ユーザビリティコンサルタント
土井 博貴
土井 博貴
ECサイトを対象とした弊社のこれまでのユーザ行動観察調査から、家具や家電など比較的サイズが大きい商品を購入する際、ユーザは機能や見た目と合わせて実際の大きさを気にする傾向が見られます。さらに、購入段階に応じて求める情報の具体性が異なることがわかりました。
- 興味・関心フェーズ この段階にあるユーザは、まだ商品に対する購入動機が高まっていないため、正確な数値よりもだいたいの大きさをチェックしたいと感じる傾向があります。購入後、予定の場所に置くことができるかなどのイメージを掴みたいというニーズがあることが考えられます。
- 購入検討・比較フェーズ この段階にあるユーザは、絞り込んだ数点の商品から最終決定する参考情報として、数値で示された大きさを具体的に把握・比較したいというニーズが大きく見られます。
このうち、商品の大きさが数値で記載されているECサイトは多いですが、前者の「興味・関心フェーズ」段階のユーザニーズを満たすサイトは多くありません。例えば「縦735mm×横500×高さ950mm」という数値では、すぐに頭の中に商品の大きさをイメージすることは困難でしょう。
数値だけではなく、商品写真が掲載されているサイトもありますが、その商品単体で写っていたり、商品の一部分が拡大されて写っていることが多く、やはり実際にどの程度の大きさなのかは掴みづらくなっています。
商品がどれくらいの大きさかをイメージさせる方法として、「身の回りのものと比較させる」方法があります。具体的には、商品紹介の写真を商品単体ではなく、実際に使われる場に置いた写真を用いるのです。
例えば食器洗浄機など、購入経験がないユーザが大きさをイメージしにくい商品の場合は特に有効です。キッチンに設置した写真や、冷蔵庫や電子レンジと一緒に写った写真や人が実際に使用している写真を掲載すると良いでしょう。
これらの写真を使うことで、ユーザは実生活で自分が商品を使用する環境に置き換えて想像するようになり、商品に対する購買意欲が高まる可能性があります。
ユーザの購入時の心理状況と、「実際に使う」状況までを想定することで、ユーザがどんな情報を求めているのかが新たにわかるかもしれません。