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ステップ方式で分かる データ活用で成長企業に変わる方法

2022.01.17 Mon.

ステップ方式で分かる データ活用で成長企業に変わる方法

アフターデジタル下において、人々はオンラインやオフラインを意識せず、自分にとってベストな選択をとるようになります。企業は実店舗だけでなくECサイトやメールなど、これまで以上に顧客との接点(タッチポイント)持つようになり、そこから膨大なデータを得るようになります。それをどのように扱い、企業活動に役立てていくのか。今回はデータ活用で成長企業に変わる方法を、ステップ方式で解説していきます。

顧客データの活用で企業のDXを推進する

デジタル技術を活かし、ビジネスモデルを変革(デジタルトランスフォーメーション=DX)するには、顧客へのよりよい体験の提供(UX)が不可欠です。しかし、その実現には、自社の顧客像や顧客が望んでいるものを把握しなくてはなりません。そのために必要となるのが、顧客にまつわるデータの収集と分析、そして活用です。

データ活用とは

古くは流通業や金融業を営む企業が自社保有する顧客データをもとに事業を展開していました。近年、ネットインフラが整備され、スマホやタブレットといったデバイスが普及したこともあり、オンラインでのデータ取得が容易になりました。
そのような時代なので、数年前から多くの企業が「とりあえずデータを集めよう」と試みています。ですがそうした取り組みが失敗に終わることも、少なくありませんでした。なぜならデータを集めることに夢中で、次のアクションに移るためにどうすればいいのかを、思考することを軽視していたのです。
データを活用するということは、企業の掲げる目標・抱える課題に対して行った施策を、データをもって効果検証し、事業に生かし、成果を上げていくことです。

データ活用の必要性

データの有名な利用パターンとして「天気予報」がありますが、「天気予報」では地上、上空、海洋など様々な種類の気象データを収集し、解析・予測をする。その結果を表やグラフとして可視化し、人々の行動に変化を促しています。
天気予報のおかげで毎日私たちは「傘を忘れて雨に打たれる」、「買わなくてもいいはずの傘を買ってしまう」といった事態を防ぐことができています。またビジネスシーンで言えば、天候の違いによって商品の売れ行きや集客の増減の見込みがたてられます。
先端企業ではビッグデータによる機械学習や統計をもとに事業の予測を行い、施策を実行、その結果をさらにデータとして蓄積していくことで無駄な時間を減らし、大きく事業を成長させています。
つまり、データを活用することの重要性は、簡潔に言えば事業成果に大きく影響するからといえます。

データ活用で得られるメリット

実際、企業がデータ活用を進めると、どのような変化が起こるのでしょうか?
ここでは、3つのポイントに絞って、データ活用で得られるメリットを解説します。

施策による効果分析の精度向上

データをきちんと分析して活用すると、施策をうったときの効果の分析精度が向上します。たとえば、データをろくにとらずに施策を実施して効果が上がったとしても、なにが要因で成功したのかが見えてきません。これでは、どんな施策を打っても、ただのギャンブルになってしまいます。

施策を打つ前からデータを元に予測し、その変化の幅を見れば、その施策が効果的だったかどうかがわかりやすくなります。また、初めて実行する施策であれば、同時にデータをとることで、どんな状況が影響したのか、どんな顧客が購入したのかなど、成功や失敗の要因が見えやすくなります。

サービスの品質向上

データを活用するわかりやすいメリットの1つに、サービスの品質向上があります。たとえば、Amazonを始めとするECサイトでは、顧客の購入データや検索に使った単語のデータに基づいて、関連性のある商品をおすすめしてきます。また、提供サービスがSaaSであれば顧客の行動データを自社で管理することができます。ですので、もし顧客がサービスの利用で困っているとき、問い合わせが来る前にこちら側からサポートを行うことが可能です。

組織・従業員の生産性向上

データ活用に効果を出せるのは、マーケティング分野だけではありません。単純に紙でやっていたことデータに置き換え、1つ1つの「簡単だが膨大な量」の計算や修正をPCにやらせるようにすれば、それだけでも人の手が空き、別の作業ができるようになります。

また、上述したデータ活用で施策分析の精度が上がれば、より効果的な施策に人員を割き、逆に効果の薄い施策からは人を減らしたり、取り止めたりもできます。限りある経営資源を効果的に再配置することで、組織や従業員の生産性を向上できるようになるでしょう。

企業が抱えるデータ活用に立ちはだかる課題

ここまでに解説したとおり、企業がデータを活用するとさまざまなメリットを得られますが、同時に取り組むうえでの課題も顕在化しています。
ここでは、データ活用に立ちはだかる、代表的な3つの課題をピックアップしました。

データを活用できる人材の不足

顧客から得られるデータが膨大になり、より詳細な行動パターンや嗜好がわかるようになった反面、その取り扱いの難易度も飛躍的に高まりました。膨大なデータから必要な情報を取り出し、分析し、企業の意思決定に必要な意見としてまとめるには、データ分析の専門家が必要です。とはいえ、そういった「データアナリスト」や「データサイエンティスト」と呼ばれる専門家は、概念自体がまだ新しいこともあり、世界規模で不足していると言われています。

厳しさを増す個人情報の取り扱い

2003年に個人情報の保護に関する法律が制定されて以来、個人の私的な情報を守る意識が高まり、企業もその取り扱いに慎重さを求められるようになりました。実際に、特定のサービス利用のために登録した個人情報が、企業側の管理が不十分なために漏洩する事件も、よく世間を騒がせています。そのため、いざ顧客の詳細なデータを集めようと思っても、顧客側が漏洩や悪用を恐れて、提供してくれない可能性もあります。こうした個人情報が持つ取り扱いのデリケートさも、データ活用を阻む一因となっています。

