柳本 陽平
平成20年6月に成立した「特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律」では、宣伝や広告を目的としたメールを送信する際には、ユーザから事前に承諾を取ること(オプトイン方式)が必要と定められました。きちんとした承諾を取らずに広告や宣伝メールを配信した場合行政処分の対象となる場合もあります。今回は事前の承諾の取り方について、経済産業省のガイドラインを元に考えてみたいと思います。
現在、事前に承諾を得る方法として以下の2つのパターンとも認められています。
1)デフォルト・オン方式 (広告メール送信希望のチェックが入っている)
2)デフォルト・オフ方式 (広告メール送信希望のチェックが入っていない)
推奨は「2)デフォルト・オフ方式」とされていますが、ユーザが認識しやすい形であれば「1)デフォルト・オン方式」も認められています。ただし、その場合は、ユーザが「容易に認識できる表示」とすることが必要です。
経済産業省のガイドラインではユーザが「容易に認識できる表示」として以下の具体例が示されています。
『画面の中で消費者が認識しやすいように明示(例えば、全体が白色系の画面であれば、赤字(対面色)で表示)され、かつ、最終的な申込みにあたるボタンに近接したところに表示されている場合』引用:経済産業省 『電子メール広告をすることの承諾・請求の取得等に係る「容易に認識できるよう表示していないこと」に係るガイドライン』より
承諾を得るための文言が「ユーザが確実に目を通す箇所」に「明示的な形で配置」されていることに配慮する必要があります。
反対に、同ガイドラインでは「容易に認識できるように表示していない」例として以下の例を挙げています。
『膨大な画面をスクロールしないと広告メールの送信についての承諾の表示にたどり着けず、かつ画面の途中に小さい文字で記述されているなど、消費者がよほどの注意を払わない限りは見落としやすく、広告メールの送信について承諾をしたこととなってしまう場合』
引用:経済産業省 『電子メール広告をすることの承諾・請求の取得等に係る「容易に認識できるよう表示していないこと」に係るガイドライン』より
上記は意図的に「隠している」非常に悪質なケースとして言及されていますが、ユーザにわかりやすく情報を提示するという観点からは、ユーザが「見落としやすい」設計となっていないか、というチェックが必要です。
例えば、以下のような事例の場合、意図的に「隠している」わけではありませんが、ユーザが見落としやすい構造となってしまっています。
Webサイト閲覧時のユーザの視野は非常に狭く、特に画像やアクションボタンなどユーザの注意をひきやすい要素がある場合は、十分配慮を行わないとユーザが見落としてしまいます。
今回ご紹介したガイドラインはあくまで法令の具体的な「例」であるため、ユーザが「容易に認識できる」表示の仕方については、各サイトごとに改善を重ねていく必要があります。
デフォルト・オン方式(承諾のチェックが入っている方式)で広告メールの承諾を取っている場合は、ユーザにとってわかりやすいページとなっているか、再度チェックしてみてはいかがでしょうか。