森 祐二
メールを使ったBtoCコミュニケーションとして、多くのユーザに対して認知・集客を目的とするメールマガジンが一般的に挙げられます。
一方、比較的、対象人数が少ないセミナー・説明会の応募受付や面接など1対1のコミュニケーションの場合、企業側から送付したメールに対してユーザに「メールで返信を求める」形が考えられます。
今回は、弊社のユーザビリティテスト(ユーザ行動観察)から得られた知見から、「より返信しやすいメール」の作り方を考えてみましょう。
ある企業では、自社サイトからエントリーした採用希望者に対し、個別にメールを送り、1次面接のスケジュール調整を行っていました。
そこで、それに近い状況をテストするため、複数のパターンのメールを用意し、就職活動の中でユーザがそれらのメールを受け取ったという想定で行動観察を行いました。
まず、「メールを開封するかどうか」という場面では、本連載でも以前ご紹介した
といった手法が有効でした。
一方、「返信されるかどうか」という点では、
- 返信用のテンプレートをつける
ことがもっとも効果的でした。
就職・転職活動中のユーザは、同時に複数の会社に応募していることが想定され、しかもその進展度合い(エントリー→説明会→面接)によって、取るべきアクションは異なっています。
複数の会社から届くメールに対し、ユーザは
・単に読めばいいだけのメールなのか、返信が必要なメールなのか
を判断して
・何をいつまでにすればいいのか
に基づいて適切なアクションを取ろうとします。
こういった状況下で、本文中に返信用テンプレートが入っているメールは
・返信しなければならないメールであることが感覚的にわかる
・取るべきアクション(記入すべき項目)が整理されている。
といった点で、ユーザにとって反応しやすいメールになっていたことが推察されます。
このように、開封・閲覧を目的としたメルマガとは異なり、返信してもらう必要のあるメールでは、タイトルだけではなく、本文のユーザビリティも考慮することをおすすめします。