反中 望
今回は、Flashをナビゲーションに利用する場合に「読み込み時間」に注意する必要があるという事例についてご紹介します。
あるECサイトの商品検索ページでは、上部にFlashエリアがあり、その横に商品カテゴリの選択肢を置いていました。
探したい商品カテゴリ(例:PC・周辺機器)をクリックすると、Flashエリアの中身が変わり、そこから下位分類(デスクトップパソコン・ノートパソコン・周辺機器)を選択するようになっています。
弊社のユーザ行動観察調査の中で、ノートPCを求めてこのページを訪れたユーザがいました。このユーザは、「とにかく目当ての商品を探したい」という商品検索モードであったため、ページが表示されるとすぐに「カテゴリ選択」から希望のカテゴリである「PC・周辺機器」を選択しました。
ところが、しばらく待っても何も反応がなく、ユーザはそこで「よくわからないな」と言ってサイトから離脱してしまいました。
実はこれは、カテゴリを選んでクリックした時には、まだFlashが「読み込み中」だったことが原因でした。そのため、ユーザがクリックしても何も起こらなかったのです。
ユーザビリティの重要な原則のひとつに、「ユーザの行動に対して、必ず何らかのフィードバックを返す」というものがあります。今回のケースのようにクリックしても何もフィードバックがないと、ユーザの当惑や不信感につながってしまうことになります。
今回のケースでは、Flashの読み込みが終わるまでカテゴリ選択のボタンを表示しない、あるいは読み込み中にカテゴリがクリックされた際には、読み込み完了後にきちんと反応する、というような解決策が考えられます。
ただ、もう少し深く考えてみると、読み込み時間が必要なFlashをナビゲーションに使うこと自体が、「早く商品を探したい」というユーザのニーズと合っていない可能性もあります。Flashを使う際には、「本当にユーザを待たせる価値があるのかどうか」という点について改めて考えてみるとよいのではないでしょうか。