大津 裕史
携帯オンリーユーザであろうと、PCと携帯を使い分けている両用ユーザであろうと、携帯サイトを利用している状況下では多くのユーザは急いでサイトを利用していると言えます。
例えば携帯オンリーユーザは、早いスクロール・手入力が習慣化しているため、駆け抜けるようにサイトを利用します。
また、両用ユーザがわざわざ携帯サイトを利用している状況は、家に帰ってPCサイトを開くまで待てないほど急がなければならない事情や心情があることを物語っています。
以上のことから、どれだけ急いでいても確実にアクションを起こせるサイトこそ成果の出せる携帯サイトであると言えるでしょう。
よって今回は、急いでいるユーザにアクションを起こしてもらうためにはどこにアクションボタンを配置すべきかについてご説明します。
まずは以下3パターンの配置例を見てください。
あなたがとても急いでいる状況でこのページを開いたら、どこにアクションボタンが配置されていて欲しいでしょうか。
例1は問題外です。
長い説明を経て、下までスクロールしなければアクションボタンを見つけることが出来ません。ユーザがページを開いた瞬間に、「このページでアクションが行える」といった安心感を与えなければ、急いでいるユーザは容易に元のページに引き返し、サイト内を迷った挙句イライラしながらサイトを閉じることになります。
例2も難ありです。
サイト上部に配置しているため、しっかりとユーザを安心させられると思いきや、ユーザ行動観察調査では、一部のユーザがページから離脱してしまいました。主に携帯オンリーユーザに見られる行動ですが、ページを開いたとたん無意識にスクロールを始め、上部にあるアクションボタンに気づかないままページ中部まで到達してしまい、例1同様「アクションが行えないページ」と判断されてしまったのです。
よって、最も適切な配置場所は例3になります。
ページを開いた瞬間に認知できる上、多少スクロールされても問題なく気づいてもらえます。
例1のようなパターンは複雑なサービスや商品を提供しているサイトに多く見られます。「複雑なサービスであるため、まずはメリットや商品の魅力を伝えたい。そのほうが自然なコミュニケーションではないか」と考え、例1のようなページになりがちです。もちろん論理的には自然な考え方ですし、そのほうが親切なのではないかという気持ちにもなります。
しかしながら、そのサイトを使うユーザ全員にその説明が必要かといえば、必ずしもそうとは限りません。
友人からの口コミ、雑誌の広告、PCサイト上での認知など・・・、あらかじめサイトやサービスについて理解し、興味を持った上でサイトを訪れているユーザも少なくありません。そのサイトを含めたマーケティング戦略が上手くいっていればいるほど、このようなユーザの訪問は多いはずです。
その上、前述したとおり多くのユーザは基本的に急ぎ足でサイトを利用しています。急いでいるユーザに丁寧な説明で説得を行うことと、すでに興味を持っているユーザにスムーズにアクションを起こしてもらうこと、成果のためにどちらを優先すべきかと言えば、間違いなく後者でしょう。
さて、例3のようにアクションボタンを配置する際にも、気をつけなければならないことがあります。
それは、「アクション導線の下には必ずメリット訴求コンテンツを用意する」ということです。
サイトを訪問しているユーザの中には、すでにサービス・商品に対して興味を持っているユーザもいればそうではないユーザも存在します。まったくサービスについて興味を持っていない状態のユーザに、アクションのみを求めてしまっては、そのままサイトを離脱されかねません。
アクション導線とメリット訴求コンテンツの間にスペースを作りすぎてしまった場合にも、同様の問題が発生するので注意してください。
是非これを機会に、皆さんのサイトのアクションボタン配置についても確認してみましょう。
急いでいても利用できるサイトとなっているかどうかを確認するために、短い時間の中でサイトを利用してもらうユーザ行動観察調査を実施するのも非常に効果的です。