ユーザビリティコンサルタント
池田 朋弘
池田 朋弘
複数の人が関わるシナリオを意識しよう
Webサイトを訪れたユーザが、商品・サービスの購入など何らかの意志決定を行う際、自分ひとりだけの判断で決めず、他の人と相談してから決めるという場合は、実はかなり多いものです。 弊社のユーザ行動観察調査では、以下のような例が見られました。【例1.結婚式二次会などのパーティ会場探し】
- 幹事役の数名が、各自で会場候補を検索
- 各自が自分の選んだいくつかの候補を持ち寄り、どの会場にするか相談
- 決定
【例2.企業におけるIT製品の導入】
- 部門の担当者が、おおまかな要求仕様を決め、メーカーサイトや販売店サイトを検索
- 性能や価格などを一覧できる比較表を作り、IT管理者などに相談(IT管理者がWebサイトを閲覧する場合もあります)
- 絞り込んだ候補について決裁文書を作り、上司に相談
- 決定
【例3.住宅ローンの借り換え】
- 妻が金融機関サイトや比較サイトで情報収集
- 夫に相談して候補を絞り込む
- 絞り込んだ金融機関の店舗を夫婦で訪れ、担当者と相談
- 決定
このような場合、Webサイトでは単に詳細な情報を提供するだけではなく、サイト閲覧後もその情報を複数のユーザ間で共有してもらえるかどうかが、コンバージョン(商品・サービスの購入)に大きく影響します。
Webページの情報を共有してもらうための3つのポイント
- (1) 印刷しやすいか?
- もっともベーシックな情報共有方法は印刷です。プリントアウトしたWebページを持参し、顔を合わせながら最終決定をおこなうようなシチュエーションを想像してください。
具体的には、印刷に最適化された専用ページやスタイルシート、PDFファイルを用意することが考えられます。
参考記事:
印刷対応は大丈夫?
PDFファイルは同ウィンドウ表示?別ウィンドウ表示? - (2) Webページは共有しやすいか?
- メールなどでWEBページを直接共有するケースです。ブラウザのURLを自分でコピー&ペーストするユーザも多いですが、より細やかな配慮として以下のような対応が考えられます。
- URL送信機能の提供
「このページを友達に送る」などの機能です。QRコードを使った携帯への情報共有も、店舗サイトなどでは重要です。 - 検索での探しやすさの改善
電話などで「●●のサイトで△△と検索して」と言われてサイトにアクセスする場合があります。特に店名や商品名が造語や外国語だと、聞き間違い、記憶違いによって検索ワードに表記ゆれが出がちです。そういう時でも検索上位表示できるかどうかを確認しましょう。
- URL送信機能の提供
- (3) 加工しやすいか?
- Webページから重要な情報のみを抜き出し、Excelなどで整理して、決裁文書用の比較表を作るような場合で、BtoB製品の比較などでよく見られる行動です。
- 情報の整理
スペックや概要は表組で整理し、必要な部分をすぐに抜粋できるようにしましょう。 - イメージ画像・写真の用意
言葉だけでは伝わりにくい製品や、印象が重要な商品や、の場合に特に重要となります。
- 情報の整理
複数のユーザが意思決定に関わるような商品・サービスを扱っている場合は、以上のような観点から、サイトに直接アクセスしていないユーザにも情報を使ってもらうための工夫を考えてみてはいかがでしょうか。