SBIホールディングス株式会社様:
「誰でも分かる、すぐにできる」PDCA体制を構築
2011/02/17
ポイント
- 当初マーケティングに精通したメンバーが少なく、簡単に効果測定を行える環境ではなかったが、ウェブアンテナの導入・支援によりPDCAを回せるまでに体制・環境を整えることができた。
- 最終的な成果(コンバージョン)に至る手前に「中間的なコンバージョン」を設定することで、ウェブ施策の評価を深く分析し、施策の改善につなげることができるようになった。
イー・ローン事業部 営業企画課
内堀 俊貴氏
クライアントの要望にタイムリーに応え、PDCAを回せるチーム体制に
企業名 | SBIホールディングス株式会社 |
---|---|
業種 | 金融 |
コンバージョン | ローン申込 |
イー・ローンは、SBIホールディングス株式会社イー・ローン事業部が運営する日本最大級のローン比較・検索サイトで、掲載金融機関数約70社、掲載ローン数約800商品、これまでの利用実績は80万人を数える。(※2011年1月現在)
イー・ローン事業部では、チームの各担当がクライアント営業からウェブでの集客、サイトの企画・運用まで一貫したマーケティング戦略を実践し、PDCAを回している。ただ、同事業部 営業企画課の内堀俊貴氏(写真)は全員がマーケティングに精通していた訳ではないと話す。
「私が集客・サイト運用などマーケティングを担当するようになって未だ1年余りで、それ以前はクライアントである金融機関への営業を担当していました。私が所属する部署は、発足当時、複数のメンバーがいましたが、その内私も含めた多くの担当がクライアントへの営業が専門でした。」
もともとクライアント営業の担当であった内堀氏がネット広告での集客やサイトの企画・運営まで携わるようになったのは、クライアントの要望をウェブでの集客や企画など具体的な施策をタイムリーに反映させるためだ。そのために、チームのメンバーがクライアント営業とネットマーケティングに携われるように組織・体制変更まで行った。
しかし、体制変更の直後は、チームのメンバーのほとんどがネット広告やマーケティングの初心者。それがどのようにして、PDCAを効率的に回せるまでになったのだろうか。
マーケティング施策の成果を誰もが簡単に俯瞰できるツールが必要
内堀氏の所属チームではPDCAを回していくため、次のように考えたという。
「広告主である金融機関の要望や、ローンを申し込まれるユーザのニーズは分かります。それを施策に反映し、実行するには、チーム全員が同じデータを共有してきちんと効果測定することで、意志決定を早く確実に進めなくてはと考えました」
しかし、当時はネットマーケティングの初心者が効果測定を行える環境ではなかったと内堀氏は話す。導入していたアクセス解析ツールは簡単に扱えるものではなく、日々PDCAを回していくには不向きだったのだ。
「そこでマーケティング施策の成果を誰もが俯瞰できて、すぐ分かり、行動に移せるよう環境を整備する必要があると考えました」
その解決策として導入したのが、株式会社ビービットの広告効果測定ツール「ウェブアンテナ」だった。
ウェブアンテナはログインした直後にバナーやリスティング、アフィリエイトなど全ネット広告の成果を一目で把握できる管理画面となっており、誰でも違和感なく操作できる点が特徴だ。また、自分たちが行ったどの施策からどれだけの成果を得られたのか、誰が見てもすぐに分かりマーケティングの状況を俯瞰できる。マーケティング未経験者の内堀氏でもすぐに使えるようになり、周囲のメンバーに対してプロモーションの状況を報告しやすくなったという。
必要なデータを共有することで業務を効率化し、意思決定を高速化
ウェブアンテナ導入以前はツールが使いづらかっただけではなく、分析に必要なデータを集めてくるまでに時間もかかってしまっていた。分析に必要なデータの多くはシステム担当に依頼をしなくては集まらなかったため、詳細な分析をしたいと思ってもすぐにはできず、PDCAをスムーズに回せないでいたのだ。
それが、ウェブアンテナならネット広告施策の成果を全て一つの管理画面で見ることができるため、チームの一人一人が施策を素早く検証することができるようになったという。
