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【事例あり】顧客満足度向上に向けた調査方法と効果的な取り組み方

2022.01.14 Fri.

【事例あり】顧客満足度向上に向けた調査方法と効果的な取り組み方

収益拡大を図る施策として、顧客満足度向上を目指す企業は数多くあります。しかし、顧客満足度とはどのようなものなのか、どうやって計測すればいいのか、明確につかめていない企業も多いのではないでしょうか。今回は顧客満足度の意味や計測・分析方法、成功事例などをご紹介していきます。



顧客満足度(CS)とは?NPSとの違い

顧客満足度(Customer Satisfaction、通称CS)とは、その名の通り、顧客が製品やサービスにどれだけ満足しているかを表した度合いのことです。
とはいえ、「顧客が満足したかどうか」は主観的な感情で漠然としているだけに、正確にとらえるのが難しいものです。そこで、アンケートやインタビューなどの調査結果を数値化し、客観的に見られるようにします。



顧客満足度の調査方法は?目標指標と注意すべきこと

顧客満足度を向上させるには、顧客がなにをもって満足するのか理解することと満足度を測る指標の導入が大切です。ここでは、顧客が満足する要因と調査の際によく用いられる指標を紹介します。

顧客が満足する要因は何か

人がサービスを受けた際に満足する要因はどこにあるのか。
一般的には、「注文したちゃんと製品が届いた」「店頭で店員が言っていた通りの性能だった」という自分が期待していた通りの機能・サービスだった場合に人は満足するのではないでしょうか。

ただ、現代では高品質な製品やサービスが溢れており、顧客の満足の基準も昔と比べ、かなり上がっています。
そうした中で重要なことは企業が顧客に真に提供したいと思っている”コト”は何かハッキリとさせ、実際に実現できているかを計測することになります。

顧客満足度の数値化・測定方法

顧客満足度の指標となるものはいくつかありますが、ここでは代表的なCSI(Customer Satisfaction Index/顧客満足度指数)を紹介します。

CSIは、信頼性の高い数値を手に入れやすいと言われており、世界約30ヶ国以上で使用されています。JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)という日本向けにカスタマイズされたものもあります。

CSIの質問内容は、「顧客期待値」「知覚品質」「知覚値」「顧客不満度」「顧客忠実度」の5項目。JCSIはこれに「推奨意向」が加わった6項目です。これらの項目に分けてそれぞれに相関関係のある質問を顧客に問い、その結果の平均値を取って算出します。



顧客満足度調査だけで終わらせないアンケートのやり方

せっかく顧客からアンケートに答えてもらっても、回収しただけではなんの意味もありません。
顧客満足度向上へ繋げるためには、顧客がどこに満足し、どこに不満を持ち、どうすればさらに満足してもらえるのかという改善点を見つける必要があります。
ここからは、回収したアンケートからどこを改善するべきかを洗い出す、分析方法について解説します。

アンケート項目の評価は事業貢献度の予測とセットで

アンケートの集計のなかで、つい目が行きがちなのは、やはり満足度が低い項目です。
単純に考えれば、不満を持つ人が多い項目を改善すれば、満足度は向上しそうに思えます。しかし、実際にはそうしても満足度はたいして高まらないことが多いのです。

多くの顧客が問題視している事項は、すでに顧客が対応方法を見つけていたり、あきらめていたりすることもあります。それを改善したところで、顧客にとってはあまり価値ある体験にはならないのです。
逆に不満の件数としては少なくても、価値提供を行ううえでは致命的となる事項もあります。たとえ件数が少なくても、改善することで大幅に顧客満足度が向上するならば、そちらの方が重要です。

とはいえ、件数の多さだけでは関係者を納得させることは難しいものです。改善には大きな開発が絡んだり、組織の構造を抜本的に見直したりする必要出てくるでしょう。だからこそ重要なのが事業成果への貢献度予測になります。
アンケートを評価する際には、件数と×課題の改善効果の2軸で考える必要があるのです。

分析によって回答の裏にある真の需要を探る

アンケート結果を分析するときは、表面的な回答にとらわれず、顧客が本当に求めているものをもう一段階深く考えることが大切です。

たとえば、通信サービスに代表される定期的に支払いのある事業において、顧客が料金の高さに不満を持っていることが明らかになったとします。
しかし、料金体系の見直しは簡単にはできません。対策としては、解約されないためのセーブデスクの設置や、割引クーポンの発行、解約したときの不利益を説明するなどがあるものの、どれもよくある引き留め策になってしまいがちです。
これでは、抜本的な解決にはなりません。

ここで本来やるべきなのは、顧客の「料金が高い」という声の裏側にあるものを考えることです。
必ずしも「料金が高い」=「価格そのものが高い」ということではありません。もともとは多くの顧客がその価格に納得してサービスを使い始めたはずなのに、現在では高いと感じているということは「実際にサービスを使ったら提供価値が価格に見合っていなかった」と考えられます。

では、顧客が最初に提供してほしいと期待していたものは何だったのでしょうか。それを知るためには、アンケートだけでなく、インタビューなどさらに深い調査が必要です。たとえば「困ったときにいつでも助けてもらえることを期待していたが、実際に電話してもまったくつながらない。それでこの料金は高すぎるのではないか」といったコメントを掘り出すことができれば、真に改善するべき点が見えてくるでしょう。

