サントリー酒類株式会社様:
月次→週次に意思決定スパンを劇的改善
2010年5月13日
ポイント
- これまでキャンペーンの改善には1か月単位で行っていたが、「ウェブアンテナ」を導入後はレポート作成の業務を省くなど効率化を行い、1週間単位で改善サイクルが回るようになった。
- 複雑なデータ分析を行わず、実施した施策に対する成果のみを「ウェブアンテナ」で把握することで、明確な意思決定が素早くできるようになり、ビジネス成果につながった。
企画部 Webビジネス推進グループ
部長 室元隆志様
「施策が成果につながったか」 直感的に分かるツールが必要に
企業名 | サントリー酒類株式会社 |
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業種 | 飲料 |
コンバージョン | クーポンダウンロード |
サントリー酒類株式会社企画部Webビジネス推進グループの室元隆志課長(2010年5月当時)は、「グループサイトにバナーを貼ったら、どの程度の効果があるのか。リスティング、SEO、自社媒体、メルマガと、どんな施策を打てばどんな成果につながるのか、網羅的に見られるツールが必要だと感じていました」と話す。
室元様の部署では、酒類の通販サイト「E-liquor」や、サントリーの酒類を扱う飲食店情報サイト「サントリーグルメガイド」「BAR-NAVI」などのサイト運営とマーケティングスキーム開発を担当している。飲食店情報サイトを運営する狙いは、店舗への集客を支援する代わりに、サントリーの酒類の取り扱いを増やしてもらおうということだ。
ただ、例えば「特集を組んで集客しますから」という営業トークで口説いてきたのなら、1〜2か月程度の短い特集期間のうちに成果を残さなければ、取引は打ち切られてしまうかもしれない。そのため、室元様のチームでは、成果をもっと短いスパンで把握し、改善できないかと模索してきたという。
越えられなかった1か月の壁をウェブアンテナで乗り越えた
サントリーほどの会社になると、テレビCMなども絡めた大型のプロモーションを実施する時には、年間を通じたプランをまず考えて、3か月のスパンで1つ1つのキャンペーンを走らせることになる。対してスピーディーな対策が求められるWebビジネス推進グループにとっては、3か月では遅過ぎる。
アクセス解析ツールなどを導入して、PDCAを回す期間を1か月程度にまで縮めることには成功していたが、どうしても1か月の壁は越えられなかったと室元様は振り返る。
「計測ツールのインターフェイスは、企業担当者には使いづらく、レポート作成だけで何時間もかかっていました。『項目を減らして週次でレポートしよう』と試みましたが、改善策につながる発見は得られないレポートになってしまっていました。レポートを見てもはっきりとした結論が分からないので『ウーン』としか言えず、意思決定ができずにいたのです」
そんな悩みを抱えていた折、付き合いのあった広告代理店から紹介されたのがビービットの広告効果測定ツール「ウェブアンテナ」だった。
ウェブアンテナでは、自然検索、リスティング広告、自社媒体に載せたバナー広告、メールマガジンと、さまざまな流入経路別の成果を一目で把握できる。何時間もかけてまとめていたレポートの内容を数分で確認できるようになった。
これまで月次でしか追えなかった施策の結果が日次で分かるようになり、ど の施策からどれくらいの費用対効果でどんな成果が出たのか、容易に把握できるようになった。
「見ても良く分らないレポートで判断をしなくてはならなかったころは辛かったのですが、ウェブアンテナを導入してからは、どんな施策がお客様のニーズをつかまえたのかが良く分かる。結果を上下させた施策・キーワードは何だったのかと見て『だったらコッチの方向で拡大しよう』と週次で意思決定できるようになったのは大きいですね」
「角ハイボールの飲める店」ではなく、「東京居酒屋」「大阪居酒屋」
ツールを入れ替えたことで組織にプラスの影響があったことは分かったが、室元様の部署では具体的にどのような施策を打ってサイト運営を改善していったのだろうか。
例えば、角ハイボールの飲用体験者を増やすため、ハイボールタワーと呼ばれる専用ディスペンサーを設置した居酒屋へ、ハイボールを飲んだことのないユーザを誘導しようとページを用意。角ハイボールの一杯無料試飲などのクーポンが利用できるようにした。
ところが実際に1週間程度施策を走らせてみても、サイト来訪者は増えてもクーポンページへは全くアクセスが集まらない。ひょっとすると「角ハイボール」で検索する人は、角ハイボールの作り方やキャンペーンの情報を知りたいというニーズを持っていないのではないだろうか。
室元様のグループは1週間経過した段階でそのように推測。すぐに「角ハイボール」で対策していたものをもっと地域性の高いワードに切り替え、対象店舗の東京・大阪の地名で集客できるように特集ページを改定。従来の体制だったら、問題を把握できたころには特集期間が終わってしまっていたかもしれない。
この対策は見事に当たった。「東京居酒屋」「大阪居酒屋」「渋谷居酒屋」などのキーワードからはいってきたユーザは、無事にクーポンページまでたどり着いてくれた。対策も順調に進み、自然検索からの流入量も増えていったという。最終的には、広告追加投資などの無駄なコストを発生させることなく、予定以上の集客数を実現したわけだ。
アクセス解析ツールなどで分析していると、どうしても「途中のページで離脱しているんだったら、どうページを直そう」という思考に偏りがちだが、対策に時間もかかる上に、成果に結び付くか確証があるわけでもない。
それよりは、入口となった流入経路でユーザがそもそもどんなニーズを抱えているのか、ユーザの気持ちを考えて成果につながるようにフォローする、あるいは成果の出そうな経路を強化する。ウェブアンテナを導入したことでそんな意識の変化もあったようだ。
意思決定を迅速に行える環境を作る
ユーザがどんなニーズを持っていて、マーケティングの施策が成果にどう結び付いたのかが、素早く正確に把握できるようになったことで、室元様のグループの変化は、ほかの部署にも影響を及ぼしつつある。
一例を挙げると、流入元のキーワードを分析したことで、酒類名・ブランド名で検索する人の中にはドリンクメニューを増やそうと考える店主も居ることが分かった。そこでBtoC向けの商品説明ページからサントリー製品の取り扱い申し込み窓口にアクセスできるようにしたことで、店舗開拓につなげられるようになった。
成果指標としてはPVくらいしか見るものがなかった商品ページの担当者にも、売上に貢献できるようになったと、ひどく喜ばれたという。
あるいは最近では無視できない影響力を誇るようになったブロガーなどのCGMの効果を高めようと、テレビCM、PR、CGMをどのように有機的に結び付けていこうか、ほかの部署も巻き込みながら社内的な議論に発展しているのだとも。
まだ室元様のグループに限った話かもしれないが、このようにサントリーでは、四半期程度のスパンだったプロモーションの意思決定が週次にまで短縮され、ビジネス上の成果にまでつながり始めている。施策と成果の関係を一目で分かるようにし、意思決定を迅速に行えるようにする。それはWeb担当者以上に、サービス・事業の責任者にとって重要なことなのかもしれない。
この記事は、MarkeZineに掲載された記事「月次→週次に意思決定スパンを劇的改善“大企業”サントリー酒類が超速PDCAを回せるワケ(中嶋 嘉祐)」を再編集して掲載しています。