浅野 恵介
スマートフォンとともにタブレット端末の普及率はますます上昇し、最近では街中や電車などでタブレット端末を利用している人を多く見かけるようになりました。
スマートフォンやタブレット端末は、マウスやキーボードではなく、指を使った直感的な操作が可能であるという特徴があります。(PCにおいても、同様の操作が出来るウインドウズ8が登場しました。)しかし、その直感的なインターフェースにばかりに頼ると、かえってユーザビリティを損なう恐れがあります。
今回は、弊社で実施した雑誌アプリの調査を例に、直感的なインターフェースとしてよく取り上げられる、スワイプの落とし穴についてご紹介します。
■調査で発見された「スワイプ」の意外な落とし穴とは
弊社で調査を行ったタブレット向け雑誌アプリにも、ページ送り時の操作としてスワイプが採用されていました。実際に本のページをめくるような、直感的で分かりやすい操作なので、この操作を使えないユーザはいませんでした。
しかし、よく行動を観察すると、雑誌アプリを読むユーザには、共通の特徴が見られました。それは、興味のある記事のページにしか目を留めず、多くのページを読み飛ばすというものです。この時、ユーザは両手で持っていたタブレットをわざわざ片手に持ち替えて、空いた手で連続でスワイプをしなければなりません。実物の本を読むように操作出来て、便利なスワイプによるページめくりも、長時間・連続で行わなければならないと、ユーザにとって面倒な操作になってしまいます。
この場合、画面右下に「次へ」ボタンも配置しておく事が、ユーザにとって「楽な」操作方法を提供する、1つの解決方法となります。
記事を読むユーザの親指の基本位置に近く、連続して押しやすいためです。(ご自身のスマートフォンやタブレット端末で一度どちらの操作の負担が少ないか一度お試しください。)
もちろん、タブレット端末だからこそ実現できる「直感的な操作」は、初心者ユーザにとって使っていて心地良い機能です。
しかし、単に「使える」だけでなく、「長期にわたって満足できる」ものを提供するためには、ユーザの利用状況を捉えて最適なインターフェースを設計する事が大切です。