サイトリニューアルから始まったUX企画改善でセミナー申し込みCVRが2.4倍
投資用不動産の販売と、販売した物件の賃貸管理サービスを提供されている日本財託様。その中で、投資用不動産の購入を検討している方を対象としたセミナーへの集客をミッションとしているのが、マーケティング部です。
2018年春、ビービットは日本財託様のセミナー集客サイトのリニューアル支援をスタート。更に2019年2月にはビービットのシーケンス分析クラウド「USERGRAM(ユーザグラム)」をご導入いただき、現在も支援は続いています。
サイトリニューアルの効果で自然流入からのセミナー申し込みCVRは2倍、その後のUSERGRAMを活用した継続改善によりCVRは更に1.2倍という成果の背景には、どのような気付きがあったのでしょうか?
マーケティング部長の坂元様と、デジタルマーケティング課の中曽根様にお話を伺いました。
リニューアルの契機は「今のユーザにサイトがマッチしていないのでは?」という疑問
まずは、サイトリニューアルプロジェクトについてお聞きしました。
坂元様「我々が運用している不動産投資の自社サイトは、前回のリニューアルから5年以上が経過していました。当然その頃とは投資用不動産をめぐる環境が変わっていますので、お客様のニーズと離れたサイトになってしまっているのではないか、という思いがあったんです。」
そこでリニューアルにあたっては、「リアルなユーザを知り、その結果をサイトに反映させる」という方針を立てたそうです。これを実現させるパートナーとしてビービットにご発注いただいた理由は「実績が一番(坂元様)」とのこと。実は前回のセミナー集客サイトリニューアルも、ビービットが支援していました。
坂元様「前回のリニューアルで、数値成果がきちんと出ているというのが大きいですね。それから、サイトを作る道筋がはっきりしているというのもポイントです。お客様がどのように感じられるか、ということにフォーカスして、それに沿って作っていく。理由が明確なので納得できますし、社内にも説明しやすいんです。」
事業会社の言うことは信用されない?想像以上のユーザの変化
プロジェクトではリアルなユーザを知るためにユーザ行動観察調査を実施、その中で新サイトの指針となるような大きな発見がありました。
坂元様「私が一番驚いたのは、お客様が我々事業会社の出す情報に対して信頼感をあまりお持ちではない、ということでした。前回のリニューアル時には、事業会社の出す情報に対して比較的ポジティブに捉える方が多かったんです。
しかしそれから数年経ち、不動産投資に関する情報も増えてお客様の目が肥えてきているので、『どうせ不動産会社が言ってることだから』という捉え方が多数派になってきていることを感じました。体験談に対して『サクラじゃないの?』とおっしゃる方もいるくらい、我々が発信するメッセージがネガティブに捉えられている現状には本当に驚きました。」
調査を実施し、直にユーザの声を聞いた担当コンサルタントの進藤も同じ驚きを感じていたそうですが、同時に勝機も見えたと言います。
進藤「写真を出しても体験談を出してもユーザが疑う、という状況は正直とても厳しい戦いだと感じました。しかしそんな中、実直に情報や実績値を出していることにユーザが気づくと、『この会社なら』と見方が変わる瞬間があったんです。」
日本財託様は、不動産投資業界で「中古ワンルーム」領域の実績日本一、創業からの年数もトップクラスに長い企業です。高額で失敗したくない買い物だからこそ疑心暗鬼になっているユーザに対して、明確なスタンスとそれを支える理論・数値的根拠をアピールできれば不信感を信頼感に変えられる。これが、サイトリニューアルの大きな指針になりました。
UXを真剣に考えるからこそ出せる、”結果につながる”ウェブサイト外の施策提案
ユーザからの想像以上の不信感という発見の他にもう1つ、坂元様の印象に強く残っていることがあるそうです。それは、ビービットからの小規模セミナー実施の提案。
坂元様「プロジェクトの中で、セミナーに申し込みたいけれど日程が合わなくて諦めてしまうお客様が一定数いる、ということがわかったんです。それに対してプロジェクトメンバーの中で『毎日、少人数セミナーを開催すると良さそう!』という話になって(笑)。こういう提案は、ウェブサイトを作ることしか考えていなかったら出てこないですよね。」
提案を受けて、1人の営業担当に対して数名程度のお客様、という小規模セミナーを実施してみたところ、月間のセミナー参加者が大幅に増加。
坂元様「ウェブサイトの最適化だけに目が行きがちですが、お客様の行動全体を見ていくことで新しいニーズが発見されて、ウェブサイトの改善にとどまらないビジネスのプラスアルファのヒントにつながっていくので、ユーザ行動観察調査を実施する意義は本当に大きいと思います。」
