室伏 知将
検索エンジンから情報サイトに流入してくるユーザは、流入ページの情報が自分の求めるものだったとしても、自分と無関係なリンクがあるだけで離脱してしまう場合があります。
<事例>
ある教育系サイトにて、「高校」受験情報に興味のあるユーザに対してユーザ行動観察調査を行ったところ、以下のような行動が見られました。
【全体の動き(図1)】
検索エンジンから流入し、記事の続きを読もうとしてサイト登録を要求されたユーザは、記事ページ(流入したページ)に戻って離脱した。
【離脱直前の個別ページでの視線の流れ(図2)】
記事ページに戻ってきたユーザは、右カラムにある「中学」受験の広告と、中学受験・高校受験・大学受験と情報が並んだテキストリンクを見て、離脱した。
<考察>
検索エンジンから流入してくるユーザは、「同様の情報は他サイトでも見ることができる」と考えているため、わざわざ自分からサイトの全体像を把握しようとはせず、動線上の情報だけでサイト価値を判断します。
また、今回の事例のような情報サイトでは、専門性が価値に直結するため、自分と無関係なリンクや文言がページに含まれていると、サイト価値が低いとみなし離脱してしまいます。
<対応策>
ユーザの流入口となるページでは、関連性の低い情報が並ばないようにメインコンテンツの情報に合わせて関連記事・広告・回遊リンクを出し分けるのが最善の策と言えます。システム的に出し分けが難しい場合、コンテンツとの関連性が低いリンク・訴求文言を減らすことも考えられます。
ただし、リンクを減らすことでユーザの回遊性が下がるデメリットもあるため、ユーザの利用状況に応じた判断が必要になります。今回のケースでは、高校関連ページにおいて中学・大学情報に回遊させる必然性は低いため、上記のような施策を取ることが望ましいと言えます。
広告枠やリンクを不用意に置いてしまうと、思わぬところでユーザが離れるきっかけを生んでしまいます。流入ページ全体がユーザニーズにマッチしているかもう一度見直すことで、無意味な離脱を防ぐことが出来るでしょう。