データ統合・抽出の壁と労力

膨大なデータを正しく取り扱うには、データが正しく入力されていなければいけません。しかし、住所の表記1つとっても「○丁目○番地」と「○-○」のように表記するケースとがあり、特定のデータを抽出するときに、このような「表記ゆれ」が障害になりがちです。また、他社や異なる業界をまたいでデータを統合する際も、たとえば同じ会社を示しているのに、一方がカナ、もう一方が英字で登録していたりすると、同じ社名と認識できず、統合時にエラーが生じたり、データの抽出結果が実情と乖離したりする恐れがあります。

こうしたデータ間に生じる統合や抽出の壁は、データ形式の標準化やデータクレンジングを実施することで、データ形式を統一して品質を高めることで解決できます。しかし、膨大なデータの整理や加工は時間がかかり、データ分析部門やスタッフの大きな負担となっています。

企業で新たにデータ活用を進める際の5ステップ

自社でも実際にデータを活用して戦略を立てていこうと決めても実際はどこから始めていけばいいかわからないものです。ここでは5つのステップを通じてデータ活用を企業は文化として浸透させる方法をお伝えします。

1.手元にあるデータから始める

「データに基づいた経営戦略」を掲げ、最初から意気込んでデータを集めようとしても、膨大なデータを処理しきれなかったり、データ収集で力尽きてしまったりして、上手くいきません。まずは、何のためのデータかを明確にしたうえで、すでに社内にあるデータ、取得しやすいデータをどう活用していくのか考えていくことをおすすめします。

2.小規模なABテストを繰り返して因果関係を検証する

複数の施策を同時に実施していると、成功・失敗したときの原因がどこにあったのかわからなくなることがあります。狙った施策が当たったのか、それとも偶然に数値が上がっただけなのか、データを用いて効果検証する際には、この結果の部分が分からないと次の施策には移れません。そこで、それぞれの施策による影響が最小限になるよう、ABテストを小規模にし、一度にではなく、小分けにして行っていきましょう。そうすることで、施策による数値変化の因果関係が明確になってきます。

3.マーケティングに必要な顧客データを収集する

ある程度段階が進んでくると、既存のデータと結果だけで物事を判断してしまいそうになりますが、今あるデータで事業の全てが分かると判断してしまうのは危険です。データ活用の規模が大きくなれば、それだけやり方も変わってきます。実施するマーケティングの施策に合わせて、追加のデータを顧客から収集しましょう。ここで重要なことは引き続き「何のためにデータを集めるのか」です。施策によっては、これまでの定量分析ではなく、顧客アンケートによる定性分析で判断することが有効かもしれません。

4.社内にデータ基盤を構築する

データ活用により企業の成長が進むと、今度はこれまでのデータと今後計測していく予定のデータを保管する専用のデータベースが必要になります。データ量が少ないうちは、Excelやスプレッドシートといった一般的なツールでも事足りますが、扱うデータ量が増えてくると管理が非常に困難になります。この段階まで来たら、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)やDWH(データウェアハウス)といった、集めたデータを一元管理できるツールの導入を検討したほうが良いでしょう。ただDWHなどを導入する際は個人情報の取り扱い・漏洩の恐れがあるので、マーケティング担当者だけで決めるのではなく、事前に法務に確認を取ってから、進めていきましょう。

5.データ活用を企業文化として浸透させる

せっかく集めたデータを、マーケティング担当者やデータの解析部門、データサイエンティストといった専門分野の人間だけに扱わせてはいけません。データは可能であれば全社横断で必要とする人には見られるようにすべきです。

とはいえ、知識や経験が不足しているスタッフがデータから必要な情報を取り上げ、企画に活かすのは難しいので、社員への研修やトレーニングはもちろん、BI(Business Intelligence=ビジネスインテリジェンス)ツールの導入が重要になってきます。

データ活用で変わる企業文化

ステップを進めるにしたがって、DWHで話した法務との連携など、社内で関わる部署も増えていきます。企業によっては他部署には見せたくないデータなども出てくるでしょう。そのたびに担当者は社内での立ち回りが重要になってきます。データ活用を浸透させ、企業文化として根付かせるためにはこのステップのようにスモールスタートから始め、徐々に関係者を巻き込んでいきましょう。

データをユーザ体験に還元する「UXインテリジェンス」

企業がデータを集め、活用するうえでもっとも注意するべき点は、それを「自分たちの所有物」と見なすようになることです。ユーザから提供された個人情報や著作物などを、勝手に自分たちのものとして、最終的に自社のみが大きく得するようにしてしまうと、ユーザは警戒してしまい情報を提供してくれなくなります。こうなると、その企業はもちろん、社会全体のDXによる発展も停滞してしまいます。

利益を追求するタイプの企業は、データを悪用するつもりがなくても、ついこのような使い方をしてしまいがちです。アフターデジタル下において、DXに挑む企業やビジネスパーソンは「UXインテリジェンス」を持たなくてはなりません。

“UXインテリジェンスとは、データ取得が容易になったアフターデジタル時代を「窮屈な監視社会」や「ユーザ不在のデータ売買社会」にしないために、ビジネスに関わる全ての人が持つべき精神のこと。"
 引用:今、ビービットが「UXインテリジェンス」を提唱する理由

ビッグデータを扱う企業の社会的影響力は大きいだけに、こうしたUXインテリジェンスを持たないままDXを進めてしまうと、社会からもユーザからも受け入れられなくなってしまうでしょう。そのため、これからの企業はUXインテリジェンスを身につけ、データを正しい方向に活用していくことが求められるのです。

セミナーのご紹介

弊社では行動データ活用による成果向上のためのセミナーを開催しています。
ぜひご覧いただき、皆様の業務でお役立ていただけましたら幸いでございます。

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