小規模セミナー開催というウェブサイトに閉じない施策の好影響も含め、サイトリニューアル後のセミナー申し込み数はリニューアル前の2倍という大きな成果につながりました。
プロジェクトを通して気づいた「日々お客様のニーズに寄り添った企画を立てる大切さ」
サイトリニューアルのきっかけだった「お客様のニーズとのギャップ」に対する意識も、プロジェクトを通してより強くなったそうです。
坂元様「お客様のトレンドは、サイトをリリースした瞬間から、また離れ始めるんですよね。それを、大きく離れてしまってから一気に引き寄せるのではなくて、日々ウォッチして随時変えていかなければいけない、そういう活動をしていきたいなという思いを新たにしました。」
そこでご導入いただいたのが、ビービットのシーケンス分析クラウド『USERGRAM』、ユーザ行動の順序や流れ(シーケンス)をわかりやすい形で可視化することによって、UX企画立案を支援するクラウドサービスです。USERGRAMにはトレーニングプログラムも用意されていて、UXのコンサルティングによる成果向上に加え、自社内でのUX企画力を高めることによる継続的な改善体制の構築をサポートしています。
現在USERGRAMは、中曽根様が率いるデジタルマーケティング課を中心にご利用いただいているとのこと。
坂元様「ビービットさんのトレーニングプログラムを卒業して、現在は2週間に1回のチームミーティングの場でUSERGRAMを見てディスカッションを行い、その場で次の改善企画を立てて実行担当まで決める、というサイクルが軌道に乗り始めたところです。実際には実装フェーズや検証フェーズもあるので毎回新しい企画が立ち上がるわけではありませんが、確実に1つずつ進めてきています。検証の中で次の改善企画が見えてくることも多いですよ。」
USERGRAMのデータをもとに「CVしたユーザがよくアクセスしていたページ」への誘導を強化するなど、着実な継続改善によってCVRは右肩上がり。サイトリニューアルによる成果からさらにCVRが1.2倍になったそうです。
中曽根様「1つの施策で大きく変えるよりも、細かいところを丁寧に対応していくのが大切だということを実感しています。以前は、『こういう経路でCVしている人がいるから、その母数をいかに増やすか』という考えが強かったように思うんですが、USERGRAMを使うようになってからは迷ってぎりぎりでCVした方の行動を見て、『その迷いをなくすためにはどうしたらいいのか』という考え方に変わりましたね。」
トレーニングプログラムを担当した藤井によれば、「坂元様も中曽根様も、最初からユーザの状況に思いを馳せるということをスムーズに実践されていた印象が強い(藤井)」とのこと。そうした素地がある上に、ユーザがどういう状況にいるのか、より正確にとらえるための工夫もされているのだそうです。
中曽根様「ページ遷移をしたときに、どのボタンをクリックしたかがわかるようにパラメータの設定をしています。そういうちょっとしたことで、よりお客様の行動に寄り添えるようになったのかな、なんて思います(笑)。」
創業30周年の節目、よりお客様に信頼される企業を目指して
日本財託様は2019年10月で創業30周年を迎えます。これまでのメインビジネスである投資用不動産の販売・管理の他、生命保険や相続関連サービスなど、その業種業態は拡大し続けています。
情報が溢れ、ユーザが情報の信頼性に敏感になっている今だからこそ、ユーザに寄り添い続けることで信頼を得ていく姿勢が重要になる。そのことを改めて感じたインタビューでした。
※ 日本財託様のUSERGRAMを活用したお取り組みについてはこちら
<株式会社 日本財託>
本社:〒160-0023
東京都新宿区西新宿1-22-2
新宿サンエービル9F・10F
設立:1990年10月
資本金:8000万円
代表者:代表取締役 重吉勉
グループ従業員数:226名(※2019年8月現在)
ウェブサイト:http://www.nihonzaitaku.co.jp/
<プロジェクト担当コンサルタント/トレーニングプログラム担当カスタマーサクセス>
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- 進藤 利矢子(しんどう りやこ)
- 京都大学大学院生物科学専攻修了後、2013年にビービット入社。コンサルタント、またプロジェクト責任者として、メディア・消費財・教育・保険など様々な業界の企業を支援。
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- 藤井 温子(ふじい あつこ)
- 京都大学大学院農学研究科修了後、2017年にビービットにコンサルタントとして入社。2018年からはUSERGRAMのカスタマーサクセス担当として様々な企業のオンボーディングとその後の活用支援に従事している。