顧客が本当に求めているものを知るためには、割合を数字として報告するだけでなく、その回答の裏には何があるのか、顧客の抱える不満の根本原因にたどり着く必要があります。



顧客満足度アップに成功したマーケティング事例

こで、ビービットが支援したもののなかから、顧客満足度アップに成功した事例をご紹介します。
紙面をiPad上で閲覧できるアプリを開発していた日本経済新聞社様。
リアルなユーザの声を開発に反映し、お客様に喜ばれるアプリを作りたいという思いを叶えるためにご協力させていただきました。

早期段階でのユーザ行動観察調査により短期間で品質向上

一般的な開発では、ユーザによる実地検証は最終段階で行われることが多いですが、このプロジェクトでは、あえて開発途中の段階でユーザ行動観察調査を実施。早い段階でユーザ視点での課題を認識できたことで、その後の開発へ最大限に取り入れられました。

また、ユーザ行動観察調査は、アプリの企画・開発に携わる幅広い担当者の方々ほぼすべてに見学していただきました。ユーザの行動や発言を実際に体感してもらったことで、ユーザの視点がプロジェクトメンバーの中で広く共有され、「この機能はユーザにとってどうなのか」という議論の土台ができたのは大きな利点となりました。その結果、開発すべき機能の優先度が明確になり、短期間での品質向上に成功したのです。

調査→改善→調査を繰り返すアジャイル手法で高速改善

ユーザ行動観察調査からすばやく改善に移し、また調査を繰り返すという方法は、機能単位で小さいサイクルを繰り返すアジャイル開発手法と親和性が高いものでした。

未完成のモックアップをユーザに利用してもらって、見つけた改善点はできる限りすぐに対応し、また次のユーザ調査にあてる…というイクルを高速に回していきました。その結果、改善案の精度を高めることに成功し、よりよい機能を実装することができたのです。

「日本経済新聞 for iPad」は2012年3月にリリース。アプリは幅広い顧客から支持され、創刊以来最大の日経電子版有料会員増をもたらすことに成功しました。また、満足度調査でも「使い勝手」「読みやすさ」ともに90%以上の高評価を得ています。

コスト・手間のかかるユーザ調査を行動データでもっと手軽に

アンケートやインタビューによるユーザ調査は、現状の把握や改善点の抽出に有効性が高い方法です。しかし、実施には多大な費用や工数がかかるため、できて数年に1回のように、継続させることが難しいのが実情です。

しかし、近年ではデジタルツールによって手軽に調査の実行が可能になっています。数年に1度のイベントではなく業務としてユーザ調査を取り入れられれば、顧客への理解はより深まり、満足度向上を目指しやすくなります。

ユーザの行動を調査する方法のひとつとして、シーケンス分析があります。これは個別のユーザだけでなく、グループ単位で行動の順番やかかった時間まで考慮に入れて、その状況や文脈に注目する行動データ分析手法です。行動データの分析は、専門知識がないと難しいものですが、直感的にデータを把握できるデジタルツールを使うことで、誰でも簡単にユーザの状況を把握できるようになります。

ビービットではシーケンス分析に特化した分析ツール「USERGRAM」を提供しております。もしシーケンス分析によるユーザ理解に興味がありましたら、ぜひこちらもご覧ください。
アフターデジタルとビービット(3) – 事例で読み解く「UX企画力を高めるシーケンス分析」



顧客満足度向上だけでは利益には繋がらない

ここまで顧客満足度や計測・分析方法について解説してきましたが、実は顧客満足度が高いだけでは事業成果に繋がらないため注意が必要です。顧客の立場になって考えてみるとわかるのですが、「わが社の製品・サービスに満足しましたか?」と聞かれたら、多くの人はそれほど不満がなければ「満足した」と答えるのではないでしょうか。

本当に満足していたとしても、再度購入するつもりとは限らず、実際に次の購入機会では、新商品が出ていたり、気が変わっていたりすることもよく起こります。「満足したか」という問いに対する答えは、顧客の将来の購買行動とは結びつきが薄く、事業成果の予測としては不十分なのです。



求められるのは満足を超えたロイヤルティ

そこで「顧客ロイヤルティ(ロイヤリティ)」です。顧客ロイヤルティは企業や製品・サービスへ顧客が寄せる信頼や愛着のことを指します。端的に言えば顧客満足は「顧客の期待に応えることで生まれる、機能・スペックなどへの実質的な評価」である一方で、顧客ロイヤルティは「顧客の期待を上回ることで生まれる、信頼や好意などの感情的な評価」という違いがあります。

顧客ロイヤルティとは

「期待以上の対応をしてくれて感動した」「企業姿勢が好き」と言ってくれて、継続的に自社の製品・サービスを購入してくれる関係性を顧客と築くことが今後はより重要になってくるのです。顧客ロイヤリティではNPS(顧客推奨割合)という「製品・サービスを家族や友人に勧めたいと思うかどうか」を数値化した指標を利用したりします。収益との関連性が高く、顧客の状況を計測する指標のひとつとして挙げられます。
顧客ロイヤルティについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。
事例で紹介 これからの顧客ロイヤルティ戦略入門

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