費用と工数をかけて機能開発をしたのに、結局あまり効果が見えなかった、という苦い経験はありませんか。
サイト上のユーザ行動を把握し、UX改善のポイントを定めることが、機能開発の効果を生む着実な近道です。
危うく無駄な機能開発に着手するところだったECサイトが、その中止を決断し、「本当に効果のある施策」を実施できた事例をご紹介します。
費用をかけた機能開発が効果薄という惨事
ECサイトにおけるサイトの改善施策や、新規機能開発の選択肢は、
・検索機能の強化
・コンテンツのパーソナライズ
・ポイントシステムの導入
・ポップアップによるクーポン提示
等々たくさんあります。社内からの発案があったり、あるいは外部から提案を受けることもあるでしょう。全て「行うと良さそう」で「効果がありそう」に聞こえます。
しかし、実際に費用と工数をかけて開発したのに、結局あまり効果が見えなかった、という苦い経験をされた方はいないでしょうか。
優良顧客はサイトをほとんど使っていない?
ある中古ブランド品のECサイトでの事例をご紹介します。
このサイトでは、もともと新規顧客の獲得に注力してサイトを運営していたのですが、会員数も増加してきたため、次は売上の大半を占める「優良顧客」をターゲットにUXの全面刷新をしようとしていました。具体的には、トップページの改善と検索機能の充実を施策の目玉に据えた企画でした。
ところが、ウェブサイト上の各ユーザの行動を可視化できるツール「USERGRAM」を確認したところ、「優良顧客」は商品購入時に全く「トップページ」も「検索機能」を使っていないことが明らかとなりました。
ほとんどの「優良顧客」は、毎日夕方に届くメルマガにある「今日の新着商品」のリンクから、新着商品一覧ページを見るという行動しかしていなかったのです。
「優良顧客」は、自分の好きなブランドは決まっていて、サイトでそのブランドの商品のどれが売られているかは全て把握していたのでしょう。そのため、興味があるのは昨日との差分、つまり「今日入った新着商品」だけだったのです。さらに、顧客データベースとUSERGRAMの情報を紐づけて分析すると、居住地から優良顧客は高所得者層と想定されました。それが、「新着商品に好きなブランドがあれば値段に関係なく即決購入、なければ即座に離脱」という非常にシンプルな行動に繋がっていたと推測されます。
これに気がついた担当者は、サイトの全面リニューアルや検索機能の開発は中止しました。「新着商品が掲載されたらすぐに知りたい」というのが顧客の強いニーズであり、それを満たすことこそが良いUXに繋がると考えられたため、この点に注力することとしたのです。
具体的には、顧客にお気に入りのブランドを登録してもらい、そのブランドの新着商品が出たらすぐに通知するという機能開発を行うこととしました。
また、メールのリンクからの受けページとなる新着商品一覧ページの改善も行うことにしました。もともとこのページはPV数が多くなかったため、重要と認識されていなかったのですが、今回の行動観察から、優良顧客のUXにおける重要ポイントであることが分かったのです。
優良顧客の行動を把握し、効果の大きい機能の改善を
一見とても便利で、成果向上に寄与しそうな「新機能」も、顧客が利用しなければ当然効果は生まれません。もちろん、機能開発によって顧客の行動が変化するという可能性もありますが、まずは自社顧客はどのように行動して購買をしているのかを把握してみませんか。
現状の顧客行動を把握し、売上向上に寄与するポイントを定めることは、機能開発で成果を生む着実な近道です。
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