山口 敬頼
ECサイトでは、商品写真の撮り方が売上を左右する重要な要素の1つになります。
では、どのような要件を満たす写真を撮影すれば、商品の購入を検討しているユーザの気持ちを高めることができるでしょうか。
今回は、弊社で行ったECサイトにおける行動観察調査を事例に、ECサイトにおける写真撮影のポイントをご紹介します。
ECサイトで必要な情報が伝わらず、ユーザが離脱してしまった例
あるファッション商品を販売しているECサイトで、ユーザAさんは「洋服」を 買うために商品を見ていました。
Tシャツや、パンツといった商品を見る際は、「洋服のデザイン」や「形状」を 商品写真で簡単に確認し、それが直感的に気に入るかによって購入するかどうかを 決めていました。
しかし、あるジャケットを見た際は、なぜか商品写真を細部まで入念にチェック した後、「よく分からないな…」と言いながら、購入を断念してしまいました。
この行動の違いは何によるものだったのでしょうか。実は、「ユーザが思い描いていた利用シーンの違い」が行動の違いにつながっていた のです。Tシャツやパンツのページを見ていた場合は、「おしゃれに着る用」の服として 購入したいと考えていたため、直感的にかっこ良いかどうかだけを気にしていました。
その一方でジャケットの場合は、実はユーザは「雨の日に着る用」の服として購入したいと 考えていたため、撥水性や通気性といった機能面を気にしており、ジャケットの裏地や 生地を詳しく見ていたのです。
しかし、このサイトには裏地や生地をユーザが理解できるような写真がなかったため、 ユーザは知りたい情報を知ることができず、購入を断念してしまいました。
ユーザが「その商品の何に価値を感じるか」を明確にすることが重要
このように、ユーザがどのような利用シーンを想定して商品の購入を検討しているかに よって、商品を見る際に求める情報は変わってくるため、掲載するべき写真も変わってきます。
ユーザのスムーズな購入を促すためには、「ユーザがその商品の何に価値を感じるのか」を 事前にきちんと把握し、その価値を感じられるような写真を用意することが重要です。