ユーザビリティコンサルタント
森川 洸
森川 洸
サイト制作者は、サイトの目的に合わせてトップページからゴールまでの導線を意識しながらサイトを設計します。一方、ユーザは必ずしも直線的にゴールへたどり着くわけではなく、途中で前のページに戻ったり複数のページを見比べたりと、様々な行動をとります。
あるECサイトを対象に実施したユーザビリティテスト(ユーザ行動観察調査)におけるユーザの行動例をご紹介します。
あるユーザはボールペンとサインペンを購入するためにサイトを訪問しました。
まず商品一覧を経由してボールペンの詳細画面へ辿り着き、「カートに入れる」ボタンを押しました。このユーザは、引き続き商品一覧からサインペンを選ぼうと思い、「買い物を続ける」ボタンを押しました。
ところが、ユーザの意図とは異なり次に表示されたのはボールペンの商品詳細ページでした。商品詳細ページには商品一覧ページへ戻るリンクがなかったため、ユーザはしばらくそのページ内で迷った後、トップページから再び探し直さなければなりませんでした。
今回の例は、「買い物を続ける」意思のあるユーザがどのページに戻りたいと思うか、という点にまでサイト側の配慮が及ばなかったことが原因と考えられます。
これは今回テストしたサイト固有の問題ではなく、他のECサイトにおいても同じような問題があることがその後の調査で明らかになりました。
特に同種の商品を一度に複数購入する可能性のあるECサイトにおいては、このようなユーザの行動を十分踏まえたうえで、カートからユーザが意図するページへの導線が確保されているか、もう一度確認してみましょう。