せっかく会員になってくれたユーザの退会はなんとか防止したいもの。でも、施策の企画やシステムの開発には時間もお金もかかるので、効果のある施策に絞って実施したいですよね。
今回は、ユーザ行動を見ることで効果が薄そうな退会防止施策の開発を辞めるべきと事前に見極められた事例をご紹介します。
あなたならどうする?ボリュームは大きいが退会率の高い集客経路
ある携帯キャリアでは、オプションとして有料の動画配信サービスを用意していました。
そして、「最初の3ヶ月は無料、その後からは有料」という仕組みにし、かつ、「端末購入時に動画配信サービスをオプションをつけると5%ポイント還元」とすることで登録数を増やしていました。
しかし、サイト担当者はその歩留まり率の低さに頭を悩ませていました。
携帯ショップや家電量販店の販売員が「あとで退会すればいいだけですから」と会員登録を推奨してくれていたということもあり、この経路で動画配信サービスに登録したユーザは、かなりの割合で無料期間中に退会をしていたのです。
この仕組上、退会率が他の経路より高いのはしょうがないものの、この流入経路からの登録ボリュームが最も大きかったので、数%でも改善できればインパクトがあります。なんとか退会を引き止められないかと頭をひねりました。
「チュートリアルを見てもらえばサービスを継続するのでは?」という仮説
担当者は、サービス利用のチュートリアルを作ればいいのではないか、と思いつきました。
みんな、登録だけして、サービスの中身も知らないままに退会しているのではないか、サービス内容を知りさえすれば継続する人も一定生じるのではないかと考えたのです。
担当者は、どのタイミングでチュートリアルを見てもらうと良いだろうかと、USERGRAMを見てみることにしました。
USERGRAMは、条件を設定することで、その条件を満たすユーザのサイト上での行動を一人ずつ見ることができます。携帯ショップや家電量販店から流入し退会したユーザ、という条件を設定し、それらのユーザ十数人分のサイト内での行動を見てみることにしました。
行動を観察すると、ユーザは一直線に退会をしていた
しかしユーザの行動をUXチームクラウド USERGRAMで見てみると、チュートリアルが無効であることが一目瞭然でした。
どのユーザも、3pvで登録完了、3pvで退会完了。既存のサービス説明ページは一切閲覧していない行動ばかりでした。「ポイント還元の為だけに登録し、課金されないように退会したい。」というユーザの考えが透けて見えるようでした。
このようなユーザの退会を引き止めようとしても、意味がないと担当者は悟りました。そして、チュートリアルの開発は取りやめることにしました。
退会をなんとか引き止めるのではなく、携帯ショップや家電量販店での登録促進の方法の見直しを行う必要があると考えたのです。その社内説得にあたっては、このUSERGRAM上のユーザ行動の実態を見せ、上層部及び携帯ショップの接客係にも状況を理解してもらうことができました。
サービスやサイトによっては、退会前にチュートリアルなどのコンテンツを見せることで、退会を引き止められることもあるでしょう。
退会を引き止める方法はありそうか、またどのタイミングでコンテンツを見せられると良さそうかなど、是非一度、退会してしまうユーザの行動を確認してみてください。
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