角的に会社が理解できる構造になっていたので、全社からみたインサイドセールスの位置づけも理解できましたし、結構研修の目的を達成できたんじゃないかなと思っています。
一つ一つのタスクの意味が分かるようになりましたし、研修で得たいくつかの知識は配属されたら生かせそうだな、という手ごたえもあります。あとは実践あるのみ、というか。
研修を経て、より良い形で業務に戻れそうです。
研修について、時間をオーバーする勢いで熱く語ってくれた2人。これからの活躍が楽しみです!