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UXコンサルティングで解決できる問題、提供サービスとは

2024.04.10 Wed.

UXコンサルティングで解決できる問題、提供サービスとは

UXコンサルティングとは? ー2つのタイプと期待される効果

UXという考え方への注目が高まるにつれて、ビジネスコンサルティングファームやSIer(システム開発会社)でもUXに関するサービスを提供するケースが増えてきています。しかし、UXの企画や改善は対象とする領域が広く、世の中一般に学べる知識の中には誤解も多く含まれるため、「専門家でなければ十分に課題を解決できない」というシーンが多くみられます。

この記事では、UXの専門家によるUXコンサルティングとはどんなもので、どんな課題を解決できるのかを、大きく2つのタイプに分けて解説していきます。

そもそもUXとは

UX(User eXperience/ユーザエクスペリエンス、日本語ではユーザ体験・顧客体験)は、1990年代にコンピュータ・サイエンスの盛り上がりとともに注目されるようになった概念で、これまでに多くの機関・人物によって様々な定義がなされています。

近年のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の潮流の中で重要性が再認識されていて、その文脈においては単に製品やサービスに直接触れているときの体験だけでなく、購入・契約の前後を含むユーザとの関係づくりや、一連の体験全体を指す言葉として使われています。

UXの説明・定義の中には、UIとUXという2つの概念がセットであるかのように語られているものもあります。UIとはUser Interface(ユーザインターフェース)の略で、ウェブサイトやアプリの画面などの「ユーザが直接目にするもの・操作するもの」のことです。ビジネスシーンでは、そのわかりやすさ・使いやすさを含んだ意味で使われます。コンピュータ・サイエンスの文脈の中で使われていた頃にはUIとUXは密接な関係にあったと考えられますが、先述のようにUXの意味するところが大きくなった現在、この2つは全く別の概念となっています。

2タイプのUXコンサルティング

先程の話からすると、UXコンサルティングとは「ユーザの一連の体験に関するコンサルティング」ということになりますが、そこには大きくわけて2種類のサービスが含まれます。

1つは新しいUXをつくりだすことを支援するサービスで、戦略策定や新規事業開発に対するコンサルティングがこれにあたります。もう1つは既存事業のUXをより良くすることを支援するサービスで、定性調査やユーザの行動データをもとに事業を成長させることを目指すコンサルティングです。

新しいUXづくりを支援するコンサルティング

前者の「新しいUXをつくることに対するコンサルティング」では、より具体的には全社レベルの戦略立案やそれにあわせた社内コミュニケーションの設計、また、ビジネスモデルの構築やサービスデザインなどを支援します。

従来、全社戦略立案はビジネスコンサルタントやSIerが支援に入るケースが多く、時流にあわせてそういったプレイヤーもUXにかかわる支援を提供するようになってきています。また、ビジネスモデルやサービスデザインの支援においては、これらのプレイヤーに加えて広告代理店やクリエイティブエージェンシー、デザインファームなどが、同様にUXにかかわる支援の幅を広げてきています。

彼らは「ビジネス」「テクノロジー」「クリエイティブ」などもともとの専門領域に軸足を置きながら、UXにも対応してきています。一方でUXコンサルタントはUXそれ自体が専門領域で、深いユーザインサイトに根差して戦略やサービスを立案していくことを得意としています。

短期的な売上ではなくLTV(Life Time Value、顧客生涯価値)的な考え方の重要度が上がっている現在は、アプリやデジタルサービスなどの新しい顧客接点をつくる際、ビジネスモデルを先に考えるのではなく、顧客の状況やインサイトをとらえ、「人が使い続けたいと思えるサービス」をつくることが重要になります。これは言い換えると、「機能を体験価値化」するということです。

「機能を体験価値化する」とは

機能を体験価値化するとはどういうことか、ここで1つ事例を紹介します。

ある消費財メーカーでは、子ども向けIoT歯ブラシの発売を予定していました。正しく歯磨きできているかが数値化できる機能を持った歯ブラシで、メーカーは虫歯予防にとどまらず、「歯磨きの習慣化」に寄与することを目指していました。しかし習慣化のために何が必要なのかがわからず、UXコンサルタントと一緒に考えることにしたのです。

