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ユーザ行動から企画 / 改善立案するときの2つのコツ

2022.01.04 Tue.

ユーザ行動から企画 / 改善立案するときの2つのコツ

行動データの活用に挑戦する企業様が増えているなかでよくお伺いするお悩みが、
・ユーザの行動データを見ても、いい改善案が浮かばない
・ユーザが狙い通りの行動をしていないことは分かったが、次にどうすれば良いのか分からない
という課題感です。

この記事では、こうした課題感が生じている理由を掘り下げ、ユーザ行動データをもとに、顧客インサイトを捉えて、企画や改善案を立案する2つのコツをご紹介します。

改善立案で悩む理由:ユーザの行動からいきなり打ち手を考えがちだから

コツのお話をする前に、「いい改善案が出ない…」というお悩みの原因について考えてみましょう。
実はその多くが、「ユーザの行動そのものから次の打ち手を考えようとする」という手順で発想しがちなことに起因しています。
例えば、
「次のページに進まずに離脱している」というユーザを見て、
「ユーザはリンクに気づいていないのか?もっと目立たせるべきか?しかし既に十分目立っているようにも見える…」
と考え込んでしまう、といったケースです。

このようにユーザの行動からいきなり対処療法的な打ち手を考えようとすると、思考の幅が狭くなり、良い企画を出すのが難しくなります
インサイトを捉えた質の高い企画を根拠を持って立てるためには、打ち手を考える前に、2つのコツを意識しましょう。


コツ1.「このユーザはなぜこのような行動をしたのだろうか?」と、行動の背景にあるユーザの状況を推察する

コツ2.「このユーザはどんな体験ができればよかったのか?」と、ユーザにとっての理想の体験を想像する

コツ1:行動の背景にある「ユーザの状況」を考える

ユーザの行動からいきなり対処療法的な打ち手を考えるやり方は、一般に「コインの裏返し」と呼ばれる問題解決での悪手に分類されます。
「コインの裏返し」ではない発想をして成果の高い施策を企画していくために有効なのが、下記のユーザの状況を考える4ステップをイメージすることです。

企画の発想手順図
1→4のように、「ユーザの行動」を見てすぐに「改善案」を考えるのはNG。  少し立ち止まって、1→2→3→4の順で「ユーザの状況」と「理想の体験」を考えてみるのがおすすめです。

ステップ1でユーザの行動を観察したあと、ステップ2で「ユーザの状況」を推察する場面では、

 ・サイト流入を含めて、ウェブ上でユーザと同じ行動をとってみる
 ・サイトの訪問時間に着目してみる
 ・ページの滞在時間に着目してみる
 ・会員情報や申込み情報内の年齢や性別・購入履歴などに着目してみる
などの観点に留意するのが効果的です。

コツ2:ユーザにとっての理想の体験を想像する

ユーザの状況について仮説を立てた後は、ステップ3となるユーザにとっての「理想の体験」を考えましょう。
これはいわば改善のゴール/目的を定める作業です。
目的を明確にすると、達成するためのルートが複数あることに思い至ります。
その候補から工数なども勘案しつつ最適な手段を選び取ることで、ユーザの状況やインサイトに基づいた効果的な改善案へつなげやすくなります。

ユースケース:4ステップでの改善立案の例3つ

さて、今回取り上げた2つのコツを活用してどう改善立案に実践できるか、具体例をもとに見てみましょう。
例えば「進んで欲しいと思っているページに進まず、離脱しているユーザ」とひと括りにされるユーザの中にも、注視することで状況が異なる数々のパターンが有ることに気づけます。
状況が異なれば「理想の体験」も異なるため、改善案もそれに合わせたものになります。
「進んで欲しいと思っているページに進まず、離脱しているユーザ」のユースケース3つを、4ステップをもとに例示しますのでご参照ください。

企画の発想手順図

ケース 1:閲覧の順序に注目して状況を掴む

1. ユーザの行動
進んで欲しいと思っているページに進まず、離脱していた

2. 想定されるユーザの状況
『ユーザの見ていた画面を確認してみると、サイト流入前に見ていた広告ではキャンペーンを打ち出しているのに、サイト内ではキャンペーンの記載が目立たない。キャンペーンを期待してサイトに来たユーザは混乱しているのでは?』

3. 理想の体験
流入のきっかけとなったキャンペーンについて、サイト内でもすぐに確認ができ、安心して検討を進められる

4. 改善案
広告とサイト内で一貫したメッセージになるよう、ファーストビューの文言を見直す

ケース 2:時間帯に着目して状況を掴む

1. ユーザの行動
進んで欲しいと思っているページに進まず、離脱していた

2. 想定されるユーザの状況
『朝の通勤時間帯に見ているので、会社についたタイミングでサイトから離脱したのでは?』

3. 理想の体験
ランチタイムや仕事終わりなどにスムーズに前回の続きから始められる

4. 改善案
保存機能を持たせる

ケース 3:属性情報に着目して状況を掴む

1. ユーザの行動
進んで欲しいと思っているページに進まず、離脱していた

2. 想定されるユーザの状況
『離脱しているユーザの多くは既存ユーザ。広告で打ち出しているキャンペーンは新規ユーザ限定だが、そのことに気づかずサイトに流入してしまったのでは?』

3. 理想の体験
新規ユーザ向けのキャンペーンであることが事前に分かり、サイト内に入ってからがっかりしない

4. 改善案
新規ユーザ限定のキャンペーンであることが伝わるよう、広告のキャッチコピーを見直す

まとめ

ここまで、効果的な改善案を生むための2つのコツ(状況の推察・理想の体験の想像)を、4ステップを補助線としての実践例をご紹介しました。
とはいえ、「ユーザの状況」や「ユーザにとって理想の体験」はあくまで仮説のため、正しいかどうかは企画を実行してみなければ分かりません。
よって、実装と検証の小サイクルを業務に定着させることが重要です。
仮説に基づいた改善案を実施し、ユーザ行動に狙い通りの変化があったかを検証する、というサイクルを繰り返すことで、ユーザインサイトへの理解を深め、より成果につながる企画の立案につなげていきましょう。

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