第23回 ウェブ制作の効率化【後編】

ペーパープロトタイピング手法をなぜ用いるべきなのか説明します。

紙の設計書のメリット

1. 簡単に持ち歩け、いつでも検証できる

紙の設計書なので、パソコンを持ち歩かなくてもよく、気軽に簡単に、どこでも意見収集を行えることで、ユーザの意見を取り入れやすくなります。気軽に友達や家族にも試すことができます。

2. 簡単に修正できる

修正すべき箇所がわかったら、手書きの場合はその場で、パワーポイントの場合もパソコンがあればすぐに修正でき、ユーザニーズをきちんと反映することができます。ここで既にHTMLにしている場合、例えば全ページ共通のナビゲーションに修正が必要となると、膨大な時間と手間がかかり、結局は修正されないという事態になりかねません。

3. ユーザは具体的なものがないと有益な意見、行動を見せない

ユーザが想像しながら言う意見というのは、時に現実のニーズを反映していないことが多くあります。例えば、食器に関するグループインタビューで、「今後欲しい食器の色は?」という題に、討議の結果「斬新な赤」という答えでまとまったのに、帰り際、謝礼として試作品を自由に持って帰ってもらったところ、赤の食器がある中で、ほぼ全員が白色の食器を持ち帰ったというのは有名な話です。

想像ではなく、具体的な設計書を見せることで、本当にユーザが必要としている情報や構造が見えてきます。

4. 制作メンバーや関連部署と期待値の刷り合わせができる

制作の早い段階で具体的な設計書を作成するため、企画、制作、デザイナなど制作に携わる様々な担当者と共通認識を持つことができ、意見調整を早くから進めることができます。

概念レベルで共有している期待値は個人間で異なることが多く、具体的なものが提示されてから「これは想像と違う」となると、手戻りが発生してしまいますので、早い段階から具体的なもので期待値を刷り合わせておく必要があります。

トータルコストの削減

一度紙の設計書を作るとなると、時間がかかって面倒なように思われますが、あとの手戻りを考えると、結果的には制作時間の短縮に繋がる方が多いのです。

論より証拠で、一度試してみることをおすすめします。

以上

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