2021.11.09 Tue.

【活用メモ番外編】-事例で紹介 これからの顧客ロイヤルティ戦略入門

顧客ロイヤルティ(ロイヤリティ)指標を正しく設定することで、顧客の自社製品・サービスに対する親愛度が上がり、結果として良い売上が生まれます。この記事では、その良い売上を生み出すために必要は顧客ロイヤルティの基礎から事例を通じた戦略までご紹介します。



顧客ロイヤルティとは

顧客ロイヤルティとは、顧客が企業や特定の商品に対して心から信頼して感情的な深い結びつきを持っている状態を指します。顧客ロイヤルティを生み出すには、「顧客がどう思っているか」をつねに考え、定量・定性の両面で可視化して理解する必要があります。

顧客満足度との違い

顧客ロイヤルティと似た指標に「顧客満足度」があります。その名のとおり、顧客が商品やサービスに対してどの程度、満足しているかを表す指標ですが、顧客ロイヤルティとは似て非なるものなのです。

引用元:https://www.bebit.co.jp/?column=01-what-is-customer-loyalty

端的にいえば、顧客満足度とは「顧客の期待に応えることで生まれる、機能・スペックへの実質的な評価」ですが、顧客ロイヤルティは「顧客の期待を上回ることで生まれる、信頼や好意などの感情的な評価」です。

かつて社会が右肩上がりに成長していたころは、顧客の期待は満たされていないことが多く、それらの期待に確実に応えていくことが新規顧客の獲得と企業の成長につながりました。

しかし、品質の高いモノやサービスがあふれる現代では、製品やスペックへの満足はほぼ当たり前のものとなり、顧客の購入をうながすには「期待以上の対応をしてくれて感動した」「企業姿勢が好き」といった、企業との深い関係性が重要となるのです。

顧客が「満足」と答えても収益の伸びにはつながらない

近年の調査結果では、顧客満足と企業の成長はそれほど関係がないことが明らかになっています。実際に顧客満足度は高くても、収益の伸びにつながっていない企業は多くあります。

引用元:https://www.bebit.co.jp/?column=customer-value-strategy-summit-2015-01

なぜ、多くの顧客が満足しているはずなのに、企業の成長にはつながらないのでしょうか。その答えは、顧客の立場に立って調査の方法を見てみるとわかります。

多くの人は「我が社の製品・サービスに満足しましたか」と問われたとき、心の中では「他企業の方が良い」と思っていたとしても、とくに大きな不満がなければ「満足した」と答えるのではないでしょうか。

引用元:https://www.bebit.co.jp/column/article/02-who-is-loyal-customer/

こうしたロイヤルティを伴わない売上は「悪い売上」と呼ばれます。「悪い売上」は短期的には収益につながりますが、たとえば継続期間の制約がないライバル企業の出現といった、使い続ける理由が解消されれば簡単に乗り換えられてしまいます。

「あなたは我が社の製品・サービスに満足しましたか」という問いに対する回答は、顧客のその後の購買行動とは結び付きが薄く、そこから事業成果を予測するには不十分といえるでしょう。

顧客の購買行動とロイヤルティは相関し、企業の成長へつながる

顧客満足度が購買行動との結びつきが弱いことに対して、顧客ロイヤルティは購買行動との結びつきが強いことがわかっています。

引用元:https://www.bebit.co.jp/?column=03-roi-of-loyal-customer

自社サービス・製品の購買量、LTVが多くかつ、愛着と信頼を持ってくれている「ロイヤルカスタマー」を増やすことは、継続率増加だけでなく、口コミにより新規顧客の増加にもつながります。

また、ロイヤルカスタマーは、商品やサービス改善に役立つ建設的な意見の提供や、社員の働きがい・貢献実感の向上による、高い社員満足度の実現にまで貢献してくれます。

顧客ロイヤルティを高めることは収益のみでなく、企業の成長を支えることにもなるのです。

顧客ロイヤルティを高めることで得られるもの

顧客ロイヤルティを高める施策には、ときに収益を一時的に落とさざるを得ないケースや、コストや手間が必要となるケースがあります。しかし、一時的な利益を捨ててでも、顧客ロイヤルティを高めることが企業に大きな利益をもたらします。

ここで1つ、顧客ロイヤルティを向上させたことで事業を成長させた事例をご紹介します。

ダイレクト型保険で業界ナンバーワンの売上規模を誇るソニー損害保険は、顧客ロイヤルティ向上にいち早く取り組んだ企業の1つです。顧客アンケートによりロイヤルティの計測を実施し、評価が低い顧客には役員や責任者が直接ヒアリングするなど、全社を挙げて顧客理解に努めています。

