ユーザビリティコンサルタント
瀧田 克博
瀧田 克博
自社内の組織の構造をウェブサイトに反映させている企業は少なくないのではないでしょうか?今回の実践メモではそうしたサイトを利用したユーザの反応と、対処方法をご紹介します。
ある流通系企業では、食料品と衣料品でサイトが異なるといった形で商品群ごとに異なるウェブサイトを設置しています。また、システム仕様の事情から、衣料品サイトにログインするには図1のように遠回りをする必要がありました。
サイト利用中の行動を観察していると、ユーザが衣料品サイトにログインをしようとしたところ、唐突に食料品サイトでのログインを求められたため、フォームに何を入力してよいのかを理解できず困惑する様子が確認されました。
フォーム上部の文言で食料品サイトのID・パスワードの入力が必要な点を説明することで、上記のような状況を一定程度回避することが可能だと考えられます。しかし、問題発生の真の原因は、同一企業のサイトであれば何を入力すべきかをユーザはなんとなく理解できるであろうという企業側の期待です。
当然のことながら、ユーザはサイト運営企業のシステム事情などは知りません。
そのため、サイト間の連携をとる際には、提供者側が分かりきっている内容について徹底的に疑う必要がありますが、システムリリース後では意味を成しません。システム開発後の仕様変更には莫大な費用がかかるため、リリース後に発見された課題は解決されないまま放置されることも少なくないためです。
弊社では、そうした事態を避けるためにシステム仕様決定前に、ラフなプロトタイプを用いたユーザ行動観察調査の実施を推奨しています。