MA(マーケティングオートメーション)ツールを用いたセグメンテーション設計の失敗例をご紹介します。
多くのMAツールでは「どれほど閲覧したか」を重視してユーザをスコアリングします。
多くの場合、閲覧ページ数が多いユーザを「検討が進んでいるユーザー」、少ないユーザを「検討が浅いユーザー」と分類します。
しかし、このように閲覧量だけを重視して施策を打つと、誤ったユーザ理解のもとにコンテンツを提供してしまうケースも多いのです。
この記事では、そうした失敗例として教育系Webサイトにおける事例をご紹介します。
なお、MAツールがどのようなものかについては、下記の記事にてくわしく解説しています。
マーケティングオートメーションとは? 機能や有効活用するための戦略を解説
「たくさんページを閲覧したユーザほど検討が進んでいる」という解釈は本当なのか?
中学生向けの教材を販売していたあるサイトでは、MAを用いてユーザのサイト閲覧量を元にスコアリングを行っていました。
そのスコアリングを参考にしつつ、リターゲティング広告の出し分けも行っていました。
具体的には、
・閲覧ページ数が少ないユーザは検討があまり進んでいないと想定し、教材の概要などを掲載しているLPに誘導
・閲覧ページ数が多いユーザは検討が進んでいると想定し、教材の細かい部分の工夫や購入直前に気になる支払い方法などの情報を掲載しているLPに誘導
という運用をしていました。
閲覧ページ数よりも「どんなコンテンツを見たか」によってユーザのインサイトが異なっていた!
このリターゲティング広告の出し分けは効果的なのでしょうか。
Webサイト上のユーザ行動をUSERGRAMを用いて確認してみたところ、より効果的な広告の出し分けに役立ちそうな行動が見られました。
このサイトには、教材利用者の親子体験談を多く掲載していました。
実は、この体験談ページでどのような種類の体験談を閲覧するかがユーザの見極めに重要だったのです。
1つは、「子どもが飽きることなくやるのか」「数学が苦手な子でも大丈夫か」といった「うちの子でもできるか」ということに関する体験談ばかりを閲覧するAタイプ。
もう1つは「受験にあたって学校や塾とどう併用したか」などの「受験に役立つか」に関連する体験談ばかりを閲覧するBタイプでした。
「どのコンテンツを見たか」を基準にユーザを2パターンに分類。それぞれに合った情報提供へ
つまりこの教材のサイトでは、教材に期待することやサイトで知りたいことが全く異なる、2タイプのユーザが存在したのです。
そうだとすれば、ユーザの関心を元に分類したユーザタイプに応じて、コンテンツを提供する方が効果的だと考えられます。このサイトの集客担当者は、閲覧「量」ではなく閲覧「コンテンツ」に基づいてMAの設計を組み直し、それぞれの悩みに答えるメールマガジンを配信しました。
さらに、リターゲティング広告とLPの出し分けも行いました。
結果、CVRが向上。閲覧ページ数だけに基づいたスコアリングよりも適切なユーザ像に近づけたのでした。
まとめ
Webサイトの成果を伸ばすためにユーザ理解は非常に重要です。
MAは、ユーザ理解をもとにした施策運用を支援するものです。
ユーザの行動の傾向ごとにユーザ像を整理し、それぞれの興味に合わせたコンテンツを提示することを補助する自動化ツールであるとも言えるでしょう。
このユーザ理解において効果的なのがユーザが「どんな」コンテンツを「どれほど」閲覧していたかという情報です。
しかし、ここまでご紹介してきた事例からは「どれほど」(この事例では閲覧回数の総計)の情報だけでは正確でないユーザ理解に陥ってしまうケースがあることが読み取れます。
もちろん、閲覧量を元にユーザを分類することが正しい場合もあります。
しかし、ユーザが「どれほど」ページを見たのかだけでなく、「どんな」ページ・コンテンツを見たかについても注目することがより精緻なユーザ理解へとつながることは間違いありません。
貴社のサイトでも、ぜひ実際のユーザ行動を観察して、どのようにユーザをセグメントするか、そしてどのように施策を出し分けると効果的なのかを検討してみてはいかがでしょうか。
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