2009年10月19日

新卒採用ページ、本当に学生視点ですか?

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ユーザビリティコンサルタント
柳本 陽平

2011年の新卒採用活動に向けて、採用ページをリニューアルしたり、コンテンツを拡充したりする企業サイトが多くなっています。今回は、新卒採用ページを「学生視点」で作るためのポイントについて考えたいと思います。

企業サイトにおける新卒向け採用ページの多くは、学生の「その企業の具体的な業務内容を知りたい」というニーズに応えるため、単なる業務概要や募集要項のほかに、「社員紹介」、「社員の声」といったコンテンツを用意するなど、学生に魅力だと感じてもらえるよう様々な工夫がなされています。

ただその場合でも、掲載コンテンツを本当に有効なものとするには、学生の目線に立っているかどうかをチェックしてみる必要があります。

例えば、職種の紹介として、以下のような例があった場合、どちらがイメージしやすいでしょうか?

20091019_1.png

例Aに関しては、その職種に関する業務知識がないと、内容をイメージすることは難しいですが、例Bについては、1日の流れをイメージできたのではないでしょうか。

学生は業務経験がなく、社会人にとっては常識的な業務知識もないことがほとんどです。そのため、業務知識がないユーザも理解できるような配慮が求められます。(上記では「タイムスケジュールにする」、「解説をつける」、「画像で補足する」 など)

続いて採用ページでの「社員紹介」の例ですが、学生のエントリー意欲を促進する、という観点では、以下の社員紹介の例はどちらが効果的でしょうか。

20091019_2.png

「エントリーしようかどうか」という段階で学生が求めている情報は、入社後どのように自分が働くのかをイメージできる情報です。

その観点では、「働いている姿」が見えてくる「例D」の方が、学生にとって有益な情報だといえます。職場の雰囲気を読み取る上で「写真」は特に重要ですが、弊社が行ったユーザ行動観察調査では、「例D」のような「社員が職場で実際に業務を行っている」写真に対して、学生が敏感に反応する傾向が見られました。

「例C」のように社員のプライベートや部署のメンバーが集まった集合写真などは、採用プロセスが進み、入社の判断をする段階では関心を持ちますが、エントリーするかどうかを決めるような段階では「日々の業務」の空気感は伝わらず、学生にとってあまり有益な情報ではないのです。

最後に、これも学生の関心が高い「社員の声」について見てみましょう。こちらも2例を読み比べてみてください。

20091019_3.png

例Eは業務内容についての説明が語られていますが、似たような業務を担当したことのある方でないと、魅力を感じるのは難しいのではなかったでしょうか。

一方、例Fについては、業務内容は語られていませんが、業務を通じてその人が感じたことが語られています。内容に共感できるかは別として社員が「感じたこと」は直感的に伝わってきたかと思います。

ちなみに、例Eは「人事から『社員紹介シート』という紙を渡され、その設問に回答する」という状況を想定して作成しており、例Fは「人事に対面でインタビューされた」という想定で作成しています。

文章として体験を書いてしまうとどうしても堅苦しい印象を与えるものになってしまうため、企業によっては「社員の声」のコンテンツをインタビュー形式にしたり、座談会形式にするなどの工夫を行っています。

今回テーマとした「仕事紹介」「社員紹介」「社員の声」といった内容は、いずれも採用ページでは良く見られるコンテンツですが、学生の目線に立った情報提供ができているか、再度チェックしてみてはいかがでしょうか。

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