磐前 豪
ウェブサイト設計は、ページ単体で捉えるのではなく、それまでに閲覧したページで得た情報や心理状態を踏まえ、「線」で捉えることが重要です。今回はその一例をご紹介します。
【ケース1】 ある投稿型情報サイトの場合
ユーザが投稿した記事を掲載するサイトAは、各記事のタイトルまでは公開されており、全文を読むにはログインが必要でした。
タイトル一覧をスクロールしていき、ある記事に関心をもったユーザは、全文を読むため、次に表示されたログイン画面でユーザIDとパスワードを入力しました。
いざ内容を読もうと思った矢先に表示された画面は、タイトルの一覧が並んでいる画面で、お目当ての記事がどこにあるのか、また探さなければなりませんでした。
【ケース2】 あるメーカーサイトの場合
メーカーサイトBでは、扱う商品が多岐に渡るため、各商品を大カテゴリ、中カテゴリといった階層に整理して掲載していました。
ユーザがある商品ページから、「商品に関するお問い合わせ」のリンクをクリックしたところ、次に、カテゴリ全体の問い合わせページが表示されました。そこから、もう一度商品名を選択する必要があったのですが、ユーザは肝心の商品名を記憶しておらず、何度もページを行き来することを強いられました。
どちらも一度はユーザが選択した情報ですから、もう一度選択させることは、それほど負担ではないと考えてしまうかもしれません。
しかしながら、ユーザはそこにいたるまでは無意識のうちに情報をざっと見て、瞬時の判断でクリックをしているのです。その選択をもう一度強いることは、ニーズを満たそうと前のめりに行動するユーザに急ブレーキをかけるようなもので、目的達成を阻害されたユーザは強い不満を抱いてしまいます。
システム制約等により、改善には時間やコストがかかる場合もありますが、こうしたケースはユーザにかなりのマイナス印象を与えるということを理解しておく必要があるでしょう。