WEBサイト上の課題をWEBサイト上のみで解決しようとしていませんか。各チャネルの課題の改善方法は、実は他のチャネルにあるかもしれません。今回は、WEBサイトでの行動をもとに、解決策を他のチャネルで実施した事例をご紹介します。
お得なはずの「定期便」申込みが少ないECサイト
ある健康食品のECサイトでの事例を紹介します。
このサイトでは、商品を定期的にお送りする「定期便」申込み数が重要KPIで、担当者は「定期便」の申込者数増加に注力していました。
実は定期便は単品で購入し続けるよりも安価に購入できるお得なプランなのですが、定期便を使わずに、定期的に同じ商品を買い続けるユーザが多数いたのです。
クリックされない目立つバナー。一度クリックされると即CVの謎
そのため、商品を単品で購入するボタンのすぐそばに「定期便」で購入するボタンを配置したり、定期便の紹介ページに誘導するバナーをポップアップで出すなど、担当者は最大限の工夫をしていました。しかしそれでもなお、単品を買い続けるユーザは、なかなか定期便を申し込んでくれませんでした。
そこで、Webサイト上の各ユーザの行動を可視化できるツール「UXチームクラウド USERGRAM」を使い、「長い間、単品購入を繰り返していたのに、最終的に定期便を利用するようになったユーザ」の行動観察を行いました。
すると、そのようなユーザは、定期便を紹介するLPを一度閲覧すれば、すぐに定期便に申し込んでいることが分かりました。つまり、何か内容に不安があって躊躇しているといったことはなく、定期便の内容を知りさえすれば申し込んでいたのです。
担当者は頭を抱えました。ポップアップを出すなど、最大限工夫してLPに誘導しているのに、ユーザはなかなかLPを見てくれていないのです。そうだとすれば、これ以上どうすればいいのだろうと困ってしまいました。
CVR改善の秘策はチラシだった
そこでさらに行動データを観察し、「長い間、単品購入を繰り返していたのに、最終的に定期便を利用するようになったユーザ」に絞ってサイトの流入元を確認してみたところ、ある特徴が浮かび上がってきました。
そのようなユーザに共通した特徴は、プロバイダーやケーブルテレビなどのポータルサイトから検索して流入しているという点でした。一般的に、GoogleやYahoo!Japanから検索するユーザに比べ、こういったポータルサイトから検索するユーザは、インターネットの利用開始後にブラウザのホーム画面を変更していないユーザだと考えられ、ITリテラシーが低いのではと想像されました。
この点が気にかかった担当者は、さらにこのユーザの年齢を顧客データベースで確認しました。すると、これらのユーザは皆65歳以上と顧客の平均より高齢であることが分かりました。
「単品購入」と「定期購入」という言葉は業界人にとっては一般的ですが、年齢が高くITリテラシーが低いユーザにとっては馴染みがないケースが多々あったのでしょう。
そのために、ポップアップバナーなどで「定期便」をいくら露出してもクリックしてもらえなかったのだと推測されました。
WEBチャネルの課題は他チャネルで解決できることも
そこでこのECサイトでは、このユーザー層に対してWEBサイト上で「定期便訴求」を行うことを諦め、定期便の案内チラシを発送商品に同梱することに。ポップアップバナーをクリックしないユーザも、チラシなら見てくれるのではないか、むしろチラシの方が相性が良いのではないかと考えたのです。
WEBサイトを運営していると、課題の解決策をどうしてもWEBサイトやWEB広告に閉じて考えがちかと思います。しかし、ユーザと自社の接点はWEBサイトだけではありません。
もちろん、DM等紙での施策も同様です。ユーザの状況を捉え、別チャネルでのアプローチを考えてみると、チャネルを横断した改善施策や、重点化すべきポイントや削減ポイントも見えるかもしれません。
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