インターネットやSNSの普及によって、ユーザの行動は多様化しています。より便利な方法を選択するようになり、企業もその期待に応えることが求められています。
そこで注目されているのが「マルチチャネル」です。
今回はマルチチャネルの概要説明や有効に利用するための戦略について解説していきます。
マルチチャネルとは?
まず、「チャネル」とは、製品・サービスの広告を出す媒体や流通・販売の経路を指します。マーケティングの文脈では、販売チャネル、流通チャネルといった言葉とともにユーザとの接点を指すことが多いです。チャネルには以下のものが含まれます。
・実店舗
・テレビ通販
・自社EC
・ECモール(楽天やAmazon)
・SNS(Twitter、Instagram、Pinterest、TikTok)
マルチチャネルは、上記のような媒体・経路が複数存在する状態を指します。現代では特にスマホ一つあれば商品を探し、購入するところまで出来てしまいます。どのチャネルを重視すべきか、チャネルそれぞれでどういったアプローチをするべきかを考えるために、まずはチャネルが現代に至るまでにどう変化していったのかをお伝えします。
インターネット普及による流通チャネルの変化
インターネットの普及により、流通チャネルは大きく変化しました。いまやユーザにとってPCやスマートフォンを使ったネット通販は当たり前のもので、企業は顧客との接点づくりに対して、大きな変化が求められています。
シングルチャネルからマルチチャネル・クロスチャネルへ
インターネットが普及する前は、企業と顧客が接触できる場所は店舗しか存在せず、顧客は店舗に訪れ、商品を眺めて店員の話を聞きながら購入しようかどうか検討するだけでした。テレビやECでの購入が可能になると、店舗に訪れずとも商品を購入することが可能になりました。これがシングルチャネルからマルチチャネルへの変化です。
マルチチャネルが進むと、店舗で商品を見ながらインターネットで購入する「ショールーミング」、一方、インターネットで商品見てから実店舗で購入する「ウェブルーミング」といったチャネルを横断した動きを一部の顧客が行うようになってきました。これをクロスチャネルといいます。
オムニチャネルとの違いは「仕組み」
オムニチャネルは顧客が商品を調べ購入するまでの過程で、顧客が自分の都合に合わせてチャネルを選ぶことができるシームレスな顧客体験を提供する仕組みです。オムニチャネルに注目が集まるようになったのは、急速なスマートフォンの普及が背景にあります。
ユーザがスマホを使っていつでもどこでも購入や検討ができるようになったことで、オンラインとオフラインで価格が違ったり、SNSで見た商品が実店舗で実物見ようとしたら在庫切れになっていたりと、チャネルで連携が取れていないことがこれまで以上に不便に感じられるようになりました。
オムニチャネルはこうしたチャネル間の隔たりをなくし、顧客がストレスなくマルチチャネルを活用できるようにするためのマーケティングに重要な仕組みなのです。
マルチチャネルを最大限活用したOMO時代のマーケティング戦略
現代では多くの人がスマートフォンを持ち、いつでも気軽にオンオフを行き来して買い物や情報収集をできるようになりました。
このように、オンラインとオフラインが融合した世界をOMO(Online Merges with Offline)といいます。ここからはOMOが当たり前となった時代にマルチチャネルを最大限活用するためのマーケティング戦略を解説します
チャネルを分けない考え方で顧客の利用体験を高める
チャネルをつなげることだけを考えていては、OMOが一般化した時代において良い戦略は立てられません。企業視点だと、オンラインのユーザをどうやって実店舗へ誘導するのかという視点になりがちですが、それでは顧客体験の向上にはつながりません。
企業にとってはチャネルごとに考えるのは当たり前のようになっていますが、ユーザはチャネルを分けて考えていません。欲しいものを、そのときにもっとも自分にとって都合がいい方法を選んで買うだけです。たとえば水を買いたいときは、コンビニが近くにあればそこで買うでしょうし、家にいて外に出るのが面倒なら届けてもらうように注文します。大事なのは、ユーザがより便利な方法を選択できることです。企業はユーザの利便性を高めるべく、できるだけ多くの選択肢を用意する必要があります。
チャネル横断の体験を設計
ここでは、ユーザ視点でチャネル戦略を立てることで、顧客体験の向上に成功した事例を紹介します。
とある米国の小売企業では、まわりの競合と同じように、ECサイトと実店舗の連携を強化していました。ですが、その小売企業は、単にオンライン・オフラインを連携してどちらでも買えるようにするだけでなく、ユーザの利用文脈を明確に想定したうえで、チャネルを横断した体験を設計していたのです。
