ある生命保険会社のウェブサイトでは、ときどき、1日に10種類以上の商品の資料請求をするユーザがいました。
原因はよく分からなかったのですが、上司には「アクセスログツールの集計ミスでは?」「手違いの人では?」と異常数値扱いをされて、成果にカウントしてもらえませんでした。
定期的に10種類も資料請求をするユーザの行動とは
せっかく追っている資料請求KPIの数値なので、きちんと成果としてカウントされたいものです。
担当者は、最近導入したUSERGRAMで1日に10件もCVするユーザの行動を見てみることにしました。

すると、そのようなユーザは定期的に訪問し、その度に数件〜十数件、資料請求をしていることが明らかとなりました。
さらに、閲覧しているページを詳しく見ていくと、ユーザは資料請求をしない時も、最新の商品を、それも約款など詳細ページまで閲覧していました。
正体はファイナンシャルプランナーだった
また、このサイトでは郵送の資料請求に加えて、資料データのダウンロードという方法もあったのですが、最新の商品が出るとすぐに、資料データダウンロードをしているようでした。
これらを鑑みるに、このユーザはおそらく自社とは契約していない、個人のファイナンシャルプランナーなのではないかと推測されました。
顧客の代理で資料を請求したり、最新の商品情報をウォッチしていたのでしょう。
アクセスログ解析ツールのバグでも、ノイズでもなかったのです。
ファイナンシャルプランナーなので、CV承認はされないものの、正体がわかり、担当者はスッキリしました。何より、そのユーザにとっての自社サイトの「使いづらいポイント」を発見したことが収穫でした。
まとめて資料請求をできる上限数を変更
このサイトでは、それまで、個人の顧客をターゲットに想定していたため、一度に資料請求できる数の上限は5に設定していました。紙の資料送付はコストもかかりますし、一般の顧客が5以上も商品を比較すると却って混乱すると想定していたためです。
しかし、ファイナンシャルプランナーにとっては、5個までしか請求できないと、10個の資料請求をするには2回も資料請求をする必要が生じ、不便です。
つまり、上限数を変更すると1回で済むので、ファイナンシャルプランナーにとって使いやすくなります。
担当者は、一日に6件以上資料請求をするという行動がどれぐらいのボリュームがあるのか、USERGRAMで算出してみました。

すると、10まで行かなくとも7種類や8種類の商品の資料請求が担当者の想像よりもかなり多くいました。
そこで、担当者は一度にまとめて資料請求できる上限数を引き上げることに決めました。
あなたのサイトでは、「異常値」と認識されているものはありませんか?
それが本当に異常値なのか、ぜひUSERGRAMで確認してみてください。
今回の事例のように、サイト改善につながるかもしれません。