木下 恵里
◆初心者ユーザが直面したECサイト利用上の障壁
弊社のユーザ行動観察調査では、あるECサイトで以下のようなユーザ行動が 見られました。
ユーザがECサイトで気に入った商品を見つけた際、「カートに入れる」ボタンを クリックして買い物かごページヘ移動しました。
このときユーザは、「続けて他の商品も購入したい」と思っていましたが、なぜか 買い物かごページからブラウザの「戻る」ボタンを押し、商品ページに移動しようとしませんでした。
なぜ買い物かごのページから戻らなかったのかを質問したところ、「買い物かごのページ から前のページに戻ってしまうと、いま買い物かごに入れた商品がキャンセルされてしまう と思った」という答えが返ってきました。
◆初心者ユーザはウェブサイトの基本的なルールを理解していない場合がある
多くのユーザは、ECサイトでは買い物かごには商品が保存され、他に購入したい商品がある場合は「買い物かごページ」と「商品ページ」を自由に行き来できることを経験的に知っています。
しかし先ほど例に挙げたユーザは、買い物かごの概念や商品ページの関係性といった、EC サイトの基本的なルールやサイト構造を知らなかったため、「戻る」ボタンを押して「買い物かご ページ」から「商品ページ」へ戻れなくなっていたのです。
このように、インターネットに慣れた作り手側の思い込みで、ウェブサイトの仕組みがまだ良く 理解できていない初心者ユーザを戸惑わせてしまうことがあります。
ウェブサイトのルールに詳しくない初心者ユーザでも迷わずサイトを使えるようにするには、 「求めるページに直感的にたどり着けるように導線を設計する」必要があります。
先ほどの例で言えば、「買い物かごページ」に「買い物を続ける」という文言のリンクを配置して おくことで、直感的に商品ページに移動することができるようになります。
このようなユーザの混乱はECサイトのみでなく、どのようなウェブサイトでも想定しておくべきことです。
ウェブサイトのルールに詳しくない初心者ユーザでもスムーズにサイトを使えるようにするためには、 ユーザが取るであろう次のステップを常に予測し、サイト導線の設計を行うことが重要です。