プロジェクト初期の調査でわかった”子どもの歯磨きをする親”が抱えるストレスの本質は、「子どもを虫歯にしてはならない」ではなく、「本当は叱ったり強制したりしたくないのに、嫌がる子どもを羽交い締めにして歯磨きをしなければならない」ことでした。これを解消し、歯磨きを習慣化させるための体験としてUXコンサルタントがたどり着いたのが、「親子で一緒にワンちゃんをきれいにしてあげる」というコンセプト。親対子という構図になりがちだった歯磨きの時間は、親と子が協力してワンちゃんのキャラクターに向き合うことで、笑顔と達成感に溢れた時間に変わったのです。

この事例のように、正しく歯磨きができるという「機能」の提供にとどまることなく、ユーザのペインポイント(問題や悩みなどの解決したい困りごと)を正しく捉えて解決し、より豊かな暮らしをユーザにもたらすのがUXコンサルティングの真髄です。

子ども向けIoT歯ブラシの支援プロジェクトについて詳細はこちら

既存事業のUX改善を支援するコンサルティング

後者の「既存事業のUX改善に対するコンサルティング」では、定性調査や行動データから得られるユーザインサイトをもとに、アプリやウェブサイト、SNS、店舗などの「既に世の中に出ている顧客接点のUX」を改善していきます。

アクティブユーザの減少、解約率の悪化、LTVの伸び悩みなどの問題は、分かりにくいワーディングやデザイン、導線設計による単なるミスコミュニケーションが原因のこともありますが、多くの場合ユーザが置かれた状況における何らかのペインポイントが原因です。UXのプロフェッショナルなら、ユーザが自覚していないようなペインポイントでも正しく特定し、ペインをなくすだけでなくさらにプラスの価値を感じられるような体験設計をすることが可能です。

一方で既にあるサービスを運用していくフェーズでは、自社内にユーザに関する知見を蓄積できるかどうかが、そのサービスが使い続けられるものになるかどうかの分かれ道になります。ユーザ知見がなければ、的を射た改善方針が立てられないからです。このフェーズのコンサルティングでは、いわゆる外注スタイルで、コンサルタントが全ての調査・分析・提案を行う「レポート型」と、「寄り添い型」とでも呼ぶべき、コンサルタントとクライアント企業が1つのチームとなってUX改善に取り組むタイプがあります。

特に寄り添い型では、必要に応じてクライアント企業内のラーニングや育成までカバーしているメニューが提供されているので、社内にユーザ知見を蓄積しUX人材を育てるという観点では、レポート型より寄り添い型のコンサルティングが適しています。

プロジェクト後も活きる気付きと学び

既存事業のUX改善に対する寄り添い型のコンサルティングについても、1つ事例を紹介します。

ある賃貸物件情報メディアでは、「既存のお部屋探しをアップデートする」というコンセプトのもと、学生をターゲットとしたアプリの方向性を探っていました。検討チームのメンバーはメディア運用の経験はあってもアプリの企画は初めてだったため、パートナーとしてUXコンサルティング会社に発注することを決めました。

プロジェクトの初期段階で明らかになったのは、進学にあたって初めてお部屋探しをする学生は、既存の物件情報サイトでは物件を選びきれないということ。UXコンサルタントは、学生が物件を選びきれない理由を、実現したい暮らしのイメージづくりから実際の物件選択に至る複数の検討ステップを同時並行で進めなければいけないことにあると整理し、アプリではこれらのステップを1つずつ進めていけるように設計しました。このアプリはリリース後3ヶ月で、賃貸物件情報を求める新入学生の40%にあたるダウンロード数を突破したそうです。

調査の見学はもちろん、プロジェクト期間中の様々なディスカッションやコミュニケーションを通じて、検討チームにも「もっとお客様のためにできることがある」という気付きが多くあり、チームの責任者は、「不動産業界全体の更なる発展に向け、自社らしくこれから何をすべきかを考える大きな転換点となったプロジェクトだった」と振り返っています。

学生向けお部屋探しアプリの支援プロジェクトについて詳細はこちら

ビービットが提供するUXコンサルティングサービス

株式会社ビービットは、2000年に創業した、企業のUXやDXに関する活動をコンサルティングとテクノロジーで一貫支援している会社です。ビービットでは、「新しいUXづくり」と「既存事業のUX改善」の両方に対応したコンサルティングサービスを提供しています。

