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アトリビューション分析の本質 ~計測・実施方法も解説

2022.01.04 Tue.

アトリビューション分析の本質 ~計測・実施方法も解説

広告の評価手法について調べているとよく耳にする「アトリビューション分析」。
名前は知っているけど、あまり使い方を理解していないという方も多いのではないでしょうか?
今回は、アトリビューション分析の基礎から、アトリビューション分析を行う上で大事な考え方まで紹介します。

アトリビューション分析の基礎知識

アトリビューション(間接効果)分析は、マーケティングの効果を可視化する分析方法の1つです。
その本質や効果的な使い方を解説する前に、まずは基礎的な知識を解説します。

アトリビューション分析とは

マーケティングにおいて、「アトリビューション分析」は、成果に貢献した広告やメディアなどを間接効果の側面からも評価するための分析手法として知られています。
従来はコンバージョン(CV)に直接かかわる接点だけを評価していましたが、それに代わる分析手法として導入する企業が増えました。

アトリビューション分析を行う目的・メリット

アトリビューション分析による最大のメリットは、広告の効果測定を、より現実に即した形で行えることです。従来の手法では、CVに近いリスティング広告やSEO記事など、後述する「ラストクリック」のみを評価していました。

しかし、これでは商品を知るきっかけとなるバナー広告やディスプレイ広告といった認知獲得を目的とした広告を評価できません。

アトリビューション分析を行うことで、広告以外にも、コンセプトを説明するホームページや動画、ブログなど、「潜在顧客にプロダクトやサービスを認識させるためのコンテンツ」を適切に評価することが可能になります。

アトリビューション分析の本質をとらえる

ここまで、アトリビューション分析の基本的な概念を解説してきましたが、実際に運用すると上手く成果に結びつけられないケースも起こります。
これは、アトリビューション分析の“本質”を、まちがってとらえてしまうことで生じがちです。

アトリビューションの計測は意味がない?

一部の方々は、「アトリビューション分析は意味がない」とお話されることがありますが、これには、測定結果を「理由付け」に使ってしまうことが挙げられます。
たとえば、代理店が広告で成果が出てない際に事業主に「でもアトリビューションで見ると貢献していますから…」と、後付けしようとする場合が当てはまります。

「事前に立てた仮説の検証手段」であるアトリビューションを後付けで使おうとするので、「意味がない」と言われてしまうのです。
たとえば「広告→メールマガジン→自然検索→申し込み」といったシナリオ・仮説を立て、実際の施策でその通りになったかどうかを確認するのがアトリビューション分析の役割なのです。

アトリビューションを活用できない企業の共通点

上でも軽く触れましたが、アトリビューション分析を活用できない企業の共通点は、本来の目的を忘れて「後付けで広告を過大評価する」ことです。
アトリビューション分析の目的は、従来の評価対象外だった間接的な広告を含めて、その効果を最大化するためにあります。
CVが少ない広告に対して、「他の何かに貢献しているのでは?」と分析しても、成果には繋がらないのです。

また、そもそもアトリビューション分析との相性が悪いビジネスモデルが存在するのも事実です。
消費財のような購入までの期間が短い商材であったり、コンバージョン経路がシンプルであったりすると、購入にいたる過程で触れるコンテンツが少なく、アトリビューション分析の効果は期待できません。

アトリビューション分析が効果的なビジネス

一方で、アトリビューション分析と相性のいい商材には
「CVまでに複数のチャネルを経由する」、
「CVに至るまでの期間が長い」
といった特徴があります。
そこからアトリビューション分析はB2Bや高額な商材と相性がいいと言われています。



代表的なアトリビューションモデル5分類

ここからは、アトリビューション分析を導入するにあたり、実際に企業で取り入れられている代表的な5つのアトリビューションモデルについて解説します。

アトリビューションモデルの5分類

なお、複数のモデルのうち「どれか1つだけ使っていればよい」というものではありません。
自分たちの事業目的や注力したいファネルの段階に応じて、モデルを選んでいくことが重要です。

ファーストクリック(起点モデル)

CVに至るまでに、最初にクリックされた広告および検索KWにのみ貢献度を割り当てるモデルです。
対象となるプロダクトやサービスに対し、認知が薄いユーザとの接点を重視しています。

ラストクリック(終点モデル)

CVに至るまでに、最後にクリックされた広告および検索KWにのみ貢献度を割り当てるモデルです。
ファーストクリックのちょうど真逆で、CVにもっとも近い位置の貢献度を測れるため、改善施策にもっとも効果が出やすいと考えられています。メジャーな広告測定ツールのデフォルト設定もこのモデルになっていることが多いです。

線形モデル

CVに至るまでにユーザが通ったすべての広告に対し、均等に貢献度を割り当てるモデルです。
どの接点が効果的だったのかを、公平に見ようとしたモデルです。

接点ベースモデル

CVに至るまでにユーザが通ったすべての広告に対し、最初と最後の接点に比重を多く置いたモデルです。具体的には最初と最後の広告に各40%ずつ、残りの20%を中間接触点に均等に割り振ります。

