小林 理生
プルダウンメニューで項目を選択して、ページ遷移(表示変化)を待っているが何も起きない。ユーザ行動観察調査ではこんな光景がよく見られます。
今回は、ページ遷移を伴うプルダウンメニューでよく見かける「ユーザのイメージと異なる挙動をする」設計について考えてみたいと思います。
ウェブサイトを利用していて、以下のような経験はないでしょうか?
- プルダウンメニューで項目を選択し、次のページへ遷移するのを待っているが何も起きない
- プルダウンメニューで項目を選択すると、勝手に次のページへ遷移してしまい、違和感を感じた
特に日常的に使用されるサイトでは、ユーザの期待を裏切らない挙動が求められます。以下の例を参考に、ユーザ心理への配慮について考えてみたいと思います。
ページ遷移を伴うプルダウンメニューは、「Go」ボタンなどを設置し、ユーザに手動でページ遷移を行ってもらうのが一般的です。これは、ユーザが誤った項目を選択してしまった場合に、意図しないページに遷移してしまうことを防ぐためです。
また、個人情報が表示されるAmazonの管理画面(下図)などでは、意図せずに表示が切り替わってしまうとユーザに不安を与えてしまう可能性があるため、「Go」ボタンで確実に目的の結果を表示させるという対応が好ましいと考えられます。
ウェブサイトでは、ユーザが意図した通りの動作が起こることが重要です。
一方で、自動的に遷移した方が好まれるケースもあると考えられます。以下のような場合が当てはまります。
- 利用頻度が高い場合(毎日、同じ選択を行うケースなど)
- 誤って選択する可能性が低い場合(選択肢が少ないケースなど)
日々の生活の中で頻繁に使う機能の場合、そのたびに「Go」ボタンをクリックすることはユーザにとって面倒です。GMailのメール管理機能はその一例と言えます。
また、プルダウンメニューの選択肢数が2~3項目のように少ない場合、誤った選択肢を選んでしまう可能性が低いため、自動的にページを遷移させても大きな問題はないと考えられます。
このようにユーザのサイト利用の文脈、状況を考えると、自動的にページを遷移させても問題ないケースもあることが分かります。
ユーザの立場に立った小さな気遣いの積み重ねがユーザの満足度を向上させ、継続的に利用されるウェブサイトの実現につながるはずです。
あなたのサイトのプルダウンメニューがユーザにとって期待通りの挙動となっているか、見直してみてはいかがでしょうか?
実践メモの配信は、今年は本日で最後となります。来年もどうぞよろしくお願いいたします。