2010年11月05日
成果につながるフォーム最適化 - シナリオの重要性
ユーザビリティコンサルタント
酒巻 厚志
フォームを直したのに、思ったほどフォームの通過率が上がらない。そんな経験はありませんか?
最近、EFO(エントリーフォーム最適化)という概念が広まっており、フォーム最適化に特化したサービスも出てきています。また、本サイトのコラムや実践メモでも、フォームの最適化については何度も述べてきました。
フォームはユーザがアクションを行うために通過が必要な最後の砦であり、非常に重要な領域です。しかしながら、サイトはフォームが全てではありません。
あるサイトのフォームは、ユーザビリティは十分高いと思われるにもかかわらず、リスティング広告から入ってきたユーザのフォーム通過率は10%以下という状況でした。
そこで、ユーザがフォームに至るまでの過程を調べると、次のような課題が発見されました。
課題1. サイトに入ってくるユーザ全員に対して、同じ受け方を行っていた
あらゆるリスティングのキーワードに対して、同じページを受けページとして設定していたのですが、実際にはキーワードによって、ユーザの状況は下記のように異なっていました。
- 「プリンタ」など、一般的な製品名で検索を行い、サイトを訪問したユーザは、インターネット上で様々な製品を検討している最中であった
- 「ABC001」などの製品型名で検索を行い、訪問したユーザはすぐに問い合わせようという心理状況であった
課題2. 受けページのコミュニケーションがユーザのニーズとずれていた
受けていたページは、掲載情報を最小限にし、更に情報を得たいユーザを資料請求に誘導するという意図で作られていました。しかし、そのコミュニケーションは、「ある程度詳しい情報を資料請求の前段階で手に入れたい」というユーザのニーズに反していたことがわかりました。
そこで、出稿キーワード毎に、ユーザが求める情報を考え、それぞれのキーワードで流入するユーザに対して最適な受け方を行った結果、全くフォームを変えていないにもかかわらず、フォームの通過率が変更前の3倍以上にまで改善されたのです。(下図イメージ参照)
ここでのポイントは、
- キーワードを元に、どのようなユーザが入ってくるのかを考える
- 入ってきたユーザを、ユーザの性質毎に適切にもてなす
- もてなした後は、最適化したフォームに誘導する
と、サイトの入り口からサイトのゴールまで全体を俯瞰し、最適化したところにあります。
フォーム最適化を成果につなげるために、部分的にサイトを見るのではなく、サイト全体を俯瞰し、ユーザがサイトと接する時点からサイトを出るまで、一貫してユーザをもてなすことができているのかどうかをもう一度見直してみてはいかがでしょうか。
※このエントリーはビービットの運営する『ユーザビリティ実践メモ』2009/8/24の記事を転載したものです。
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