減衰モデル

CVに至るまでにユーザが通ったすべての広告に対し、最後にクリックされた広告に最大の貢献度を割り当て、その後は時間が新しい順に貢献度を割り振るモデルです。貢献度は7日間の半減期で割り当てられ、CVより8日前の貢献度は、CV前日(=最大貢献値)の半分が割り当てられます。



各プラットフォームが提供するアトリビューション分析ツール

アトリビューション分析の必要性やその本質、モデルがわかったところで、ここからは具体的なアトリビューション分析ツールを簡単にご紹介します。

Google広告

Google広告では、コンバージョントラッキングを設定することで、アトリビューションレポートを見ることができます。CVに至ったユーザがどういった経路で来たのかを追うことができるので、各経路で掲載している広告がCVにどう関係しているかを確認できます。

また、「モデル比較」を行うことで、今利用しているモデルと他のモデルの違いで、成果への影響度合いを確認することができます。データドリブンアトリビューション(DDA)という機能もあるのですが、こちらを使うと、機械学習をもとに影響のある接点を洗い出すことが可能です。

Googleアナリティクス

Googleアナリティクスでは「コンバージョン>マルチチャネル」から、アトリビューション機能を利用することができます。
マルチチャネルレポートは、CVに至るまでにサイトに訪問したチャネルをCVに貢献したとして評価します。

Googleアナリティクスにも、Google広告同様、コンバージョン経路やモデル比較がありますが、異なる点として、自然検索や他の広告も含めたチャネルの分析が可能です。
※別途、カスタムパラメータの付与が必要

Facebook広告

Facebook(現Meta)社が提供する広告サービスは、年齢や性別、予算等を決めて、広告を掲載します。Facebook上はもちろん、InstagramやMessengerなど、広告の配信先を選べます。
広告マネージャーを使って、広告の効果を測定できます。

Facebookにも、今回の記事でご紹介したアトリビューション分析ツールがあったのですが、つい先ごろ2021年8月25日をもって、サービス提供を終了しました。
代わりに、前述した広告マネージャーを使って広告の効果やDDA(データドリブンアトリビューション)の結果を確認できます。

Amazonアトリビューション

Amazon社が提供する、無料のアトリビューション分析ツールです。
このツールの特徴は、Amazon以外のプラットフォーム、たとえばGoogleやFacebookなどに広告を載せたときとの比較検討ができるところです。
Amazon以外で行ったマーケティングの施策が、Amazonでの販売にどのような影響を与えるのかを測定できます。

2020年9月には、Amazonアトリビューションの機能にGoogle広告の一括操作を導入しました。
それ以外にも、1つのツールで一元管理できるように、外部連携や機能を拡張しています。



アトリビューション分析をより効果的に行う方法

アトリビューション分析をより効果的に行うには「単一モデルだけで判断するのではなく、複数のモデルで比較する」ことが重要です。
実際、Googleアナリティクスでは最大3個まで比較するモデルを追加することができます。

加えて、商材の検討期間が長いと思われる場合は、なるべく長期間で追えるようにしておく必要があります。
具体的には、「所要期間」のコンバージョン数の7割以上が25日以上の場合が当てはまります。
Googleアナリティクスでは初期設定のままだと、30日に設定されているので「ルックバックウィンドウ」で調整しましょう。

難しい個人情報の取り扱い

とはいえ、最近のCookie規制に代表されるように、世の中のプライバシー意識の高まりによって、データ収集が困難になりつつあります。日本国内におけるインターネットブラウザのシェア率は、Google社のChromeとApple社のSafariで80%を超えると言われていますが、Safariは2017年にCookieを規制する機能が実装され、Chromeも2023年半ばからサードパーティーCookieのサポートを段階的に廃止することを発表しています。

これが実現すると、一度サイトを訪れたユーザを追って広告を配信する「リターゲティング広告」はもちろん、今回ご紹介したアトリビューション分析も十分なデータが取れなくなり、分析の精度が低くなってしまいます。

Cookie規制も踏まえたデータ活用のすすめ

データ規制によりアトリビューション分析の精度が下がってくると、アトリビューションで広告の間接効果を定量的に測定するだけでは不十分と言えます。

定量的にチャネルの有効度合いを見るだけでなく、「行動分析」によって定性的に各広告・チャネルを評価し、データを補完することが重要となります。定量と定性の2軸で分析を行うことによって、Cookieレスによりアトリビューションモデルが崩れたあとでもしっかりとROIを見極めることが可能になるのです。

ビービットでは、「ウェブアンテナ(WebAntenna)」で広告ごとの直接・間接効果を正しく計測・可視化しつつ、UXチームクラウド 「USERGRAM」でユーザごとの行動の順序・流れを可視化することで、より確度の高い仮説や施策を生み出すためのサービスを提供しております。
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