また、保険料を安くできる年齢に到達した契約者への連絡や、大雪の被害を受けた契約者へ保険の補償が適用されることを教えるメール配信など、顧客ロイヤルティ向上につながることを積極的に実施しています。

こうした施策は、短期的に見れば保険料収入の減少や保険金支払いの増加により、収益は減ってしまいます。しかし、自社よりも顧客のメリットを優先した結果、顧客の期待を上回るCXの創出に成功し、SNSでソニー損保の良心的な対応が紹介されるなど、企業と顧客の絆を強めることへつながりました。

顧客ロイヤルティを計測するための指標

顧客ロイヤルティを高めるには、明確な数値を出して正しく計測する必要があります。顧客の主観的な感情であるロイヤルティを目に見える形で計測するのは難しいように思われますが、いくつか方法があります。

引用元:https://www.bebit.co.jp/?column=cem-08-customer-experience-management01

ここでは、顧客ロイヤルティを正確にとらえやすい指標を2つご紹介します。

NPS(顧客推奨度)

主観的な質問をすることで顧客ロイヤルティを計測する指標の1つが、NPS(Net Promoter Score:顧客推奨度)です。

引用元:https://www.bebit.co.jp/?column=01-what-is-customer-loyalty

NPSは、自社の顧客に「当社の製品・サービスを友人や家族、同僚に勧める可能性はどれくらいありますか?」と質問し、0点(絶対おすすめしない)から10点(強くおすすめする)までの点数を付けてもらいます。

9・10点の高得点を付けた人を“推奨者”、7・8点を付けた人を“中立者“、6点以下を付けた人を“批判者”として、推奨者の割合から批判者の割合を引くことで、ロイヤルティ指標を算出できます。

これによって、顧客の中に推奨者と批判者のどちらが多いかを定量的に示すことができます。

CES(顧客努力指標)

NPSとよく比較されるのがCES(Customer Effort Score:顧客努力指標)です。CESは、顧客ロイヤルティを低下させてしまう状態かどうかを示すものです。

質問としては、「当社とお取引いただくのはどれくらい簡単だったでしょうか?」といったものになります。CESが低くなるのは、購入した製品がすく壊れた上に交換に時間がかかる、コールセンターでたらい回しにされるといった顧客サービスとして基本的なことが出来ていない場合です。

上記は、本来顧客が労力を払う必要がないものであり、この労力がどのくらいあったのか測定する指標がCESになります。顧客の労力が最小化できれば、ロイヤルティを下げる要因を除去でき、結果的にロイヤルティの向上が見込めるといった考えがベースとなっています。

ロイヤルティ指標は収益連動とみる

ロイヤルティ指標についてより知っていくと、どれも捨てがたくなり、複数指標をまとめて扱おうとする誘惑に駆られることもあります。

しかし、それでは人による解釈の違いや自分にとって都合のいい指標を取り上げようとする人が現れるだけでなく、なにより顧客に依頼するアンケートの設問数が増え、回答率が下がる。あるいは、回答の精度が落ちる恐れがあるのです。

そのため、最終的に追うべきロイヤルティ指標は一つとし、その総合指標を構成する要素としての子指標を定義するのが賢明です。その際に見るべきものが、収益連動度と事業へのインパクトです。

ロイヤルティ指標とこれまでの収益性との関連性をみるには、自社製品・サービスと顧客のタッチポイントをしっかり把握し、ジャーニーマップに沿った形で捉える必要があります。

カスタマージャーニーの詳細が知りたい方はこちらをご覧ください。
カスタマージャーニー、アフターデジタル時代で変わる設計思想

ロイヤルティを向上させる戦略

顧客ロイヤルティを向上させるには、顧客の期待を上回るCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)を生み出す必要があります。その実現には、顧客に対して「問題ない」レベルの体験だけなく、顧客の想定を超える「期待以上」の体験を提供することが重要です。

ソニー損保の事例でご紹介した、一時的な売上を減らしてでも顧客のメリットを追求する施策は、通常の企業で実施するのはなかなか難しいものです。しかし、それを乗り越えて実現するからこそ、顧客が抱いている期待を大幅に上回ることができるのです。

