第8回 ユーザビリティ評価2つの手法

ユーザビリティ評価では代表的な手法である「ヒューリスティック評価」と「ユーザビリティテスト(ユーザ行動観察調査)」の、それぞれの特徴を説明します。

ウェブサイトのユーザビリティを評価する手法は主に二つあります。
一つは専門家によって行うヒューリスティック評価、もう一つは以前のコラムでも紹介した実際にウェブサイトを被験者に使用してもらうユーザビリティテスト(ユーザ行動観察調査)です。

これら二つの評価手法を併せて用いることによりウェブサイトが抱える問題点を隈なく発見することが可能です。

しかし、この2手法を同時に行うと期間・費用ともに大きなコストとなるのが現実です。

そのため、ユーザビリティ評価は全く行わないという結論になりがちですが、どちらか一方の評価だけでも行うことで、ユーザビリティの改善は可能です。

どちらか一方を選択する場合には、期間や費用だけで判断するのではなく、それぞれの手法の特徴や得られる効果、対象のウェブサイトの状況を考慮し、より適した手法を選択していかなくてはいけません。

ここでは、その際に指標となる2手法の特徴について説明します。

ヒューリスティック評価

ヒューリスティックとは、「自己発見的学習」、もっとわかりやすい言葉にすると「経験則」を意味します。 ヒューリスティック評価では、ウェブ・ユーザビリティの専門家が、個々人の経験に基づきウェブサイトの問題点を発見します。 ここでいう経験とは、様々なテストを通じて検証した汎用的なルール(登録画面でクリアボタンは必要ない等)に関する知識になります。

この手法では、一般的なユーザビリティのルールから逸脱している問題点を広く探ることができます。そのため、ユーザビリティ評価を全く行っていないウェブサイトに対してヒューリスティック評価を行うと、多くの問題解決につながり非常に効果的です。

ユーザビリティテスト(ユーザ行動観察調査)

ユーザビリティテスト(ユーザ行動観察調査)とは、ターゲットユーザに類似した被験者に、用意した課題に従ってウェブサイトを使用してもらい、それぞれの課題における被験者の言動やマウストラックにより、問題点を探る手法です。

この手法を用いることにより、それぞれのウェブサイトで実際のユーザがどう行動するかといった固有の問題点を発見することができます。そのため、ヒューリステッィク評価と比べると、より対象ウェブサイトに則した、深い問題を発見できます。

ユーザビリティテスト(ユーザ行動観察調査)は、特にユーザからのフィードバックをもとにリニューアルを繰り返しているような成熟したウェブサイトに対して、ユーザの主観的なフィードバックだけでは得られないような問題も把握でき、大きな効果があります。

しかし、その反面、ヒューリスティック評価と比べ、課題の検討、被験者の収集など、よりコストが掛かってしまうという問題があります。

ユーザビリティに投資できる額が限られている場合には、これら2手法の特徴を踏まえた上で、それぞれのウェブサイトにどの評価が適しているのかを判断し、評価・改善を行っていくことが、ユーザ満足度向上の第一歩となります。

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