土井 博貴
ページ表示の遅延や操作のつまづきを引き起こすとして、サイトの使いにくさの原因となりがちなFlashですが、使用目的を明確に使用することで効果が得られる場合があります。
今回はその一例をご紹介します。
新築マンションの特設サイトやホテルのサイトなどでは、ユーザは文章よりも写真に対する閲覧ニーズを高く示し、写真の印象から資料請求/モデルルーム見学や宿泊予約の判断を行う傾向にあります。
あるサイトは、このユーザニーズを踏まえページに写真を複数掲載していましたが、ユーザ検証で、写真が小さすぎることに不満を感じるユーザの様子が観察されました。
そこで、写真を大きく表示させて検証を行ったところ、ユーザが注目するようにはなったのですが、閲覧後ページを離脱するようになってしまいました。
写真を大きくしたことで写真の訴求力の弱さが目立ってしまい、「魅力的ではない」と判断されてしまったのです。
そのサイトでは新たな写真を用意することが困難であったため、代案としてFlashを用いて写真を自動的に遷移させ、大きく表示しつつも一枚一枚を凝視させない工夫を行いました。
その結果、次々と現れる写真を眺めたユーザが、自分で好きなように閲覧できないことに少々不満を感じつつも、全体として好印象を抱くようになりました。
このように、訴求力が弱い写真でも、Flashで動的に見せることで弱さを補強し、印象を高めることができることがわかりました。
上記の例から、「写真はFlashで遷移させた方が良い」と導くのは安直ですが、単なるビジュアル要素だけではなく、ユーザニーズを満たす手段としてFlashの使用を検討することもできるのではないでしょうか。
※補足
本ケースでは、アイトラッキングシステムを用いて視線と注視度を計測し、仮説検証を踏まえたことで上記の発見に至りました。