第35回 企業サイトの対応方針

企業がインターネットを活用する際に注意すべき5つのポイントを解説します。

インターネットの興隆によって、既存マスメディアの弱体化や消費者の情報武装など情報の量、質、伝達手段などが大きく変動している中で、企業サイトはそれらの変化に合わせた対応が求められています。

そこで今回は企業がインターネットを活用する際の対応方針について5つのポイントをご紹介してみたいと思います。

誠実な対応

企業がネットを活用する際、まず重要なのが誠実な対応を心がけるということです。ウェブサイトに関わらず顧客に対して誠実であることは極めて当たり前のことですが、実際に「顧客の目から見て誠実である」かどうかはなかなか難しい課題です。

特にネットユーザは口コミやブログなど様々な情報獲得経路を持つため、ユーザに必要な情報を十分に伝達しなかったり、虚偽の報告をした場合などもすぐに暴かれる可能性があります。さらに、ユーザは元々「企業サイトは自分の都合の良いことしか言わない」と非常に薄い信頼感しか抱いていないため、徹底的に誠実に対応しないとすぐに信頼を失墜させてしまいます。

例えば、サイトに不具合が発生して一時的にアクセス出来なくなった場合、不具合の理由が企業側のミスであったとしても、その原因や対応状況をユーザにタイムリーに知らせた方が、そうでない場合に比べて圧倒的にクレームの数が少なくて済むという実例が多くあります。ミスの糾弾を恐れて対応が遅くなるよりも、まずはユーザにとっ て必要な情報を伝達した方がユーザも納得してくれるのです。

また、ユーザニーズを無視した過剰な売り込みや誘導、お手盛り記事などは、ユーザにとって不快であるとみなされがちです。実際にお手盛り記事を書いた企業ブログがユーザからの非難を浴び、閉鎖に追い込まれるといった事態が少なくありません。

最近企業の危機管理がホットトピックになっていますが、ユーザがセカンドオピニオンを獲得しやすいネット上でのコミュニケーションも企業の倫理観が問われやすい媒体として認識しておく必要がありそうです。

比較されることを意識した商品・サービス設計

インターネット上では「比較」という行動が積極的に行われるという特徴があります。

そのため、ネット上で自社の商品・サービスをアピールするためには、

比較に耐えうる商品・サービス
比較しようのない独自の商品・サービス
のいずれかを設計・展開することが求められます。その際、気をつけなければいけないのが実際にユーザが比較しているもの、また比較している観点をきちんと踏まえるということです。

企業がある商品・サービスについて優れいてると思っているポイントがあったとしても、ユーザは全く違うポイントを重要視しているということが少なくありません。そのため何がユーザにとって重要なポイントなのかを、ユーザビリティテスト(ユーザ行動観察調査)などで把握した上で、サイトにおける商品・サービス展開戦略を練ると良いでしょう。

強みとユーザニーズをマッチングさせる表現

セルフサービスメディアであるサイト上では、ユーザの持つニーズを覆すことが困難です。そのため、サイトで商品やサービスをアピールするには、ユーザニー ズを上手に活かす必要があります。

具体的には、ユーザのニーズを把握するとともに、ニーズと自社の強みの合致する部分を見出し、それをユーザにとって分かりやすい表現に落とし込みます。特に言葉の選定には十分な注意を払い、ユーザの状況に即した表現やユーザが認識している言葉を用いるなどして、ユーザに内容が伝わるようにします。

真似されることを意識して変化に柔軟に対応

競合など他社が真似するスピードがこれまで以上に加速化しているため、真似されることを常に意識してスピーディな変化に常に対応することが重要です。

そのためには、まずは仮説検証サイクル(PDCAサイクル)を回して常に次の一手が考えられるような仕組みを持つと良いでしょう。例えば、アクセスログ解析などを活用してサイトに関するフィードバックを得られるようにし、変化を素早く把握できるようにしておきます。さらに、サイトの修正や更新がスピーディに行える体制を構築しておくことで、変化に耐え常にユーザを惹き付けるサイト運営が行えるようになります。

発信のみならず受信機能を活用

ウェブサイトではとかく商品プロモーションなどの露出ばかりが検討されがちですが、インターネットはこのような「発信」機能のみならず、「受信」という機能が備わっています。お問合せを受けたり、実際の購買注文を取り次ぐといった受信機能はすぐに想像がつきますが、アンケートによって顧客の声を収集したり、アクセスログ解析を使ってテレビCMの広告効果検証や消費者動向把握など、ウェブサイトには受信機能を使った活用方法が色々とあります。

既存メディアの力が弱まり、インターネットが社会的インフラとなりつつあることを踏まえると、これら「受信」機能を活用することで、マーケティング活動や宣伝活動、また企業活動全体へのフィードバックをもたらすことができますし、すでにこのような活動を実施している企業もあります。企業サイトを軸に市場のフィードバックを得るという観点を意識したサイト運営が今後益々重要になってくるでしょう。

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