2010年01月03日
「ランディングページ」の盲点
ユーザビリティコンサルタント
垣内 勇威
1ページ完結型「ランディングページ」は
コンバージョンまでに詳細な検討を要する商材に弱い
近年、広告をクリックした際に表示されるページとして、コンバージョンへのリンク以外を極力張らず、1ページ内で訴求を完結させる、いわゆる「ランディングページ」が普及しています。この1ページ完結型の「ランディングページ」には、他ページへの離脱を防ぐというメリットがあり、基本的には1回の訪問で直接コンバージョンさせることを狙っています。
しかし、この1ページ完結型の「ランディングページ」が全ての商材に有効だとは限りません。まずは、この「ランディングページ」が有効な商材と、有効ではない商材の例を以下に整理しました。
有効な商材:直感的にコンバージョンしやすい商材
(例)コスメ・食品等の消耗品、キャッシングなど シンプルな比較軸で選べる商材や、衝動買いしやすい商材など、1ページの情報量でコンバージョン可能な商材の場合、他ページへの離脱を防げる分、有効です。
有効でない商材:コンバージョンまでに詳細な検討を要する商材
(例)住宅ローン、法人向けソリューションなど 高額の商材や、BtoBの商材などは、1ページの情報量ではコンバージョンに至りにくいケースが多く、その場合は複数ページでの説得シナリオや、再訪を前提とした説得シナリオが必要になります。
「ランディングページ」が1ページで完結する必要はない
複数ページでのシナリオも考慮する
広告をクリックした際に表示されるページが、1ページで完結している必然性はなく、本質的にはセールスプロモーションの入口となる「広告受けページ・コンテンツ」と捉えるべきです。先述の通り、直感的にコンバージョンしやすい商材であれば、1ページ内でのセールスプロモーションが十分可能なため、結果的に1ページ完結型の「ランディングページ」となります。
しかし、コンバージョンまでに詳細な検討を要する商材に関しては、サイト本体と切り離した複数ページの「ランディングサイト」や、サイト本体のセールスプロモーションコンテンツへのリンクを集めた「セールスプロモーショントップページ」が必要となるのです。
「ランディングページ」が1ページで完結する必要はない
複数ページでのシナリオも考慮する
1ページ完結型の「ランディングページ」は他サイトへのリンクを張らず、基本的には1回の訪問で直接コンバージョンさせることを狙っています。しかし、アクセス解析で実際のユーザの行動を分析すると、1回の訪問ではコンバージョンせず、再訪を繰り返した後コンバージョンするという行動がよく見られます。
例えば、ある金融商材では、金融商品の名称でリスティング広告を出していましたが、広告から直接コンバージョンする割合よりも、1回広告から受けページに訪問して離脱した後に、検索エンジンで企業名を検索して再訪し、コンバージョンする割合の方が多いという事例がありました。
この場合、1ページ完結型の「ランディングページ」だけではシナリオが完成せず、サイト本体との連携が必要になります。
逆に言うと、広告受けページとサイト本体の訴求内容が異なっている場合、ユーザの混乱を招き、離脱に繋がる恐れがあります。自然検索からの再訪以外に、お気に入り登録からの再訪や、メールマガジンからの再訪など、商材によって考慮すべき再訪シナリオは異なりますが、コンバージョンまでに詳細な検討を要する商材では、一度の訪問でコンバージョンする確率は低く、再訪を考慮したシナリオを設計することが不可欠です。
以上のように、広告の受け口としての「ランディングページ」をセールスプロモーションの入口となる「広告受けページ・コンテンツ」と捉え、シナリオから見直すことで、ユーザはより自然にコンバージョンにたどり着けるようになります。
※このエントリーはビービットの運営する『ユーザビリティ実践メモ』2009/03/23の記事を転載したものです。
- 再訪数などのコンバージョンまでの行動を確認し、商材ごとにシナリオの評価を行うには