「UXデザインコンサルティング」はスポット型で支援に入るサービスで、新しいUXづくり・既存事業のUX改善のどちらにも対応しています。企業のDX方針立案やデジタルサービス企画はもちろん、UX改善活動を継続的に実施していくためのチームづくりを支援するメニューもあります。スポット型と言っても短いもので2ヶ月程度、長いものでは1年近くとプロジェクト期間は様々で、クライアント企業の状況に合わせて、最適な支援の形を提案しています。

UXデザインコンサルティングについて詳しくはこちら

「UXグロースOps」は、並走型で既存事業のUX改善を支援するサービスです。UX改善の基盤となるクラウドサービス(UXチームクラウド USERGRAM)と各種の業務フォーマットに加え、UXのプロフェッショナルであるコンサルタントがクライアント企業と並走することで、ビジネスへのインパクトが大きい改善を効率的に積み重ねていくことができます。月に1回実施するコンサルタントとクライアント企業のミーティングでは、具体的な改善プランの提案だけでなく、成果創出のための方法論や最新事例もシェアされるので、社内のノウハウ蓄積や人材育成にも効果が期待できます。

UXグロースOpsについて詳しくはこちら

自社の顧客に何が起きているのかわからない、どこから手を付けてよいかわからないといったクライアント、あるいは逆にピンポイントで知りたいことがあるクライアントには、最短3週間で調査結果をレポートする「UXリサーチ」を提供しています。単なる定量調査や意見を聞く定性調査ではなく、実際の行動に基づいてユーザの状況に迫る行動観察調査を実施し、得られたインサイトの報告と改善のための提案を行います。

UXリサーチについて詳しくはこちら

ビービットのUXコンサルティングの特長

ビービットのUXコンサルティングの強みは、2000年の創業以来培ってきたUXの専門家としてのノウハウとスキルの蓄積です。特に、スポット型コンサルティングサービスで実施する行動観察調査は、これまでにユーザに対して累計2万件以上実施してきました。ユーザは必ずしも自分のニーズを言語化できるわけではないし、状況によって本心ではない発言をすることもある、という前提から、過去の事実や調査中の言動などの「実際の行動」に徹底的にこだわって調査を設計し、定量アンケートやグループインタビューでは発見できないインサイトを明らかにしていきます。

並走型コンサルティングサービスで使用するUSERGRAMは、ビービットの長年の行動観察調査で得られたノウハウの粋を集めたクラウドサービスで、よりクイックに、より定常的に自社ユーザの行動を知ることができるようになっています。

正しいユーザインサイトが得られたとしても、最終的な提案が実現性の乏しい「絵に描いた餅」になっていては意味がありません。ビービットは、これまで大手企業・デジタル先進企業を中心に、累計800社以上を支援してきた実績があります。ビジネスへの正しい理解や、経営・マネージャ・担当それぞれのレベルに特有の悩みへの深い理解があるので、クライアント企業に寄り添った、ビジネス成果につながる、かつ、現実的な提案が可能です。

また、ビービットはこれまでに何度も方法論を書籍化していることからもわかる通り、課題解決のノウハウを出し惜しみしません。並走型のサービスはもちろん、スポット型のサービスにおいても、クライアント企業と1つのチームをつくる感覚で、一緒に価値創出を目指していきます。チームメンバーの目線や意識を揃えるための研修メニューも、必要に応じて提案しています。

UX・DX研修について詳しくはこちら

レポートのご紹介

UXコンサルティングついてもっと知りたい、という方は、ぜひ弊社レポート「カスタマージャーニー百科 ービジネスモデル別つくり方解説」をご活用ください。

ビービットがこれまでの支援実績から得てきたナレッジと、実在する幅広い企業・サービスの事例分析を掛け合わせ、さまざまなカスタマージャーニーの可能性・拡張性を示しています。
本レポートを読むことで、「自社にとって最適なジャーニーを描くためにどこから考え始めればいいのか・どの方向へと考えを進めていけばいいのか」について、多くのヒントが得られるようになっています。

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