第3問
家事代行のマッチングサービスを運営するC社。利用者は共働きの家庭が中心で、家事を担うのは個人で登録しているスタッフです。
C社は利用者の満足度を高めるため、「前日まで予約可能」「当日2時間前までキャンセル無料」という新ルールを導入しました。急な予定変更が多い共働き家庭には大好評で、予約数は大きく伸びました。
ところが半年後、登録スタッフの退会が目立ち始め、それに呼応する形で利用者からの「希望の日時に予約が取れない」という不満も増え始めました。
データを見ると、新ルール導入後からの半年で、利用者からの直前キャンセルは約3倍に増えています。C社の中ではこれに対し、スタッフの募集広告強化や、報酬単価の引き上げといった対策が議論されています。
こうした状況への指摘として、最も適当なものは以下のうちどれでしょうか。
【解説】
「当日2時間前までキャンセル無料」は、利用者にとってはありがたいルールです。しかしスタッフにとって直前キャンセルは、その時間の仕事と収入がまるごと消えることを意味します。2時間前では、別の予約で埋め合わせることもほぼできません。利用者のための改善が、もう一方の当事者であるスタッフの体験を損ない、最後は「予約が取れない」という形で利用者自身に跳ね返ってきました。正答の3は、この構造を指摘するものです。
1「利用者の増加に、スタッフの供給が追いついていない」は、「予約が取れない」という利用者からの不満の原因を取り違えています。問題文からは、現在のスタッフ不足が新ユーザの増加ではなく、既存スタッフの退職によるものだと読み取れます。募集広告で新しいスタッフを集めたり、報酬単価の引き上げを行ったとしても、これまでと同じ「仕事が直前で無くなり、予定や準備が無駄になる」仕組みが残ったままでは、同じ理由で新しいスタッフも離れていくでしょう。
2「共働き家庭の急増が、需要過多を引き起こしている」は、スタッフ不足がこの半年間で急激に発生したことを踏まえると、適切な指摘とは言えません。このような、企業活動によらない種々の外的影響を捉えることは重要ですが、今回の場合はC社自身がスタッフの離脱を引き起こしています。
このように、性質の異なる複数のユーザに価値を届けるサービスは少なくありません。たとえば、フードデリバリーなら注文者・飲食店・配達員、転職支援なら求職者・採用企業が、1つのサービスに関わっています。
関わる人が増えるほど、それぞれの立場ごとに担当や指標を分けて考えたくなります。しかし片側だけを見て改善すると、体験のバランスが崩れるうえに、打てる手も限られてしまいます。たとえばC社の場合でも、両者の体験を見渡せば「キャンセル料の一部をスタッフに補償する」「空いた枠に近くの別の依頼を素早くつなぐ」といった、双方が納得できる打ち手が見えてきます。
ビービットでは、UXの範囲を見極める軸の1つとして「ステークホルダーの数」を重視しています。利用者が1種類の商品から、複数のユーザが関わるマッチングサービス、さらには無数の人が関わる「まちづくり」まで、関わる人が増えるほど、全体を俯瞰する視点が欠かせなくなります。
【解説】
「当日2時間前までキャンセル無料」は、利用者にとってはありがたいルールです。しかしスタッフにとって直前キャンセルは、その時間の仕事と収入がまるごと消えることを意味します。2時間前では、別の予約で埋め合わせることもほぼできません。利用者のための改善が、もう一方の当事者であるスタッフの体験を損ない、最後は「予約が取れない」という形で利用者自身に跳ね返ってきました。正答の3は、この構造を指摘するものです。
1「利用者の増加に、スタッフの供給が追いついていない」は、「予約が取れない」という利用者からの不満の原因を取り違えています。問題文からは、現在のスタッフ不足が新ユーザの増加ではなく、既存スタッフの退職によるものだと読み取れます。募集広告で新しいスタッフを集めたり、報酬単価の引き上げを行ったとしても、これまでと同じ「仕事が直前で無くなり、予定や準備が無駄になる」仕組みが残ったままでは、同じ理由で新しいスタッフも離れていくでしょう。
2「共働き家庭の急増が、需要過多を引き起こしている」は、スタッフ不足がこの半年間で急激に発生したことを踏まえると、適切な指摘とは言えません。このような、企業活動によらない種々の外的影響を捉えることは重要ですが、今回の場合はC社自身がスタッフの離脱を引き起こしています。
このように、性質の異なる複数のユーザに価値を届けるサービスは少なくありません。たとえば、フードデリバリーなら注文者・飲食店・配達員、転職支援なら求職者・採用企業が、1つのサービスに関わっています。
関わる人が増えるほど、それぞれの立場ごとに担当や指標を分けて考えたくなります。しかし片側だけを見て改善すると、体験のバランスが崩れるうえに、打てる手も限られてしまいます。たとえばC社の場合でも、両者の体験を見渡せば「キャンセル料の一部をスタッフに補償する」「空いた枠に近くの別の依頼を素早くつなぐ」といった、双方が納得できる打ち手が見えてきます。
ビービットでは、UXの範囲を見極める軸の1つとして「ステークホルダーの数」を重視しています。利用者が1種類の商品から、複数のユーザが関わるマッチングサービス、さらには無数の人が関わる「まちづくり」まで、関わる人が増えるほど、全体を俯瞰する視点が欠かせなくなります。