垣内 勇威
弊社では、年間約2,000名のユーザ行動観察調査を実施していますが、検索エンジンの「キーワード入力補助機能」を利用するユーザが増えています。
この機能の普及で、ユーザの検索するキーワードが変化し、SEOやリスティングで狙うべきワードも見直す必要が生じます。
「キーワード入力補助機能」とは?
「キーワード入力補助機能」とは、キーワードを途中まで入力すると、その続きを予測してプルダウンメニューのように関連キーワードを表示する機能です。
関連キーワードとして表示される情報は、過去に利用者が入力したキーワードに基づきます。
2010年5月時点で、Yahoo!検索、Google検索ともにこの機能が実装されています。
キーワード入力補助機能を使うユーザの行動
先日実施した調査では、10名中10名がこの機能を使用していました。その中で観察されたユーザ行動の例をご紹介します。
どんな塾があるか調べようと思い、「塾」と入力したところ、「塾 口コミ」という関連キーワードが表示されたため、そちらの方が良さそうだと思って、検索方法を変更した。
- ひらがなやローマ字で最低限の文字数だけ入力した(漢字は面倒なので入力しない)。
- Yahoo!の検索結果の検索ボックスには、入力補助機能がついていないため、わざわざYahoo!トップまで戻って検索した(文字入力の方がページ遷移よりも面倒だと思った)。
キーワード入力補助機能の普及で、企業が気をつけるべきポイント
入力補助機能の普及で、インターネットユーザの検索リテラシーの向上が予想されます。
今までは、単一キーワードで検索して企業のトップページに訪問していたユーザが、様々なキーワードで検索し、企業サイトの下位ページや、企業サイト以外のサイトに訪問する可能性が高まります。
今まで想定していなかったキーワードや、自社サイトに誘導できていないキーワードが長期間関連キーワードとして表示されるのであれば、対策が必要な場合もあります。
短期的な対応としては、ランディングページを制作し、リスティングから集客します。
重要なキーワードだと判断した場合は、長期的な対応になりますが、サイト内に一定量のコンテンツを制作し、SEO対策を行います。
まずは、検索エンジンに現状どのような関連キーワードが表示されるか、チェックすることを推奨します。関連キーワードは、時々刻々と変化するため、週次や月次での定点調査が理想的です。
またサイト側では、どのキーワードで流入するとコンバージョンしやすいのかを見極め、キーワードの対応優先度を決定します。
その際、リスティングとSEOのどちらで成果が出たのかを正しく測定するために、計測ロジックが同じ単一ツールでの計測を推奨します。
リスティングを媒体側で計測し、SEOをアクセス解析ツールで計測する場合などは、両者の計測値に大きなずれが生じる可能性があり、数値の解釈を誤る恐れがあります。
※この記事は、2010年5月26日の「WebAntenna活用ノート」に掲載した記事を転載したものです。