第26回 ウェブサイト改善の鍵 アクセスログ解析【前編】
アクセスログはサイトを訪れるユーザ全員が唯一残してくれる足跡です。
ウェブサイト運営者なら誰しもがアクセスログ解析に興味を持つところだと思われます。アクセスログはサイトを訪れるユーザ全員が唯一残してくれる足跡ですので、これをサイト運営に活用しない手はありません。
また、サイト運営のPDCAサイクルの中で、ログ解析は「Check」部分=効果の検証時に力を発揮します。ですので、サイト運営全体から見てもログ解析は極めて重要であると言えます。
しかし、アクセスユーザ全員のデータだからといってログ解析は万能ではありません。最終的には「数値」の取り扱いになるため、ログの性質と限界を十分に踏まえておかないと、数値の解釈を誤ってしまいます。
アクセスログ解析で「分かること」
ユーザから寄せられるサイトに対するご意見・ご要望も参考になりますが、これは一部の積極的なユーザの意見であり、その裏に「サイレントマジョリティー」と呼ばれる沈黙のユーザがいます。アクセスログは、この沈黙する大多数のユーザを含めた全ユーザが、どこから来て、何を見ていったかといったサイト内での行動情報を提供してくれます。
よって、アクセスログを正しく解析することでユーザの「行動履歴・行動パターン」が事実として分かります。
このデータを、
- 最初に設定した目標数値
- 行動仮説
- 過去のログ解析結果
- 他のページのログ解析結果 等々
と照らし合わせたり数値を比較することで、サイトの問題点、ユーザニーズを推測します。しかしこれはあくまで推測。つまり、仮説に過ぎないことを理解することが重要です。
アクセスログ解析では、ユーザの「行動履歴・行動パターン」が分かります。しかし、ユーザがなぜそう行動したのか、その「行動理由」は分かりません。
ですので、ログ解析だけでユーザの行動理由まで限定するのは危険です。ログ解析から分かることはあくまで仮説でしかないため、他の方法で検証する必要があるのです。
「行動理由」を突き止めるには、ユーザビリティテスト(ユーザ行動観察調査)を行うのが最も効果的です。
ビービットではユーザビリティテスト(ユーザ行動観察調査)を数千回規模で実施していますが、得てして想定していた「行動理由」と実際のユーザの行動理由は違うことが多いです。
数値の取り扱いは、いかようにも解釈できるため、このように最後はユーザの行動・意見に真摯に耳を傾けることが、サイト運営を進める上で重要となるのです。
次回後半では、実際にログ解析を行う上での具体的なポイントをご説明します。
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執筆者:武井 由紀子
株式会社ビービット 取締役