2009年12月01日
顧客データベース分析でムダな広告費をカットする

株式会社ビービット
ユーザビリティコンサルタント
垣内 勇威

今回は、コンバージョンを成果指標としているウェブサイトにおいて、顧客データベースと連携した分析を行ない、「最終的に利益を生む顧客」の獲得に成功した事例をご紹介します。

コンバージョンは中間ゴールに過ぎない

ビジネスの目的を「利益」と考えた場合、「会員登録」「資料請求」「口座開設」などのコンバージョンは、優先度の高い中間ゴールではあっても、最終ゴールにはなりえません。例えば、会員数をいくら増やしたとしても、その後の商品購入(利益)に結びついていなければ、「利益を生む顧客」を獲得できたとは言えません。

最終ゴールである利益を殖やすためには、顧客データベースと連携したウェブサイトの分析を行い、「最終的に利益を生む顧客」を獲得するシナリオを明確にする必要があります。

コンバージョンが最終的な利益につながっているかを顧客データベースと連携して分析

【事例】 利益ベースの分析で広告費を効率化

金融業を営むある企業では、OvertureとGoogle Adwordsの2媒体にリスティング広告を出し、「口座開設」の増加を目標に運用を行なっていました。

CPA(1人当たり顧客獲得単価)はどちらの媒体もほぼ同じで、広告予算も均等に配分していましたが、顧客データベースと広告のコンバージョンデータを連携して分析を行った結果、両者に明確な差が生じていました。それぞれの媒体から獲得した顧客の取引状況を調べたところ、Overtureから獲得したユーザの方が、 Google Adwords経由のユーザより、口座開設後に金融商品を購入する確率が約10倍も高いことが分かったのです。

GoogleもYahooからの広告流入では口座開設(CV)数はどちらも同じだが、最終的な取り引きは10倍も差がついた

このような差がついた原因として、この企業が扱うサービスが、どちらかと言うと初心者向けであり、Yahoo!ユーザとの親和性が高いため、上記の差を生んだのではないかと考えられます。その後この企業では、Google Adwordsの出稿額を減らし、その分Overtureに予算を配分することで、金融商品の売上を落とさず、広告費を大幅に効率化することに成功しました。

もちろん上記は一例に過ぎず、Google Adwordsで大きな成果が出る場合もあります。商材ごとにターゲットと媒体の親和性を考えることが成功のポイントです。

顧客データベース分析によって、広告受けページの改善や、訴求軸の特定も可能

この顧客データベースと連携した分析は、広告だけではなく、広告受けページ(ランディングページ)などサイト内の改善にも役立ちます。例えば、広告受けページやバナーのA/Bテストを行なう際も、CVR(コンバージョン率)やCPAだけでなく、最終的にどちらが利益に繋がったかまで見ることが可能です。利益に繋がる広告受けページが分かれば、「利益を生む顧客」にアピールする訴求文言やクリエイティブも特定できます。

そうなれば、広告受けページの改善にとどまらず、商品企画やブランド戦略を改善するインプットにもなり、そのときウェブサイトは言わばマーケティングのアンテナになるのです。

※このエントリーはビービットの運営する『ユーザビリティ実践メモ』2009/7/6の記事を転載したものです。

ユーザの行動を顧客データベースと関連付け分析し、利益を生む広告を作るためには
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