第17回 シニア向けサイト構築【後編】

今回は、シニアにとって使いやすいサイトを構築するための具体的な対処方法をご紹介します。

前回のコラムは、加齢に伴う身体機能低下の内容を知ることが、シニア(65歳以上)にとって使いやすいサイトを制作するための第一歩であるという内容でした。そこで今回は、次のステップとして具体的にどのように対処していくべきかをご紹介します。

1.「視力の低下」への配慮

初期設定の文字サイズは大きめに
視力に問題がなくても、ウェブ上の文章は読みづらいものです。視力低下と遠視(老眼)が同時に進行するシニアにとってはなおさらです。文字の大きさや、背景とのコントラストといった文字の読みやすさに対する配慮を行うべきです。

文字サイズは固定しない
文字サイズを調節できるようにすることは必須です。また、ブラウザの文字サイズ調節機能を知らない人のために、サイトの中で文字サイズを調節できるような機能(ボタン)を設けるのも一つの方法です。

2.「記憶力の低下」への配慮

ユーザに馴染みのある用語を使用
ユーザに馴染みのある言葉であれば覚えやすく忘れにくくなります。特に英語の使用は極力避けるべきです。例えば、「go to top」は「トップページへ戻る」と、「cart」や「ショッピングカート」は「買い物かご」と記載するのが賢明です。

比較検討を要する情報は同一画面内に配置
スクロールをせずに情報を一覧できるようにすることで、記憶すべき量を減らします。特に横スクロールは操作性の問題もあるため極力避けるべきです。

ポップアップウインドウは使用不可
ポップアップ(リンクボタンを押すと新たなウィンドウが開くもの)は、ブラウザの「戻る」ボタンが効かず、現在位置の把握を困難にさせます。

3.「巧緻性(こうちせい:体を思い通りに動かせるか)の低下」への配慮

動くメニュー(例:プルダウン)や動くナビゲーションの不使用
メニューが動いてしまうと思い通りにクリックすることが難しくなります。

リンク周辺部分(5ピクセル程度の距離)もリンクの一部に
リンク部分を正確にクリックしなくても意図したページに移動できるようになり、操作性が向上します。

リンクの間隔はゆとりをもって配置
誤って上下左右のリンクをクリックしてしまうことを防ぎます。

以上はシニア・ユーザビリティの最低限のポイントです。しかし、これらのルールを守るだけでもシニアにとって格段に使いやすいサイトになります。

最後になりましたが、ターゲットユーザの特性とそのニーズを徹底的に吟味するというユーザビリティの大原則に従ってサイト制作をすれば、上記ルールは自然と満たされるはずです。結局、ユーザを中心にサイトを制作するという基本を実践することがユーザの心を掴む秘訣なのです。

以上

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