たとえば、ユーザのなかにはカフェで暇つぶしにECサイトやSNSで服を眺めたり、通勤中に予定しているパーティー用の服を探したりと、場所を限定されずにスマートフォンで商品を検討する人が一定数いました。しかし、オンラインで購入はできても、実際に手にとって試着はできません。そこで、その企業は店舗の在庫をオンラインで公開し、ユーザが気になっている商品がどこにいけばすぐ手に入るのかわかるようにしました。
また、位置情報を利用してGoogleで近くの店舗の在庫を示す広告を出し、自社に絞っていないユーザにも来店をうながすようにしたのです。これにより、「思い立ったときにスマートフォンでほしい商品を探し、近くの店舗で確かめて買う」という、ユーザの利用状況に即した顧客体験を作り上げました。
マルチチャネルを活用するための注意点
マルチチャネルを活用して利益を得るためには、いくつか注意点があります。ここでは、マルチチャネル化により企業が陥りがちな失敗の例をあげ、解決策をご紹介します。
自社データの把握・在庫管理ができているか
マルチチャネル化においては、自社のデータをしっかりと把握しておくことが大切です。とくに重要なのが「在庫管理」。ECサイトで気になる商品を発見し、近くの店舗に来てみたけれど在庫がなかった、なんてことになっては、せっかくのユーザ体験を損ねてしまいます。
とはいえ、チャネルが増えると在庫管理も複雑になります。在庫をひとまとめにしていると、ECサイトで注文された商品が店舗で売れてしまって品切れになるような事態が発生します。そうしないためには、在庫をチャネルごとで管理すれば良いのですが今度はそれぞれの保管スペースが必要になり、管理する手間も増えてしまいます。顧客体験向上の機会を逃さないためには、在庫の管理は非常に重要なポイントとなります。在庫管理システムを導入して、効率化を図りましょう。
チャネルごとで効果を奪い合っていないか
商品を購入するとき、店舗で商品を見てECサイトで注文するショールーミングは、同一社内で売上を食い合う恐れもあります。店舗で丁寧に説明したのに、売上はECサイトに持っていかれてしまっては、現場スタッフもいい気はしないでしょう。
このような問題を防ぐためには、クロスチャネル化して店舗から購入に繋がったことを可視化したり、店舗のアシストを評価するシステムを構築したり、オムニチャネル化して店舗・ECと売上を分けずに一元化して管理したりといった、既存の仕組みにとらわれない評価体制・組織づくりが必要です。
マルチチャネルを活かすための行動分析
マルチチャネルを上手に利用していくには、ユーザの行動分析が欠かせません。とはいえ、従来の分析方法が通用しなくなってきている現在、どのような手法をとればいいのでしょうか。
オンラインとオフラインを行き来する顧客
前述したように、インターネットやスマートフォンの普及により、ユーザはつねにオンラインとオフラインを行き来しながら生活をしています。企業もシングルチャネルからマルチチャネルへ発展するなか、従来の分析方法ではユーザの行動を正確に把握できなくなっています。
チャネルだけでなく、ユーザのアクセス方法も多様化しています。スマートフォンで情報をチェックし、店舗で実物を見て、家に帰ってPCから注文するといった購入体験はめずらしくありません。マルチチャネルにおいては、チャネルやデバイスを超えてユーザの行動を分析することが重要になります。
マルチチャネル成功の鍵は”顧客単位”での分析
マルチチャネル施策を進めるにあたって、現況の分析はもちろん、施策によってどれほどユーザの行動が変わったのかの検証が必要不可欠です。
たとえば、弊社ビービットのUXチームクラウド USERGRAMでは、ユーザ単位でチャネルを横断した行動の分析ができます。一人のユーザがスマートフォンやパソコン、タブレット端末など、デバイスをまたいでアクセスしたとしても、IDさえわかれば、いつ、どれくらいの時間滞在したのかすぐにわかります。
また、店舗での行動やコールセンターでの対応履歴、ダイレクトメールの発送履歴などの情報もインポート可能で、オンライン・オフラインを横断した分析が可能です。たとえば、店舗に訪れた後にECサイトで購入しているユーザが多い場合、バラバラに計測しただけではECサイトで売上があることしかわかりません。しかし、USERGRAMでユーザの行動が追えれば、店舗でのアシストがあったからECでの購入を後押しできたといったようなことまで分析できるのです。
マルチチャネル戦略においては、チャネルで分断せずにユーザの行動を時系列に沿って観察することが大事です。
USERGRAMは、まさにチャネルにとらわれず顧客体験向上を図るためにピッタリのツールです。気になった方は、ぜひ下記よりお問い合わせください。
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