「『こうじゃないかな』と思った時には、思いついた仮説を検証する方法を考えながら、まずは自身でデータを抽出しています。ウェブアンテナ導入後は、考えついた分析パターンで使えそうなデータを拾って分析し、仮説を検証して次の施策を展開できるようになりました。自分でいろいろなデータを抽出できることは、素早く確実にマーケティングを実践して行く上でとても大切なことだと実感しています。」(内堀氏)。
システム担当にとっても、分析用データ収集の手間が無くなったため、その分のリソースをほかの案件に回せるようにもなった。
また、当初の目的であった「チーム全員が同じデータを共有してきちんと効果測定することで、意志決定を早く確実に進める」ことも可能になった。全員が同じデータを見て議論できるため、意思決定までのプロセスを共有し、マーケティングのノウハウを全員で偏りなく身につけることができるという利点も生まれている。
内堀氏によると、広告効果測定ツールの複数の候補からウェブアンテナの導入を後押ししたのは、「ビービットなら困った時には話を聞いてくれるし、使いこなせるようになるまでサポートしてくれるだろう」というサポート体制への評価と、「広告代理店目線でのツールではなく、中立な立場であるコンサルティング会社が提供しているツール」だという信頼感だった。
ウェブアンテナ導入で“施策のどこが悪かったのか”が深く見えるように
では、ウェブアンテナの導入で体制が整備されたことで、どのような変化が起こったのだろうか。
イー・ローンの主力ビジネスモデルのひとつに、ローンの申込件数に応じて成果報酬を得る広告モデルがある。イー・ローンで比較・検討したユーザを金融機関のサイトに誘導し、申込みに至れば成果が発生する。
ウェブアンテナ導入以前は広告からの流入数と、誘導後に金融機関のサイトでコンバージョンした数だけしか見ていなかった。しかし、導入後は“どれだけ金融機関のサイトへ誘導したか”という数字を、申込みに至るまでのマイルストーン=中間コンバージョン(CV)として取るように変えた。
申込に至る途中の中間的なコンバージョンを定義することで、分析の幅が広がったというのが内堀氏の認識だ。
ウェブアンテナ導入後、イー・ローンから金融機関サイトへの誘導を中間的なコンバージョンとして設定
「例えば、ある月とある月の成果を比べた時に、顧客獲得単価(CPA)は同じなのにコンバージョン率が落ちているということがありました。どこが悪くなったのかと見てみると、金融機関様へのサイトに誘導できた率が悪化していたのです。ちょうどその月、ランディングページ(LP)を変えていたので、それが原因で誘導できなくなったのではないかと考えました。特に、『広告クリエイティブのキーワードとLPの内容がマッチしなくなったんじゃないか』という仮説を導き出しました」
この他にも、LP単位で広告からの流入数・中間CV・申込件数を比較してみたところ、同じメール広告でも媒体によってパフォーマンスに違いがあることが分かるなど、成果につながる分析が可能になった。
イー・ローンにとって申込件数が増えれば売上は大きくなる。だが質の低い申込者が増えると、広告主である金融機関側にとっては成約率が低下して、顧客満足度も下がることになる。売上を追いながらも申込ユーザの質の向上を図るというバランス感も求められている。
そこで、内堀氏はウェブアンテナで質の向上につながる施策も考えたいと意欲的だ。
「例えば1人のユーザが複数回コンバージョンしてくれるのは、通常の比較サイトの立場からすればありがたいのですが、ローンの場合は1社との契約になる場合がほとんどです。自然と成約率の低下につながるので、複数回コンバージョンするユーザがあまりにも多い流入経路は好ましくないのです。ウェブアンテナならどの経路がよいのか簡単に分かるので、今後は細かく分析していくつもりです。ユーザがどういう動きをしているのか、もっと注目してみないといけないと考えています」
この記事は、MarkeZineに掲載された記事「「誰でも分かる、すぐにできる」PDCA体制を構築するには 〜 SBIホールディングスのネット広告運用事例(中嶋 嘉祐)」を再編集して掲載しています。