ユーザビリティコンサルタント
瀧田 克博
瀧田 克博
会員登録手続き等、入力フォームにおいてユーザに好きなIDを指定してもらう場合、ID入力フィールドの画面設計に注意が必要です。
図のように登録フォームの冒頭でIDの入力を求めるサイトを見かけますが、この画面では、「新たに登録するID」ではなく、「すでに所有しているID」を入力する箇所であるとユーザが誤解するおそれがあります。
弊社で行った同様の入力フォームの調査では、何のIDを入力してよいかが分からず「ここには何を入力すればいいの?」と困惑するユーザが確認されました。
こうしたケースでは、ユーザに運営者側の意図を伝えられているかどうか、忘れずにチェックを行いましょう。
- IDの入力フィールド付近に「ご希望のIDを指定してください」といった文言を添え、ユーザにIDを指定してもらうことを明確にする
- 冒頭にあるID・パスワードの入力フィールドは、所有ID・パスワードの入力と誤解されやすいため、できる限り冒頭に設置しない (但し、その前の文脈から、ユーザがIDを新しく取得する意思を持ってこのページに来ているとすれば、この限りではありません)
上記の工夫を施したフォームでユーザビリティテスト(ユーザ行動観察調査)を行ったところ、ユーザがスムーズに入力を続けてくれるようになりました。
今回の例は、運営者側の暗黙の了解(=希望するIDを入力する)がユーザに伝わっていなかったケースと言えます。
登録フォームの離脱率低下のためには細部にまで注意し、ユーザの入力をサポートできるよう配慮するとよいでしょう。