このような顧客ロイヤルティ向上の施策を社内で理解してもらうには、顧客のロイヤルティと収益の関連性を分析し、ロイヤルカスタマー創出活動によって見込まれる成果を可視化すると良いでしょう。

顧客アンケートによってロイヤルティ指標を算出し、対象顧客の収益性を示すデータを集めます。そして両者の相関性をグラフで示せば、ロイヤルティ向上によってもたらされる収益を予測できるようになります。

このように目に見える形でロイヤルティ向上による利益が予想できれば、一時的なコストや減収を伴う施策であっても実行しやすくなるでしょう。

顧客価値を最大化させた成功事例

ここでは、弊社がご支援させていただいた企業様の中から、アプリ開発を通して顧客ロイヤルティの向上を目指したスターフライヤー様の事例をご紹介します。

顧客利益を追求し良質な顧客体験(CX)を提供する

北九州を拠点としているスターフライヤー様は、「感動のあるエアライン」という理念を掲げる航空会社です。2018年から運用を始めたマイレージ会員向けのスマートフォンアプリには、搭乗回数に応じたステータスが表示される会員証機能や、スマートにチェックインや搭乗ができる2次元バーコード機能などを搭載し、好評を得ています。

ビービットが提案したのはまず、スターフライヤー様が本来持つ『気遣い』のサービスという強み(価値)を引き出して、それをアプリで体現することです。こういったアプリに搭載するサービスは、一般的にはマイルのような金銭的なものを思いつきがちですが、それは大手航空会社にはどうしてもかないません。

その結果、できあがったサービスのひとつが、到着地で雨が降っていたときには、アプリの画面をスタッフに見せれば傘が貸し出されるという傘のレンタルサービスです。ほかにも画面を見せれば朝食サービスが受けられるクーポンの配信や、ステータスの高いプレミアム会員はオペレーターとのチャットで搭乗便や座席の変更ができる機能など、お客様をおもてなしする多彩な機能がアプリに搭載されました。

「感動」の実現には”科学”と”人間味”が必要

スターフライヤー様のサービスとアプリの開発は、科学的な裏付けのある、地道な調査分析をしながら進めました。試作品をユーザに試してもらうプロトタイピングでは、1回あたり20人の顧客に対して、1対1で1人当たり70~80分の行動観察を2回実施しています。

ビービットでは、ドライで科学的な客観評価を取り入れるのと同時に、ウェットな共感性による評価も重視しています。スターフライヤー様の案件ではプレミアム顧客を調査する過程で、いまどこに満足しているかではなく、どのようにスターフライヤー様のファンになったのかというプロセスに着目しました。そうすることで、お客様の本音を引き出し、本当にクライアント様のためになることも考えられるのです。


スターフライヤー様の成功事例をより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
マイレージ会員向けモバイルアプリ開発を、体験設計の面からご支援。『気遣い』のサービスという価値をアプリで具体化

行動データで顧客ロイヤルティを高める

顧客ロイヤルティを生み出すには、「顧客がどう思っているか」をつねに考え、定量・定性の両面で可視化して理解する必要があります。

顧客の感情は彼/彼女らの置かれている状況によって左右されます。そのため、オンラインとオフラインが溶け合ったアフターデジタルの世界では、自社製品・サービスがユーザにどのような状況で利用されているかを理解することが顧客ロイヤルティを高める上で非常に重要です。

行動データでより効果的なPDCAを回す

顧客の状況を捉える手法のひとつに、シーケンス分析があります。シーケンスとは「連続」や「順序」を意味する言葉で、シーケンス分析はユーザの状況や文脈に注目した定性的な行動データ分析手法です。

引用元:https://bebit.co.jp/?blog=ad-bebit-03_20191112

ビービットの提供する「USERGRAM」は、個別のユーザだけでなく、グループ単位で行動の順番やかかった時間まで考慮に入れて分析が可能です。また、デバイスをまたいで「いつ」「どこから」「どのように」行動しているかが、詳細かつ直感的にわかりユーザの『状況』を読み取れます。

USERGRAM、シーケンス分析について詳細が知りたい方はこちらをご覧ください。
【活用メモ番外編】成果に伸び悩んだら、ユーザの状況を捉える!

イベント・セミナーに関するお知らせ

ビービットではこれまでUXや顧客ロイヤルティ向上のためのセミナーを開催してきました。
これからも定期的に開催していきます。日程が合わない場合でも、次回開催時に優先してご案内させていただきますので、もしよろしければご登録ください。

開催中のセミナーはこちらから